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素晴らしく良くなった“オトナの道楽カメラ”、富士フイルム「X100F」

4/12(水) 5:55配信

ITmedia LifeStyle

 富士フイルムの「X100」といえばデザインが渋くて操作が指に気持ちよくて写りがすごくよい、というオトナの道楽カメラだった。元祖「APS-Cサイズセンサー搭載高級コンパクト」だ。

正面から見ると光学ファインダーがよく分かる

 初代X100の登場は2011年だから6年前。以来、そのコンセプトを受け継いだまま、地道に進化し、とうとうX100Fに至ったのである。初代から数えて四代目。

 これが素晴らしく良くなった。

 確かに基本的にはオトナの道楽カメラであり、カメラ好き・写真好きに向けたカメラには違いないが、そういう枠にはめちゃうのが惜しい。

 電源を入れたらさっと撮れる単焦点ならではの速写性はあるし、フルマニュアルの使い勝手を重視した操作系だが各ポジションをオートにしておけば(背景をぼかしたいときは絞りだけ2.0にしておけば)、凝った設定しなくてもいい絵をさっと撮れる。そういうときは広角的にも標準的にも使える35mm相当の焦点距離ってなかなかよい落としどころなんだなと思う。

 そういうカメラなのだ……ってどういうカメラなんだ?

●X100Fはどんなカメラか~操作系とハイブリッドビューファインダーに注目

 X100Fはフィルム時代のレンジファインダーコンパクトカメラのデザインをデジタルの世界に持ち込んだ高級コンパクト機だ。

 フィルム時代といっても、昭和中期から後期頃の趣味のカメラ。

 ちょっと大きめのボディにシャッタースピードや絞りなどのがっしりした数字が刻印されたダイヤルがあり、それらをカチカチと回して露出を決め、ファインダーを見ながらフォーカスをマニュアルで合わせてシャッターをカシッと切る感じ。

 X100系もずっと絞りリングはレンズに、上部にシャッタースピードダイヤルを持ち、さらに露出補正ダイヤルもついていてカチカチと回して好みの露出で撮るのが気持ちいい人ように作りになっている。

 X100Fからは新しくISO感度ダイヤルもついた。それも昔懐かしい、シャッタースピードダイヤルと一体化したデザイン。シャッタースピードダイヤルを持ち上げて回すとISO感度も変わる。フィルム時代のカメラを知ってる人には懐かしい操作系だ。とっさに変更するには向かないけど、頻繁に変えないなら問題ない。

 さらに最新のデジタルカメラであるから、前後に電子ダイヤルを持ち、機能を限定したメカニカルなダイヤルでは足りないところを受け持つ。でも、再生時以外はこのダイヤルは触らなくても大丈夫。

 この操作系、一見カメラの事を知らないと難しそうだが、「A」ポジションにすればその項目に関してはカメラ任せでOKってことなので、撮影モードダイヤルよりシンプルで分かりやすい。

 シャッタースピード? いくつにすればいいかわからんーとなったら「A」にすればいいのである。シャッタースピードもISO感度も絞り値も「A」にしちぇばフルオートになる。なんてシンプル。

 露出とともに大事なのはフォーカス。

 前モデルまでフォーカス位置の指定がちょっと面倒だなと思っていたのだが、X100Fではモニターの右上にAF枠移動専用のフォーカスレバーがついたので格段に使いやすくなった。

 AF枠のサイズも可変だし、AFは像面位相差AFの搭載で早くなったしで、かなり快適だ。

 そして左上にあるファインダー。

 このファインダーがものすごくこだわってる。

 「アドバンスト・ハイブリッド・ビューファインダー」である。名前が長い。ハイブリッドというのは「光学ファインダー(OVF)とEVFのハイブリッド」。初代X100から、レバー操作でOVFとEVFを切り替えられるという超マニアックなファインダーになっているのだ。

 そして前モデルのX100Tからは、OVF時に右下に小さくEVFエリアをもうけてそこにフォーカス枠を拡大表示することでOVF時にもフォーカシングしやすくした。それが「アドバンスト」。

 だいたいこんな感じ。

 実にマニアックである

 もちろん背面モニターを見ながら撮ることもできるが、せっかくなのでファインダーを覗いて撮る気持ちよさも味わいたい。

●画質については文句なしのレベル

 X100Fはフルマニュアル撮影を念頭においた凝った操作系を持っているが、いざ使ってみるとボディが大きめなこともあってグリップしやすいし操作もそう難しくない。

 画質はといえば、2016~2017年型Xシリーズ(X-Pro2やX-T2やX-T20)と同じ2,400万画素の「X-Trans CMOS IIIセンサー」に同じ映像エンジンを搭載しているので、実によい。発色も高感度時の画質もディテール描写も実によいデキだ。

 レンズは23mmF2.0の単焦点。センサーはAPS-Cサイズなので35mm相当になる。35mmF2の単焦点レンズをつけたコンパクトカメラなのだ。35mmというのは標準に近い広角。撮り方によって広角っぽくも標準っぽくも撮れる。

 ポートレートもいい。その場の光の雰囲気をきっちり捉えてくれるし、顔検出が効くのでAFも信頼できる。

 いいよねえ。さすが、レンズ一体型の設計なので描写力はすごく高くてボケかたも滑らかできれいだ。

 ホワイトバランスもムリにあわせにいかず、その場の光をちょっと生かす傾向であるなと感じる。

 23mm単焦点なのでレンズも薄くてボディとのバランスもよし。携帯していてもレンズが邪魔になることはない。

 ワイコンやテレコンも用意されているが、望遠に関しては「デジタルテレコン」機能がある。デジタルズームといえばそうだが、選べる焦点距離が50mm相当と75mm相当と限られているので「デジタルテレコン」だ。

 これがなかなかいい。等倍でみればデジタルズームかけたのはわかるが、よほど大きくプリントするのでなければ十分使える。

 ISO感度はISO200から12800で、拡張ISO感度として、下はISO100、上は25600と51200を選ぶことができる。

 撮影最短距離は約10cm。

 ISO感度ごとの撮り比べもどうぞ。

 ISO6400あたりまではかなりきれい。ISO25600でもあまり不自然さはなく使えそうだ。

 ISOオート時はAUTO1からAUTO3まで3種類のパターンを設定できる。

 シャッタースピードは最高で1/4000秒(ただし、F2では1/1000秒まで)。電子シャッターに切り替えると、1/32000秒まで上げられる。電子シャッター時のローリングシャッター歪みはけっこう大きいので普段はメカシャッターで使うのがいい。

 非常に明るい場所で絞りを開いて撮りたいときは、内蔵のNDフィルタを使うという手もある。

 フィルムシミュレーションモードで写真の雰囲気を変えるのも得意。特に最近追加されたモノクロの「アクロス」がいい。

 手ブレ補正はないが、メカシャッターによるショックもほとんどないのでしっかり撮ればOKだろう。

 X100も四代目にしてぐっと完成度が高まった感じだ。

 見た目はクラシックだが中身はイマドキのカメラなのでUSB充電も可能だしWi-Fiも使える。写真好きがカメラを1台だけ持って撮影散歩に行くのならこれはなかなかよい選択肢だ。

 35mm相当は身近な人を撮るにもいい。ほどよい距離感で撮れるし、AFも速くて快適だ。10万円超の単焦点カメラなので誰にでもってわけにはいかないが、写真好きなら一度手にしてみてもいいカメラである。

最終更新:4/12(水) 5:55
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