ここから本文です

国内外で注目 「土の人」の山城知佳子 京都国際写真祭に参加へ

沖縄タイムス 4/11(火) 17:00配信

 沖縄県内を拠点に映像・写真作品を制作する作家の山城知佳子さんが、15日に京都で開幕する国際写真祭「KYOTOGRAPHIE2017」に参加する。昨年発表し、話題を呼んだ「土の人」をはじめ6作品を出品する個展「土の唄」が、堀川御池ギャラリーの3室を使って1カ月間開かれる。山城作品は14日から韓国・ソウルで始まる企画展「ムーブ・オン・アジア」にも招待されたほか、新設の「アジアン・アート・アワード」のファイナリストに選ばれるなど、国内外で注目が高まっている。(学芸部・吉田伸)

この記事の他の写真・図を見る

◆通底する「愛」

 今年5回目を迎える国際写真祭のテーマは「LOVE」。歴史的建造物の寺社や町家など16会場で各作家の個展が開催される。日本からは国内で新作を初公開する荒木経惟さんや山城さんら3人。海外からはロバート・メイプルソープや、アンディ・ウォーホルの肖像写真を撮影したアーノルド・ニューマンらの作品が紹介される。山城さんは「海外の来場者も多い展覧会と聞いている。多くの人に見てもらえるいい機会で、すごくうれしい」と喜ぶ。

 昨年11月、京都の同志社女子大で企画された展示やワークショップに呼ばれた山城さんの元を、国際写真祭ディレクターのルシール・レイボーズさんと仲西祐介さんが訪ねた。昨夏の「あいちトリエンナーレ」で「土の人」を見ていた2人は、国家主義が高まる風潮の中、本質的な人間の愛を考えるテーマを企画、山城作品に「LOVE」が通底するとして展示を求めたという。

 「土の人」は軍事基地がある辺野古や韓国・済州島などを舞台に、時を超えて生きる抑圧された人々の抵抗や希望を、3面ハイビジョン映像で表現した23分間の作品。山城さんは「『土の人』を発表して以降、韓国や台湾など各地の美術展だけでなく、写真展にも呼ばれている。これまでにない展開で、広がっている」と声を弾ませる。

◆移民描く芸術

 今年1月には「あいちトリエンナーレ」の芸術監督を務めた港千尋さんらが米ロサンゼルスで企画した「Transit Republic」にも参加。期間中企画された1時間の作品上映会とトークショーで、沖縄の基地の現状などについて話した。「見に来た1割は県系や日系米国人だったが、ほかの9割の人たちの多くは『沖縄に米軍基地があるなんて知らなかった。沖縄の状況を知ることができて良かった』といい反応だった」という。

 山城さん自身は訪れることができなかったが、サンフランシスコのジューイッシュ現代美術館での次世代への継承を現代美術で表現する企画展に、戦争の継承をテーマにした映像作品「あなたの声は私の喉を通った」(2009年)が展示された。「アートを通じて沖縄戦の継承を試みた私のパフォーマンスを、ホロコーストの問題を抱える美術館が自分たちの問題と変換して読み解いてくれたのではないか」と思いを巡らせる。

 メキシコと国境を接するカリフォルニア州。山城さんが訪れた1月は米大統領の就任式を挟んでおり、巡った各地のギャラリーでは移民政策をテーマにしたアート作品を多数目にした。「質の高い作品ばかりで刺激になった。起こったことをなぞる単なる記録でなく、今までにない視点に転換するアート作品にあふれていた」という。

1/2ページ

最終更新:4/11(火) 17:00

沖縄タイムス