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吉岡里帆が明かす、芸能界サバイバルの心得

4/12(水) 8:40配信

オリコン

 昨年の朝ドラ『あさが来た』以降、4期続けての連ドラ出演。前期『カルテット』(TBS系)での演技が高い評価を受けるなど、瞬く間に若手実力派女優としてのポジションを確立した吉岡里帆。そんなブレイク中の吉岡にとっての芸能活動とは、あの名ゼリフの通り「人生、チョロかった」!? 女優業への向き合い方や意識の変化について聞いた。

【写真】自然光でのふんわり雰囲気もキュートな吉岡里帆

◆役のイメージで怖がられたりして、支障も来たしました(笑)

――『カルテット』は大きな話題になっていましたが、来杉有朱役が大反響だったのでは?
【吉岡里帆】 ありがたいことに反響がありました。でも役のイメージで怖がられたりして、支障も来たしました(笑)。私のラジオ番組に大塚愛さんが来てくださったとき、『カルテット』を観てくださっていて「怖くて何を話していいかわからない」と言われたり(笑)。でも、役柄でインプットしてもらえるのは、すごく嬉しいです。演じた意味があると思います。

――有朱を演じている最中は大変でしたか? 演技を楽しめていましたか?
【吉岡里帆】 楽しく感じるまでに時間がかかりました。4人の空気感があって、私はそれをクラッシュする役。つまり異物なわけです。最初は作品の温度感も掴めてなくて、どれぐらい斬っていいのか、刺しにかかるしゃべり方をしていいのか、加減がわからなくて。ずっと怖かったんです。あんなにキャリアのある方々とお芝居ができて、もっと踏み込めるはずだったのに、ちょっと尻ごみしたシーンもありました。試行錯誤でしたけど、第1話が完成してからは求められている役割がわかって、振り切ってやりました。

――たとえば「大好き大好き殺したい」が出る第5話の松たか子さん、満島ひかりさんとの長い会話シーンは、どんな準備をして臨んだんですか?
【吉岡里帆】 台本をいただいてから半月、あのシーンのことだけ考えて毎日を過ごしました。たとえば、どの言葉で松さんを刺しにいくのか、どれが満島さんに刺さるのか、ちゃんと把握していないと狙って刺せないので。そういう脈絡を意識しつつ、そんな感情になってしまうバックボーンを自分のなかにいくつも作りました。「私はあんな想いをした」とかイヤな過去を作れたら、ああいう小憎たらしい顔になれるんです(笑)。そんな経験をしてこんな人間になったんだと、自分に思い込ませることに時間をかけました。

――演技力の高い満島さんたちと渡り合うのも、圧を感じませんでした?
【吉岡里帆】 毎日、胃が痛かったです(笑)。他の仕事もあって、雑誌撮影でニコッと笑ったりもしないといけないのに、どうしても目が笑わなくて。「もう少し可愛く」と言われたりしました(笑)。それだけ役に入り込めていたのかもしれませんけど、まだ気持ちをコントロールできるほど経験値がないので。

――吉岡さんは有朱に限らず、はっきりした悪女とかより、タチの悪い感じの役が多いですよね。
【吉岡里帆】 陰湿で(笑)。本当に変人の役が多くて、いつも困っています。彼女たちがどういう人間なのかをちゃんと理解しないと、台詞が頭に入らないんです。入れようとしても、ただの言葉の羅列にしか見えない。彼女たちの言動が理解できて、初めて台詞が入り出す。私、燃費がすごく悪いんです(笑)。

◆私の人生が「チョロかった」とは全然思っていません! これから山あり谷あり

――女優として出演作品を重ねてきて、意識が変わったとか自信がついたとか、そういうきっかけになった作品はありますか?
【吉岡里帆】 朝ドラ『あさが来た』は大きな転機でした。お芝居は自分の主張ではないんだと気づくことができて。たくさんの人のなかの一部として生きる価値を、初めて体感できました。宜(のぶ)が宜であるだけで、みんながあんなに愛してくれて。「宜がいたからあそこで笑えた」とか、嬉しい言葉をたくさんもらえました。役として作品のなかで生きることは、こんなに充実感があるんだとわかりました。

――その『あさが来た』から連ドラ出演も4期続いて、「人生チョロかった」とも感じます(笑)?
【吉岡里帆】 いやいやいや、本気でそう聴かれたら悪意を感じます(笑)。でも、その台詞のことで言うと、『カルテット』の打ち上げのときに脚本の坂元(裕二)さんに「有朱の一番好きな台詞は何ですか?」と聴いたら、「『人生チョロかった』が書けたときは“勝った”と思った」とおっしゃっていました。作家さんがそんなに気に入った台詞を言えたのは本当に嬉しいです。でも、私の人生が「チョロかった」とは全然思っていません(笑)。これからも山あり谷ありでしょうから。

――客観的に売れっ子になって、身の周りの変化はないですか?
【吉岡里帆】 ビックリするくらい、ないですね(笑)。喜んだとたんに、なくなることもある仕事なので、それこそ「悲しいことより悲しいことは、ぬか喜び」というのがすごくわかります。仕事が増えるほど苦しいし、責任感が重くなります。初めてオーディションに受かった頃のほうが無邪気に喜べました。今は台詞の量も昔と全然違って、それだけ喋れば良くも悪くも作品に影響します。そう思うと怖いし、それゆえの嬉しさも噛みしめています。

――お話をうかがっていると、吉岡さんは本当に考え方がロジカルですよね。
【吉岡里帆】 すごく人に興味があって。どんな人がいて、どんな生き方があるのか……という好奇心が集めたデータが、たぶんお芝居と直結しているんです。感覚でドーンと出すことも大事ですけど、やっぱり一定の客観視できる力が要ると思っていて。そのために、この思考回路を使っている気がします。

――これから芸能界でサバイバルしていくために、必要だと思うことは何ですか?
【吉岡里帆】 目的を持つことが大事だと思います。どういう作品を作りたいのか? どんな人に必要とされたいのか? そこをシンプルに明確にしていくことかな。私はまだあやふやですけど、悪役をやってみて「人間くさい役はいいな」と思いました。誰にも認められない、どこかの誰かの胸にグサッと刺さる役を演じたいです。万人に受け入れられなくてもいいので。「あの登場人物は大嫌い。でも、あの気持ちはわかっちゃう」とか、ちょっと鬱屈した心にちゃんと刺さるようなお芝居ができる役者になりたいです。
(文:斉藤貴志)

最終更新:4/12(水) 8:40
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