ここから本文です

筑後の名店「立花うどん」で食す2大人気メニュー。ヌードルライター山田祐一郎が綴る『うどんのはなし』/福岡

4/9(日) 17:32配信

Webマガジン コロカル

コロカルニュースvol.2048

■第四回は、福岡県久留米市〈立花うどん〉

『うどんのはなし 福岡』の出版を機に始まった、福岡のうどん文化とその名店を紹介するこのシリーズ。第四回は、福岡県久留米市にある〈立花うどん〉をご紹介します!

【写真で見る】筑後の名店「立花うどん」で食す2大人気メニュー。ヌードルライター山田祐一郎が綴る『うどんのはなし』/福岡

この〈立花うどん〉は「筑後うどん」と呼ばれるご当地うどんの代表格です。ちなみに“筑後”とは、福岡県を「福岡」「北九州」「筑豊」「筑後」というように4つに分割したエリアの一つで、この筑後エリアがあるのは県の南部。

久留米市や大牟田市、柳川市などから成り、その中でも久留米市が同エリアにおける最も大きな都市です。

そんな筑後には、筑後川という九州地方で最大の河川があり、そこからもたらされる豊富な水、その水が潤す肥沃な大地が広がっています。その土地では古くから米と小麦による二毛作が盛んでした。収穫した小麦を使って各家庭でうどんを作って食べていたそうです。

こうして筑後エリアに根付いたうどん。そんな背景が「筑後うどん」のルーツにあります。この筑後うどんの特徴とされているのが「ふんわりねばりコシ」。ふんわりしているのに、コシがある? そうなんです、この特徴こそ、筑後うどんの醍醐味。

これは博多うどんにも共通する点かもしれませんが、コシというと力強く、しっかり噛みしめるようなイメージがあります。ただ、コシにもいろいろとあるんだと思うんです。

歯の圧力を跳ね返すような強いコシ、心地よい弾力感のほどよいコシ、やわらかさの延長にあるようなしなやかなコシ。そして、筑後うどんのコシは「ふんわりねばりコシ」なのです。

筑後地区には約180ものお店があるそうで、それぞれにつゆも違えば、麺の太さも違い、味わいもさまざま。だからこそ、「筑後うどん」の食べ歩きも楽しい。

立花うどんは1981年4月の開業。九州自動車道久留米インターから車ですぐの場所にあるロードサイド店舗です。

店主に話を聞くと、創業当時はまだまだ自動車文化が成熟しておらず、高速道路もそれほど利用されていなかったとのこと。もちろん、店の周りに他の飲食店は皆無。まさに平野のようだったそうです。

そんな時期を乗り越え、モータリゼーションも経て、今や地域で知らない人はいないほどの有名店に。高速道を利用するドライバーを中心に、近隣の住人たちも家族連れで訪れるなど、開店時間の9時半から、終日客足が途切れない人気ぶりです。


■2大人気メニュー、「肉うどん」と「ごぼう天うどん」

うどんメニューは全25種で一杯280円から。「肉うどん」(490円)、「ごぼう天うどん」(440円)が2大人気メニューで、その両方をトッピングした「肉ごぼううどん」(650円・写真上)も評判。

ちなみに久留米は焼きとりも有名。かつて人口に対する焼きとり店の軒数が、日本一になったこともあるんです。

そんな理由もあるからなのか、久留米っ子は肉系のメニューがとても好きなようで、ある雑誌で久留米市民にアンケートをとった際にも、その肉人気はかなりのものでした。

この立花うどんには、そんな肉欲を満たす「肉飯」(470円)があるので、試してみるのもおすすめです。

そして、福岡うどんのスタンダード・ごぼう天うどんも忘れてはなりません。

肉うどんの場合は甘辛く炊いた肉の旨みが出汁に溶けこみ、確かに味わいに奥行きが出ます。ただ、初めて食べるのであれば、出汁本来の旨みが堪能できる、ごぼう天うどんをチョイスしたいところ。

ごぼう天の油がつゆに合わさる前に、うどんが運ばれてきたらまずはつゆを一口。

こちらの出汁の土台となるのが利尻昆布。浜を指定し、1年以上寝かせたものを使っています。削節などによって旨みを重ね、醤油などで調味したつゆは、ほのかに甘みがあり、それでいてすっきりとしたキレがあります。そして香りは華やか。

麺は5~6ミリメートルほどの中太。この麺を釜揚げで仕上げます。しっかり熟成させた自家製の生地を切りたて、そして茹でたてで出しているのです。釜揚げなので、麺をいったん冷水で締めることはありません。そのため、表面のふわっとした食感に対して、芯のほうはもっちり感があります。

また、冷水で締めないため、麺の表面はいわゆる毛羽立った状態になるのも特徴。ただ、この表面が荒れている状態だからこそ、つゆがよく絡むのだと教えてもらい、とても感心しました。

1/2ページ