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乾燥やシワの遺伝子をゲノム編集、加齢による肌の変化を表皮モデルで再現可能に

4/11(火) 14:10配信

MONOist

 富士フイルムは2017年3月23日、東京医科歯科大学 准教授の難波大輔氏との共同研究で、最新のゲノム編集技術をヒト表皮細胞に適用し、3次元培養した表皮モデルを作製することに成功したと発表した。この技術を活用すると、加齢による肌の乾燥やシワなどと関連する特定の遺伝子を欠損させて、生体の構成により近い3次元表皮モデルで加齢による皮膚状態の変化を再現できる。意図的に疾患を持った皮膚モデルの作製も可能だ。開発成果は2017年秋に発売するエイジングケア領域の機能性化粧品に活用する。

【ゲノムが編集された様子などその他の画像】

 ゲノム編集技術「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」を用いて標的の遺伝子を完全に欠損させた。標的としたのは、表皮細胞の増殖に関与するとされる成長因子の1つであるインスリン様成長因子「IGF-1」の受容体「IGF-1R」遺伝子だ。IGF-1Rは、IGF-1を受け取って、表皮細胞に増殖シグナルを送る役割を担っている。

 まず、IGF-1Rを編集できるようCRISPR-Cas9を調整し、培養したヒト表皮細胞のゲノムを編集した。これを電気泳動法で検証すると、ゲノムが編集されていることを確認。その後、ウエスタンブロット法で調べたところ、IGF-1Rを完全に欠損させたヒト表皮細胞の作製に成功したことが確認できた。

 次に、IGF-1Rを欠損させたヒト表皮細胞と通常の表皮細胞の3次元表皮モデルを作製、培養して14日後にそれぞれの切片を観察した。この結果、IGF-1Rを欠損させたヒト表皮細胞は通常の表皮細胞と比較して表皮厚が約半分程度になり、細胞の分化も低下した。

 これは、IGF-1Rが欠損し、IGF-1がIGF-1Rに受け取られることで生じていた細胞増殖を促すシグナルが細胞内に伝達されなくなったためと考えられる。このことから、IGF-1Rが発する増殖シグナルが表皮層の形成に重要な役割を果たすことが確認できた。また、CRISPR-Cas9を用いて作製した特定の遺伝子を欠損させた表皮細胞は、細胞分裂後も永久に変異が引き継がれるため、欠損した状態を安定的に維持した長期培養が可能となるという。

 富士フイルムは、この成果や、グループ会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリングなどが推進する再生医療分野で得られた皮膚のメカニズムに関する研究成果を、機能性化粧品の開発に応用していくとしている。

最終更新:4/11(火) 14:10
MONOist