ここから本文です

【インディカーコラム】佐藤琢磨はアンドレッティに移籍し、キャリア絶頂期を迎えようとしているのか?

4/11(火) 12:36配信

motorsport.com 日本版

 誰も佐藤琢磨のオープンホイール・レースにおける才能を疑ったことはない。インスピレーションを必要とする悪条件下では特に、彼のその才能の全てを見ることができる。そして、4年前のロングビーチにおける彼のインディカーでの唯一の勝利は、幸運によるところはほとんどなかった。予選では4位につけ、80周のうち50周で先頭を走り、A.J.フォイト・レーシングに11年ぶりの勝利をもたらした。しかし、彼がこのレベルのパフォーマンスをレースの週末に維持するのは稀で、シーズンを通して見ると皆無に近い。

【ギャラリー】F1からインディまで……佐藤琢磨フォトギャラリー

 F1とインディの両方において佐藤に影を落とした欠点は、”熱狂”が度を過ぎてしまう傾向があったことだ。彼には多くのファンがいるが、彼らに言わせるとパフォーマンスの低いクルマで良い結果を出そうとした結果だと言う。彼を批判する人々も多いが、彼らも佐藤がクルマの性能以上のものを出そうとせずに、それなりにドライブすればはるかに良い結果をもたらすと言っている。そして、観客は4位で終わるものを3位に、また2位のものを優勝に持ち込もうとする一方でクラッシュもする佐藤に喝采を送るが、ほとんどのチームオーナーは無事にゴールし、ポイントと経験値をもたらすドライバーを好む。

安定したパフォーマンスと結果が、今年の目標

 しかしファンも批評家も、佐藤が自制することを覚えさえすれば、安定的に勝つことができる才能を有しているだろうということに異論はない。そして2001年に英国F3を圧倒的な強さで制覇したこの男は、アンドレッティ・オートスポートにおける最初のシーズンで、同様の思考を取り戻そうとしているように思える。今年の優先順位は2勝目を狙う事かシーズンを通しての安定したパフォーマンスを残すことかと問うと、後者だと佐藤は答えている。

「間違いなく安定した結果こそが目標です」

 佐藤はそうmotorsport.comに語っている。

「もちろん、レースには勝ちたいですよ。それは何とも言えない特別な感覚ですからね。だけど常に上位にいられるなら 2勝目はいずれ手に入るはずですし、僕はアンドレッティ・オートスポートにはその根本的な強さがあると考えています。 だからそのチャンスを得るために全てのタイプのコースで上位争いをすることが目標です」

 マイケル・アンドレッティのチームにおける、2017年の見通しに関する佐藤琢磨の楽観は間違ったものではない。A.J.フォイト・レーシングでの4シーズンの後、佐藤は速いチームメイトとデータを共有し、再びギャレット・マザーシードと共にマシンを作り上げることができている。ギャレットは、琢磨が7年前に初めてインディに参戦した際、KVレーシングで大きな助けとなっていた。

 今年、既にコース上で佐藤琢磨の良い面と悪い面が見られている。悪い面では、フェニックスでのテストとセントピーターズバーグの練習走行でのクラッシュだ(公平を期すなら、フェニックスで壁に突っ込んだのは彼だけではないし、セントピーターズバーグで新しいブレンボのブレーキパッケージを温める手順を忘れたのも彼だけではない)。

 良い面では、開幕戦でアンドレッティの全てのチームメイトを上回る5番グリッドを得て、レースでも5位でフィニッシュしたことだ。確かにファイナルラップでチームメイトのライアン・ハンター-レイに抜かれはしたが、ピットストップ中にホイールガンの問題が起きなければ、スコット・ディクソンと表彰台争いをしていたはずだ。彼のインディでのキャリアは、称賛と共に新しい章の始まりとなっただろう。

「A.J.フォイトでの4年間は、素晴らしい思い出や良い結果とともに、困難な時もありました」

 そう琢磨は振り返る。

「チームはいつも自分を信じてくれて、ファミリーのように感じさせてくれました。A.J.やラリー(フォイト親子)、エンジニアやクルーとあまりにも多くの時間を共に過ごしたので、離れるのは寂しさもあります」

「しかしアンドレッティ・オートスポートは、インディカーにおいて最も成功したチームのひとつであり、僕にとっては素晴らしい機会です。リソースや研究、そして強力なエンジニアたちは非常に印象的です。マイケル(アンドレッティ)とチームは2017年に向けて多くのポジティブな変化を約束してくれましたが、実際にそれは起こり始めています。インディアナポリスのショップでスタッフと多くの時間を過ごしましたが、とても歓迎されていると感じることができました」

「それから、古くからの友人であるギャレット・マザーシードとまた一緒に働いています。彼は2010年と11年にKVで面倒を見てくれました。アンドレッティに長く在籍しながら、とても信頼できる人がいることは素晴らしいです」

1/5ページ