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結局お得なの? 住宅ローンの繰り上げ返済を検証する

4/9(日) 10:15配信

投信1

繰り上げ返済病にならないで

上記条件のシミュレーションは、100万円という高額な繰り上げ返済を何年目に行ったかという結果です。それでも、最も返済額が減った期間短縮型の1年目でも、40万程度しか総返済額が減っていませんでした。残りの60万円はどこに行ったかと言えば、平均された利息支払いの中に埋もれてしまったのでした。

住宅ローン総返済額の計算は複雑で、不動産を買いたい人にとっては、悩みの種となりますが、繰り上げ返済は高額でなければあまり効果が見られないという結論は覚えておきましょう。よく、余った10万単位のお金を繰り上げ返済に回すという行為が見られますが、総返済額からすればあまり効果が見られません。その反作用で、繰り上げ返済に回した資金による他の生活への影響が大きいと考えられます。

ちょこちょこと繰り上げ返済を繰り返していくことを「繰り上げ返済病」などと言われていますが、データ上からも少額の繰り上げ返済はあまり意味をなさないことが明らかです。住宅ローンの繰り上げ返済は、まとまったお金が入ったときに初めて検討した方がよいでしょう。

住宅ローンの税制優遇措置「住宅ローン控除」

今までは住宅ローンと繰り上げ返済について検証してきましたが、別の側面からも住宅ローンを利用するメリットがあります。では、住宅ローン控除とはどのようなものなのでしょうか? 

 住宅ローン控除の条件

住宅ローン控除を受けることができる人は、自分の住む住宅を購入する際に住宅ローンを利用する人です。

具体的には以下のような条件となります。

 1.新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
 2.この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
 3.新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
 4.10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務があること。
(国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm)

簡単に言うと

 ・住宅ローンを組んでいる家に住んでいる
 ・年収が3,000万円以下
 ・購入不動産の広さが一定以上
 ・10年以上の住宅ローンを組んでいる
場合に、住宅ローン控除を受けることができます。これは35年の住宅ローンを利用する人ほとんどすべての人に該当すると言える条件です。

 住宅ローン控除の控除額

住宅ローンの控除額は、年末の借入残高によって決まります。住宅ローンを利用している場合、年末調整の季節になると銀行から住宅ローンの残高証明書が届きます。ここには毎年の12月末時点での住宅ローン債務残高が記載されています。住宅ローン控除は、この債務残高の1%に相当する金額を控除開始から10年間控除するというものです。

条件として、4,000万円の住宅ローンを借り入れた場合、1年目の債務残高が3,900万円だった場合、その1%として、39万円が住宅ローン控除金額となります。住宅ローンを組んでいるだけで、これだけの控除が受けられるのですから、とても大きいです。

 年間の住宅ローン控除額には上限がある

住宅ローンの残高の1%が住宅ローン控除額となりますが、その控除額にも条件があります。以下のような住宅ローンの借入を行った年月によって、控除限度額が異なります。

現在、住宅ローンによる控除を受けようとした場合、最大で40万円までとなります。つまり、住宅ローンは4,000万円以上利用しても毎年の控除額は変わらない形となります。

 住宅ローン控除の適用範囲

住宅ローン控除は主に所得税控除となります。そのため、所得税が40万円以下という人は所得税控除が受けられません。

しかし、その住宅ローン控除額の所得税控除に至らなかった分は、住民税から控除する形で補てんすることとなります。住宅ローンの住民税控除は、現在最大136,500円ですが、住宅ローン控除額を最大限有効に使えるような税制優遇措置となっています。

 住宅ローン控除の観点からは借入額が大きい方がいい? ? 

住宅ローン控除の観点からは、10年間は4,000万円以上の住宅ローン残高がないと最大の控除を受けることができません。そのため、借入額は大きいほど、より多くの住宅ローン控除を受けることができます。

ここで、繰り上げ返済の話に戻ります。繰り上げ返済は早期に行うと総返済額が低くなるとの結果が出ていました。

しかし、住宅ローン控除の観点から見ると10年間は住宅ローン残高が多い方がよいということになります。この二つの観点は相反する結果となっています。

 少額の繰り上げ返済はあまり意味をなさない。住宅ローン控除優先で! 

シミュレーションの結果から、少額の繰り上げ返済はあまり意味をなさないことが分かりました。

また、住宅ローン利用後10年間は、住宅ローン控除による税制優遇措置が大きいため、むやみに住宅ローン残高を減らすことはデメリットにもなりうるものです。繰り上げ返済を行うタイミングは、まさしく住宅ローン控除が終わる10年目以降に行うことが賢い返済と言えるでしょう。

また、もし繰り上げ返済を行うのであれば、まとまった金額を検討するようにしましょう。すべては数字が物語っています。

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最終更新:5/13(土) 0:55
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