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香港大学の学生、東日本大震災の被災地で復興支援学ぶ  写真展も開催

みんなの経済新聞ネットワーク 4/11(火) 2:31配信

 香港大学構内Run Run Shaw Tower, Centennial Campusの展示スペースで現在、香港大日本研究学科の学生による体験学習「若手リーダー日本交流プログラム」を通じて学生が撮影した写真を展示している。展示会開催に先立ち4月6日、オープニングセレモニーが開催された。(香港経済新聞)

葉に希望を込めた思いを表現した学生の写真

 同プログラムは三菱商事の支援で実現したもので、東北地方における震災復興支援への関与、そして持続可能性に焦点を当てた企業の社会的責任(CSR)の取り組みについて学ぶ機会を実現したもの。2年をかけて作り込まれた交流プログラム支援は、香港三菱商事としては初の取り組みだったという。香港でのCSRの活動といえば、そのほとんどが「寄付」に終わる。植林をするにも広大な地域があるわけでなく、裕福な人も多い香港市場において「どのようなCSR活動を学ぶことに意義があるのか」といった点についても、新たなアプローチを実現した事業となった。

 同プロジェクトの実施に向けては、同大日本研究学科学科長のジャネット・ボーランド助教授が中心となって推進。自身も神戸での震災経験があるボーランド助教授の研究対象は「関東大震災後の復興」で、当時の子どもたちの作文や教育などを分析しながら、「当時とは時代や国民の年齢構成は違っても、震災後の復興には子どもが大切。復興は教育から」という信念を抱き、教壇に立つ。

 震災後に被災地各地に生まれた現象は「コミュニティーを作ること」。今回の5日間のプログラムでも三菱商事復興支援財団の支援先でもある石巻市の震災復興プロジェクトに関わる施設を見学し、参加学生は課題として写真を撮影、リポートとともに体験を報告することが課題とされた。

 震災で甚大な被害を受けた雄勝町にある施設「モリウミアス」は子どもたちのための複合エコ体験施設で、廃校になっていた小学校を改修し、サステナビリティ(持続可能性)という理念に基づいて2015年にオープンしたもの。ここでの震災当時の写真を見せられ、話を聞き、ショックが大きかったという声も聞こえる。震災直後、家族に止められながら日本に留学した廖凱瑩さん(19)は「震災の津波の高さ、自分がそこにいたら何もできないし、自分は弱くて何もできないだろう。震災は自然と人間との関係を教えてくれた」と話す。

 「秋保ワイナリー」は、震災後地域復興のために何かできることはないかという思いに駆られた建築士がオーナーに転身して立ち上げたという。訪れた学生たちは、宮城県唯一のワインの生産者として、地域振興と観光活性化を目指す構想に耳を傾けた。

 展示写真の中に、農地が震災により被害を受けたことから、水耕栽培を始めた「みちさき」で、700ヘクタールに及ぶ黄緑のプラントを背景に、自分の紡いだ一枚の葉にフォーカスした写真を選んだ何兆峯さん(22)は「東北の人の『失敗しても諦めない』という思いが一番伝わってきた一枚。ニュースの印象では野菜などに抵抗もあったが、目の前に広がるきれいな緑の畑を前に、とにかく葉はおいしかったし、葉に希望を込めている様子を表現したくて、この写真を選んだ」と話す。

 「東北の人は頭が良くても、かっこよくても、有名になったり、利益を追求する仕事に就いたりするのではなく、自然に感謝をして、これまでに経験したことでないことにもチャレンジできることに尊敬する」という香港らしいコメントや、多くの学生が撮影したサーモン丼の写真は、「これはたった一杯の丼だが、ここに到着するまでに仙台から車で2時間、木製のテーブルの上に採ったばかりのサーモンや帆立、ワカメなどが入った丼に、自然から入る光がキラキラとして、さらに特別なものに感じた」と体験を振り返る学生も。

 同展示会は香港大ジャパンマンスの一環として開催中。入場無料。今月末まで。

みんなの経済新聞ネットワーク

最終更新:4/12(水) 12:47

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