ここから本文です

本屋大賞に恩田陸さん「蜜蜂と遠雷」…直木賞に続きダブル受賞

スポーツ報知 4/11(火) 20:06配信

 全国の書店員が一番売りたい本を投票で決める「2017年本屋大賞」が11日、都内で発表され、大賞には恩田陸さん(52)の「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)が選ばれた。1次投票で全国446店564人、2次投票では288店346人が投票した。恩田さんは2005年に「夜のピクニック」でも本屋大賞を受賞しており、史上初の2度目の受賞となった。「蜜蜂と遠雷」では今年の直木賞に続いてダブル受賞となった。

 作品は国際ピアノコンクールを舞台に、音楽を通じて人間の才能、運命を描いた青春群像劇。

 壇上に立った恩田さんは「12年前に『夜のピクニック』が決まったと聞いたとき、半信半疑だったことを覚えています。92年にデビューしてから10回ぐらい(文学賞で)落選しているところだったので。そして今回もやっぱり半信半疑でした。2回もいただいていいんでしょうか。12年の間に賞が大きくなり、まぶしい。1回目に賞をいただいてからやってきたことは間違えてなかった。本屋大賞は私の誇りです」とあいさつした。

 作品のイメージは、ある日突然、恩田さんに舞い降りてきたという。蜜蜂の羽音を聞いて育った天才肌の少年ピアニスト、「蜜蜂王子」だ。

 「作品のモデルとなった人物は全然いないんです。最初に風間塵君(蜜蜂王子)が浮かんで、彼と絡めるピアノコンクールのコンテスタントはどういう人がいいだろう、と考えて、他の登場人物が浮かんできました」

 舞台となったのは、国際的にも評価が高い浜松国際ピアノコンクールをモデルとした架空の大会。天才少女ともてはやされるも大きな挫折を味わった20歳の女性、音大出身で妻子持ちの28歳の会社員、全米随一の音楽院で最も実力が評価されている19歳の青年…。コンペティションで蜜蜂王子と彼らが第1次から3次予選、そして本選へと競い合っていく。507ページ2段組みの長編だが、本選に入る頃には本を閉じるのが惜しくなる。

 「誰を勝たせるか、全く決めずに書いていました。本選を書いているときにも迷っていて、結果発表しないで終わらせようとも考えて(笑い)。書き終えた今となってはこの結果で良かったと思いますけど、最後の最後まで決められなかったです」

 転勤族の家庭に育った恩田さんは、青森、名古屋、松本、富山、秋田、仙台、水戸、東京と日本各地を転々として育った。失われるのが必然となった友人との付き合いには「なるべく執着しない」という習慣が身についた一方で、本はどんどん好きになった。今も年間300冊ほど読むという。憧れて来た作家にはロワルド・ダール、レイ・ブラッド・ベリなどの英米作家や坂口安吾、谷崎潤一郎。そして読書以外の趣味がピアノだった。

 「ピアノは4歳から中学校まで習っていました。転校を繰り返したので、いろんな先生に教わりました。高校ではフォークソングのバンド、大学ではジャズのビッグバンドでアルトサックスをやりましたが、今でもピアノを聴くのは一番好きなので、1回書いてみたいな、と思っていました」。

 めくるめくページからはクラシックの門外漢でも、ピアノの音が鳴り響いているかのような錯覚に陥る。そして「蜜蜂王子」による「狭いところに閉じこめられている音楽を広いところに連れ出す」というメッセージは、やがて競争相手をも共鳴させ、読者を呑み込んで行き、全国の書店員の心もつかんだ。

 「はじめは自分でも無謀だな、と思いました。表現することについてこんなに悩んだり、考えたりすることもなかった。でも小説では読者それぞれに音楽を想像してくれるわけで、無限の演奏が頭の中で鳴らせるんだなと思うと、意外に音楽と小説は相性がいいな、と書きながら思いました」

最終更新:4/17(月) 11:52

スポーツ報知