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クロアチアの旅行者たちが見た日本 ー 一口サイズの優しさが溢れる国

4/11(火) 21:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

東京・池袋にある「泊まれる本屋」BOOK AND BED TOKYO -。世界各地からこのホステルを目指してやってくる旅行者たちにsayakaがインタビューをする。連載「BOOK AND BED TOKYO JUNCTION」

【日本という国が彼らの行動に与える影響は?】

第1回はクロアチアから日本にやってきたクロアチア人の男性2人、Mladen(マラデン)とIvan(イヴァン)。2人はそれぞれ全く違った仕事をしているが、サーカスマネージメント会社Novog Cirkusaの仕事を通して出会った。それ以来13年以上も大親友だ。とってもバランスが良いというのが2人の第一印象。カルピスはこの世で一番美味しい飲み物だと断言するお茶目なマラデンと、そんな彼の隣で優しく笑うイヴァン。そんな2人に今回の旅の目的、日本という国が彼らの行動に与える影響などについて聞いた。

ー では早速、2人についてちょっと教えて。

マラデン(以下マ):僕は製薬会社でリサーチアナリストをしてるよ。35歳。日本に来るというのは、毎回、僕と日本のラブストーリーになる。本当に大好き。何回か日本には来ている。前回は2013年。その時もイヴァンと一緒に東京に滞在したんだ。

イヴァン(以下イ):僕はジャーナリストです。今は5カ月にわたるアジア旅行中で、日本には1カ月ぐらいいるかな。マラデンが何度も日本に来たことがあって日本語も少し話せるから、日本だけ一緒に旅をすることになったんだ。

- どうしてこのBOOK AND BED TOKYOという場所を今回の滞在先に選んだの?

イ:僕たちが旅をするときに大事にしているのは、その場所がどれだけ非日常的で面白い経験をさせてくれるか。快適さや機能性も大事だけど、それは二の次かな。だから、このユニークな場所が池袋にあるという記事を読んだ時、面白そうだなと思ってね。それから僕は旅のブログ(Pipeaway)を書いてるから、記事の材料になると思ったのもあるよ。前回の日本旅行でも池袋周辺に滞在したけど、これはなかったのかな? あったとしても絶対わからないけどね。東京は巨大で人も多くて、常に変化してて、しかもおかしなことばかり。飽きないね。

- もう本はチェックした? どんな本を読む?

イ:今回日本に来たのは本を読むためではなく、この空間を楽しむため。一冊の本を数日で読み切るなんてできないし。でも、ここに居ること自体がすごく居心地がいいから満足しているけどね。

マ:そうだね。僕も一緒。ほら見て、あそこで日本人の女の子たちがパジャマを着てカメラに向かって面白いポーズしているよ。これを見てる方が何倍も楽しい。

- 今回の旅の目的は?

マ:前回日本に来たときは東京だけで終わってしまったんだ。だから今回は東京以外にも色々なところに行きたい。日光に猿を見に行ったり、もちろん奈良の鹿も外せない。

- どうして日本なの? しかも2人とも何度か来たことあるのに。

マ:どこの国もそうかもしれないけど、日本って来るたびに全然違った発見があるんだ。今回の旅ではバケーションで見る日本の表面だけじゃなく、もっと深いところも知りたいと思った。もちろん僕の日本語力じゃそんなにコミュニケーションは取れないけど、それでも分かることはたくさんある。今日もフクロウカフェに行ってきた。こんなの日本だけだよ。意味がわかんないけど、楽しいからいっか。それから日本の接客はやばい。どのお店に入っても店員全員がお辞儀をしていらっしゃいませと言う。タクシーのドアも自動だし、英語でThank youと言ってくれる。電車のホームで人を誘導する人もいるし、今日だって本屋で何の変哲もないノートとペンを買っただけなのに、わざわざ別々の袋に入れてラッピングしてくれたんだ。なんかとても特別な物を買っている気分になって、大事にしなきゃって思ったよ。そういう、自分の国にいたら気づかない心配りが日々の生活のいたるところに溢れている。自分も優しい気持ちになれるね。

イ:面白いのは、僕たちはいつも会ってるし、お互いのことを家族以上に知ってるけど、日本みたいなエキゾチックな国に来ると、お互い普段の行動とは別のことをすることだね。僕らの国では赤信号なんて無視して渡るのが普通だけど、日本人は車が来なくても青信号になるまでちゃんと待つ。僕が赤信号でも横断しようとしたら、マラデンがすごい目つきで僕を睨んできた(笑)。それからは電車でも静かに話すようにするし、列にもちゃんと並ぶ。自分自身の行動や考えも、一時的かもしれないけど礼儀正しくなって、迷惑かけないようにしなくちゃという気持ちになる。「一口サイズの優しさ」がいろんなところに転がってて、少しのドーズだけど、それが僕たちの行動に影響を及ぼしてると感じるね。

- それによって2人の関係も変わる?

イ:んー、それはないかな。マラデンはどこにいてもちょっとうざったいし、僕たちはずっとこんな感じ。

マ:ははは。

- あのやりすぎた接客が嫌になったりしない?

イ:あれは僕たちにもビジネスだってことは分かる。それでも、何も言わないよりは笑顔で迎えられて、丁寧に対応してくれる方が嬉しい。あの優しさが偽りだとしても、ポジティブなフェイクさだと思うね。

マ:やりすぎっていうのは感じるね。フレンドリーだけど、友達にはなれないフレンドリーさ。ビジネス上ではすごく役に立つけど、プライベートでは実際わかんないな。道を聞いたりしてもみんな親切に教えてくれるけど、そこからのラインは超えない。友達感覚で話しかけちゃったりしたら、怪しまれるのがおちかも。

- 外国人というだけで、日本人から懐疑的に見られてるなと感じる時ある?

マ:そりゃあいっぱいある。僕たちは明らかに外国人だから、日本人は僕たちをそういう目で見てくる。温泉だってちゃんと体洗ってから入るし、セルフィー棒で自撮りばっかりもしてない。でも日本人からしたら、僕らもそういう外国人枠の一部。だから日本人との間に距離は感じるけど、それは仕方ないことかな。僕たち外国人は、どんなに日本語が上手くても日本人だけの輪の中に自然に入っていくことはできないと思う。人一倍エクストラで努力しないと彼らを納得させることや、彼らの信用は得られない。僕は日本の文化を少しは理解してるし、他の外国人の見本になれればと思っているけどね。次回までイヴァンをもっと鍛えておくよ!(笑)

イ:僕は日本のことあまりわからないけど、マラデンの言ってることは肌で感じる。僕は日本語も全くだめだから、マラデンがいなかったら今頃完全に迷子だね。

マ:日本にはちょっと笑っちゃうような“日本のルール”っていうのがあるけど、世界もそれから学ぶことはいっぱいあると思う。表面的なことだけでなく、その行動に伴う心理やロジックなんかもね。クロアチアみたいな国に住んでる僕らにとってはその違いこそが魅力的。こんなに設備も規律も整ってて、カルピスの種類もいっぱいある国は羨ましい(笑)

- じゃあ今度日本に来るときはカルピスいっぱい用意しとくね。

2人:よろしく!

2人は日本のマイナスな部分も理解した上で、それを良い方向に捉えていた。そんな2人と話して、重要なのはオーセンティック性(本物かどうか)だけではなく、その裏にどんなインテンション(意図)があるかということを学んだ。私は日本の接客が嫌いだったが、少しはそのフェイクさが良いものとして見られるようになった気がする。とっても気さくで、快くインタビューに答えてくれた2人との会話は途切れることなく、終電ギリギリまで話し込んでしまった。2人のなんとも言えない距離感が羨ましく、そして居心地よかった。ありがとうございました。

最終更新:4/11(火) 21:10
BUSINESS INSIDER JAPAN

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