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【最新刊『いのちの車窓から』大ヒット】文筆家・星野源のこれまでの歩みを大解説

4/9(日) 10:00配信

RO69(アールオーロック)

音楽家としても俳優としても、今や国民的人気の大スターとなった星野源だが、文筆家としての人気と評価も極めて高い。現在、発売中のエッセイ集『いのちの車窓から』は発売一週間で3刷、累計発行部数24万部の大ヒットに。ここでは、彼がこれまでに刊行した著作の中で、最新刊も含めてエッセイを主体にしたもの4冊を解説。彼が、それぞれの時期に執筆した文章の中で何を伝えてきたのかに迫る。

『そして生活はつづく』(2009年)
文芸PR誌『ウフ.』での連載をメインにした、星野源にとって初のエッセイ集。音楽家や俳優としての活動のことはそこまで多く書かれておらず、幼少期や学生時代の記憶、生まれてから死ぬまでづづく「生活」というものをひとりの人間として深く見つめた言葉が綴られている。「『自分探しの旅』などとはよく言うが、私にとっては自分探しなんて孤独で辛そうなものより、積極的に『自分なくし』をしていきたい」「みんなばらばらでいいじゃないか。だってそもそもばらばらなんだし」。翌年にリリースされるソロアーティストとしてのファーストアルバム『ばかのうた』へと繋がる、星野源の、裸の思考の宇宙を文章で味わえる1冊。

『働く男』(2013年)
『ポパイ』での映画コラム連載「ひざの上の映画館」を収録している他、活動が多岐に渡り多忙を極めるようになった当時の星野源の仕事を詰め込んだ内容となった1冊。「どれだけ忙しくても、働いていたい。ハード過ぎて過労死しようが、僕には関係ありません。僕が死のうが、僕には関係ないことです。中途半端に仕事する方がよっぽど嫌です」という彼の当時の人生観/仕事観は、結果的にこの本の刊行と時期を同じくすることになった病気療養を経て、大きく変わったとも言えるし、変わっていないとも言える。その両方をしっかり噛み締めながら読んでほしい。

『蘇える変態』(2014年)
『GINZA』での連載と、闘病生活のことを赤裸々に、でもある意味、楽しい読み物として綴った書き下ろし「楽しい地獄だより」で構成されている1冊。「セックスが好きでそれを職業にしたとして、何が悪い」と真剣に熱くAV女優のことを語ったエッセイを書いたあと、病に倒れて、そこでの経験の中で「地獄は相変わらず、すぐ側にある。いや、最初から側にいたのだ」と気づく。だけど最後は、やはりタイトルで膝から地面に崩れ落ちるほど爆笑したAVの話(どんなタイトルかは是非読んでください)で終わる。怒涛の3年間のドキュメントが、無理にメッセージを込めることなく、どこまでも自然に綴られているからこそ、人生のいろんな時に寄り添ってくれる言葉がここには溢れている。

『いのちの車窓から』(2017年)
現在も『ダ・ヴィンチ』で連載中のエッセイの第1巻。実は人と接することが大好きな自分を思い出した今の星野源が、仕事のことも日常のことも、どこまでも素直に正直に明るく伸び伸びと綴っている。ハマ・オカモト、笑福亭鶴瓶、マイケル・ジャクソン、吉田羊、コサキン、細野晴臣、大泉洋、新垣結衣――星野源はここで、好きな人たちのことを、なぜ好きかがものすごく伝わる表現で書いている。『そして生活はつづく』で「私はずっとひとりだったのである」と書いていた彼が、ここでは「『ひとりではない』と感じる。そう感じられることが嬉しい」と書くようになった。そして、その変化がシングル『SUN』、アルバム『YELLOW DANCER』、シングル『恋』という音楽家としての金字塔的傑作の誕生にどのように繋がったのかまでも知ることができる感動的な1冊。

(古河晋)

RO69(アールオーロック)