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再犯防止へ就労支援、服役経験者らがNPO発足 徳島

朝日新聞デジタル 4/11(火) 14:30配信

 社会復帰を目指す元受刑者の就活を支援するNPO法人「轍(わだち)」が、徳島県に設立された。自身も服役した経験がある理事長の吉崎恵三郎さん(50)=徳島市=は「出所者ら一人ひとりと向き合い、再犯を防ぐ力になりたい」と話す。

 メンバーは11人。吉崎さんら3人が元受刑者だ。ほかに自営業者らが理事を務める。主な活動は、出所者や元暴力団員らへの就職紹介。すでに建設会社などが受け入れに手を挙げた。あるタクシー会社の社長(70)は「乗務員の数が減っており、やる気があれば受け入れたい」。将来は出所者ら向けの「自立支援ホーム」をつくる構想もある。

 吉崎さんは2008年3月に刑期を終え、すぐに現実を突きつけられた。刑務所にいた期間の空白が埋められず、「ハローワークで履歴書が書けなかった」。職員に元受刑者と明かし、介護補助の職に申し込んだが、連絡はなかった。

 半年後、県東部の小松島商工会議所のメンバーらが開く週末の市場に、串カツの露店を出す機会を得た。直売所に海産物を卸す仕事も始め、生活が軌道に乗った。「どんな仕事でもやるという思いだった」

 危機感を持ったのは1年ほど前。なじみのマッサージ店の女性に「覚醒剤を手に入れて」と頼まれた。それまで普通に接していたが、吉崎さんの入れ墨を見て、声をかけてきたようだった。就職に苦しんだ過去。もし、仕事が見つからない状態で、覚醒剤の売人に誘われていたら――。

 服役中、人に迷惑をかけてきた人生を振り返り、「罪滅ぼしをしたい」と思っていた。犯罪白書によると、2015年に刑務所に入った2万1539人のうち、再入所者は59・4%。出所後も就職できず、犯罪を繰り返す実態が浮かぶ。「経験を生かし、少しでも社会の役に立ちたい」と、就労支援を思い立った。

 商工会議所のメンバーで、めがね店を営む松崎浩文さん(51)に相談すると、「NPO法人を作れば、行政との連携がしやすくなる」と助言をくれた。「経験のない世界だが、一緒にやろう」と副理事長就任も引き受けてくれた。

 NPO法人の認証を担当した県環境首都課(当時県民環境政策課)の青木真了子(まりこ)さんは「設立趣旨書に熱い思いが込められていた。経験者だから分かることは多いだろうし、支援を受ける人も相談しやすいのでは」と話す。(藤波優)

朝日新聞社

最終更新:4/11(火) 14:30

朝日新聞デジタル