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祝30周年!「FF」の吹奏楽コンサート「BRA★BRA」を観に行ったら想像以上に良すぎたのでレポートします

M-ON!Press(エムオンプレス) 4/11(火) 15:40配信

■軽い気持ちで行ったら超楽しかった!

FINAL FANTASY(ファイナルファンタジー、以下「FF」)のサウンドを吹奏楽で楽しむ公式プロジェクト、「BRA★BRA FINAL FANTASY」。作曲家・植松伸夫さんが生み出してきた「FF」ゲーム音楽が吹奏楽にアレンジされ、これまで3枚のCDを発売、また今年は3度目となるコンサートツアーが開催されています。

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このコンサートツアーは、植松伸夫さんによる制作総指揮と、演奏には日本を代表するプロの吹奏楽団“シエナ・ウインド・オーケストラ”という布陣。今やゲーム音楽のコンサートはあまり珍しくなくなりましたが、単発公演ではなく全国各地+台湾を巡り計20公演以上も行われるというから気合が入っています。「FF」の30周年イヤーでもある今年は3年目の開催。

今回はこの「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 2017 with Siena Wind Orchestra」(以下、「BRA★BRA」)より、4月2日に東京オペラシティ コンサートホールで開催された初日公演を観てきました。ちなみに「FF」の主要作品はほとんどプレイしている筆者ですが、コンサートについては事前に知識を入れない状態で参加。結論から言うと、ものすご~く楽しかったです……!

■「リコーダーで奏でるFFメインテーマ」のコーナーがすばらしすぎる

サックスやトランペット、フルートといった管楽器やパーカッションが主体となって演奏される「BRA★BRA」コンサート。初日の楽曲は、スーパーファミコン時代の作品(5~6)、プレイステーション時代の作品(7~9)を中心とした90年代の「FF」が大半を占める構成。1曲目の「FINAL FANTASY V メインテーマ」【FINAL FANTASY V】を筆頭に、「FF」ファンにはなじみ深い全17曲が披露されました。(セットリストは後述)

「FF」音楽といえば特にドラマティックなイベント音楽などがクローズアップされがちですが、ゲームをプレイしていると何度も何度も聴くことになる街やダンジョンのテーマ、汎用曲の良さも捨てがたいところ。「BRA★BRA」では、そういった“何度聴いても飽きない”系の曲たちにもスポットが当てられます。

そしてコンサート冒頭の、植松伸夫さんいわく「これはいわゆるクラシックの堅苦しいコンサートではありません!」というコメントが多くを語っていました。座席でジッと聴き入るクラシックのコンサートもいいのですが、「BRA★BRA」はお客さんの参加が積極的に促されるコンサート。ロックバンドのライブのようなコール&レスポンスがあったり……しかしそれを強要しない、押しつけがましくない関係性がいい感じ。

観客参加型の「FF」コンサート、その様子は2016年にテレビ番組「題名のない音楽会」でもオンエアされました。同番組内で紹介された「モーグリのテーマ」【FINAL FANTASY V】は、この日も序盤に登場。お客さんは手や体の一部をたたいてリズムをとるボディーパーカッションで参加することができます。

さらに、「リコーダー持ってきた人~!」という呼びかけからの「FINAL FANTASY メインテーマ」。「FF」第一作目からオープニング・エンディングなどで使われている名曲です。この曲のため事前にリコーダーの譜面が公開されており、練習してきたお客さんは着席したまま演奏に参加できるという試み。たくさんのリコーダーが一同に奏でる、上手な音も、ちょっと下手な音も混じった素朴な音色。これはちょっと油断していましたが、涙が出るほどよかった……。

■思い出の曲「親愛なる友へ」を斬新なアレンジで聴いた

コンサートの中盤では、演奏を曲ごとにチェンジする少人数編成のコーナーも。吹奏楽だとこういったバリエーションが実現しやすいというメリットもあるんですね。原曲のイメージとまったく異なるビッグバンド・ジャズアレンジになった「親愛なる友へ」【FINAL FANTASY V】は出色の出来でした。

ここで少しだけ筆者の個人的な思い出話を。『FFV』は初めてプレイした「FF」作品で、音楽も全曲口ずさめるほどに親しんだ一作。しかし小学生だった当時、3000円以上するサントラCDをおいそれと買うことはできず、かつゲーム音楽のCDはオモチャのような扱いを受けていたので親に買ってもらうこともなかなかできませんでした。しかしあるとき「電子音じゃなくて生演奏が入ったCDだったら買ってあげてもいい」という許しを得て、ついに買ってもらったCDが『ファイナルファンタジーV アレンジ・ヴァージョン ディア・フレンズ』でした。

こちらはスーパーファミコンで使われたオリジナル音源ではなく、作曲者・植松伸夫さん自身によるアレンジで生演奏をレコーディングしたアルバム。当時でこそ「オリジナルの音がききてぇ…」と思いながら聴いたものでしたが、いま思い起こせば大事な一枚になりました。シンセサイザーとフィンランド民族音楽の融合による本作のアレンジは、もともと北欧っぽい世界観のある「FFV」の音楽を生音で思う存分やったらこうなる……というのが伝わってくるもの。

そして現在、「BRA★BRA」の吹奏楽アレンジが自然に楽しめるのは、生演奏の「FF」アルバムが20年以上前から世に出ていたこと、それを(意図せぬ形であれ)自分も幼いときから聴いていた経験も大きかったかもしれません。「FF」の音楽から教わることって本当に多いです。

少人数編成コーナーのMCで、植松伸夫さんは「僕は飽きっぽいので、楽しい曲、悲しい曲、踊りだすような曲、色んな編成の曲がずらっと並んでいるコンサートが好き」と語っていましたが、これはまさにゲームミュージック(とそのサウンドトラック)のいいところでもありますよね。

■そんなにステージに上げて大丈夫か!? 「みんなで吹こう BRA★BRA FINAL FANTASY」はお祭り騒ぎ!

吹奏楽ということで、のどかなイメージ(?)が強いかもしれない「BRA★BRA」のコンサート、しかし実は激しい戦闘のテーマ曲も結構出てきます。今回は後半に「Force Your Way」【FINAL FANTASY VIII/通常ボス戦のテーマ】、「片翼の天使」【FINAL FANTASY VII/ラストバトルのテーマ】、「ビッグブリッヂの死闘」【FINAL FANTASY V/中ボス・ギルガメッシュ戦のテーマ】といった名曲が登場しました。

そして、この公演のラストを飾った「マンボ de チョコボ」【FINAL FANTASY V】は“観客参加型コンサート”の究極形。「リコーダーで奏でるFFメインテーマ」もすごかったですが、今度は楽器を問わず、演奏できる人はみんなでステージに上がって一緒に演ろう!というものでした。

思い思いの楽器を携えたお客さんたちがステージへとぞくぞく集結……。

植松伸夫さん、MCの山下まみさんももちろん参加!

さらに、演奏の準備をしていなかったという人も、会場の物販コーナーで買い物をするともらえるミニ楽器を使って参加できるというから徹底しています。筆者も、たまたま入場前に買ったグッズと一緒に小さなカスタネットをいただいたので、これでたっぷり叩かせてもらいました。

ということでコンサートは大団円。た……楽しかった……!

<<セットリスト>>
第一部
1. FINAL FANTASY V メインテーマ【FINAL FANTASY V】
2. ティナのテーマ【FINAL FANTASY VI】
3. Ami【FINAL FANTASY VIII】
4. モーグリのテーマ【FINAL FANTASY V】
5. FINAL FANTASY メインテーマ【FINAL FANTASY】
6. いつか帰るところ【FINAL FANTASY IX】
7. クレイジーモーターサイクル【FINAL FANTASY VII】
8. 反乱軍のテーマ【FINAL FANTASY II】

第二部
9. Force Your Way【FINAL FANTASY VIII】
10. グルグ火山【FINAL FANTASY IX】
11. 親愛なる友へ【FINAL FANTASY V】
12. 水の巫女エリア【FINAL FANTASY III】
13. Vamo’alla Flamenco【FINAL FANTASY IX】
14. エアリスのテーマ【FINAL FANTASY VII】
15. 片翼の天使【FINAL FANTASY VII】

アンコール
16. ビッグブリッヂの死闘【FINAL FANTASY V】
17. マンボ de チョコボ【FINAL FANTASY V】

■「BRA★BRA」のキーマン3名に手ごたえを聞いてみました

コンサート終演後、「BRA★BRA」のキーマンである3人にインタビューすることができました。お客さんとの一体感もバッチリのコンサートツアーは今回で3年目。これが始まった当初と今を比べるとどんなところが変わったのでしょうか。

植松伸夫さん:なんと言っても、スタッフの皆さんとどんどん知り合いになれていってる。第1回目の頃はスタッフさんも栗田さんもシエナのみなさんも、やっぱり初対面じゃないですか。だからどういう性格の方々で、どういうのが好きで……とか、そういうのがわからない。でも回数を重ねて、お酒を飲んだりコンサートの最中にいろいろお話ししてるうちに、だんだんお互いを知り合えて。回を増すごとに結束力はすごく高まってきてるなっていうのは思いますよね。だからそういう意味では、僕はどんどんやりやすくなってます。

栗田博文さん:一番最初は手探りで始まったんですけれども、僕は始めてすぐ思ったのが「全員が正直な人だ」ということですね。作曲家をはじめシエナのみなさんも「私がこういうことを思ってます」ということに関してウソは絶対につかずに、まぁ要するに、ボケたら必ず突っ込んでくれるわけです(笑)。音楽としても、バーンと球を投げたときに行ったっきり、ってことが全然なくて、逆にいうと一生懸命投げたらさらにブワーッと強く返ってくるし。反応はすごく良くなってきていて。人間がそうやってお互いのことを尊重しあいながら何かやっていくと、音楽もこんなに良くなるんだ……ってことを、僕はコンサートの時にいつも感じているので。特に今年は3回目ですから、それがさらに相乗作用で良くなっていると確信しております。

榮村正吾さん:普段は違うところにいる僕らが「こういうことやろう」ってパッと集まったときのチーム力の良さっていうのはやっぱり感じます。ひとつの公演を作るためのチームになれていると言うか。回を重ねていくたびに、それが普通のことになってるし。最初にあったような、ちょっとこう……“演奏者とお客さん”なのかな?みたいな探り合いもなくなってきてるので。僕らも演奏していてやりやすいですし。お客さんも意外にそういうことを敏感に感じてくれるんですよ。「僕らがただ座って演奏するだけ」というのではない方向に行けているのはすごくいいなと思います。

やはり3度目のツアーということで、演奏している方々も、お客さんとの関係性もどんどん良くなっていった成果が今回のコンサートということなんですね。

植松さんが「ゲーム音楽なりのオーケストラコンサートにしたい」と語る「BRA★BRA」は、3年の積み重ねを経て、そのひとつのベストな形に到達しつつあります。ツアーはこれから7月まで長く続くので、興味がわいた人はぜひ軽い気持ちで行ってみてください。超楽しいので!

取材・文/柳 雄大 CDジャケット撮影/松浦文生

(c) 2017 SQUARE ENIX CO., LTD. Character Graphic: Kazuko Shibuya

<<公演情報>>
4月2日(日)【東京】東京オペラシティ コンサートホール
4月8日(土)【秋田】秋田県民会館
4月9日(日)【岩手】盛岡市民文化ホール
4月14日(金)【福岡】アクロス福岡 シンフォニーホール
4月15日(土)【大分】iichikoグランシアタ
4月16日(日)【宮崎】メディキット県民文化センター アイザックスターンホール
4月22日(土)【埼玉】大宮ソニックシティ 大ホール
5月3日(水)【新潟】新潟県民会館 大ホール
5月5日(金)【福井】福井フェニックス・プラザ
5月7日(日)【富山】富山オーバード・ホール
5月12日(金)【北海道】札幌コンサートホールKitara 大ホール
5月14日(日)【東京】東京文化会館 大ホール
5月20日(土)【大阪】オリックス劇場
5月21日(日)【山口】周南市文化会館
6月2日(金)【長野】まつもと市民芸術館
6月10日(土)【青森】リンクステーションホール青森
6月11日(日)【福島】郡山市民文化センター 大ホール
6月25日(日)【奈良】奈良県文化会館
7月7日(金)【台湾】國家表演藝術中心國家音樂廳 (National Concert Hall)
7月15日(土)【愛媛】ひめぎんホール(愛媛県県民文化会館)メインホール
7月23日(日)【愛知】愛知県芸術劇場 コンサートホール
ツアー 席種・料金(全公演共通)
指定席¥6,800(税込)/学生シート¥4,800(税込)

最終更新:4/11(火) 15:40

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