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ディバラがメッシを超える時…バルセロナ戦で見せた最高の輝きを見せた“ラ・ホヤ”/コラム

GOAL 4/12(水) 18:38配信

「時は来た!」

運命の一戦の開始を知らせる笛が鳴らされる前、ユヴェントス・スタジアムのスタンドには、決戦に臨む11人を鼓舞するため、コレオグラフィーが用意された。ユヴェントスの歴史上、最も待ち望まれた時の一つと言って良いだろう。2年前、ベルリンでのチャンピオンズリーグ決勝で敗れた相手へのリベンジを果たす時である。

そして、スターへの階段を上りつつあるパウロ・ディバラにとっても重要な瞬間であった。

次代を担うスーパースターの一人でしかなかった彼は、これから何年もの間ネイマールやアントワーヌ・グリエズマンといった選手たちとバロンドールを争うライバルであることを証明してみせた。ただ素晴らしいプレーをしただけではない。ユヴェントスがホームで3-0という勝利を収めた中で、開始早々の先制点と、バルセロナに大きなダメージを与える追加点を沈め、試合を決める仕事をしたのだった。

■先見の明を示したユヴェントス

ディバラは、母国アルゼンチンのクラブ、インスティテュートで18歳の時にプロデビューし、イタリアでもその光り輝く才能が知れ渡るようになった頃から、“ラ・ホヤ”(宝石)という愛称で呼ばれるようになった。

彼がシチリア島をホームタウンとするクラブ、パレルモに入団した2012年、パレルモの会長であるマウリツィオ・ザンパリーニは「“新たなセルヒオ・アグエロ”と契約した」と発表した。大きなことを言うことで知られるザンパリーニであるが、決してそれが大それた異名でないことはすぐに明らかとなった。そして、彼が成長するにつれ、異名はある種“グレードアップ”を遂げ、並外れた才能を持ったアルゼンチン人アタッカーは“新たなレオ・メッシ”と呼ばれ、さらに評価は高まった。

それでも多くのクラブはディバラがこれほどまでの選手になるとは信じていなかったかもしれない。辛抱ならない性格で、多くの監督の首を飛ばしてきたザンパリーニは、解任した監督たちにすらそういった綺麗事を並べてきたからだ。しかし、ユヴェントスはディバラの才能に何の疑いも持っていなかった。だからこそ、ユヴェントスはパレルモに対して3200万ユーロ(約37億円)の移籍金と、ディバラの活躍により発生する800万ユーロ(約9.2億円)のインセンティブを支払うことに躊躇はなかったのである。

イングランドのマンチェスター・ユナイテッドもディバラの獲得に興味を持っていたものの、21歳でまだセリエAで1シーズン活躍しただけの選手に対しては適正な金額ではないと判断し、獲得競争から早々と離脱したのだった。ポール・ポグバも同じようなケースであるが、ユナイテッドが逃したタレントはユヴェントスにとって素晴らしい買い物となるという興味深い結果になっている。

現にディバラはトリノでもすぐに輝きを放ち、マッシミリアーノ・アッレグリ監督を含む誰もが思っていたよりも随分と早くユヴェントスにとっては欠かせない選手としてスターティング・メンバーに名を連ねるようになった。

■トリノの愛すべきスターに

ディバラは昨シーズン、ユヴェントスをチャンピオンズリーグでベスト16に導き、バイエルン・ミュンヘンとの決勝トーナメント1回戦ファーストレグでは2-2の引き分けに持ち込むゴールを決めた。しかし、負傷によりセカンドレグを欠場し、ビアンコネーリが大会から姿を消したことで、最高峰の舞台で自分の価値を証明する機会を失うことになってしまった。

翻って、今シーズンはグループステージで爆発的な活躍をいくつか披露した。ただし、ノックアウトラウンドに入ってからは相手に抑えられるシーンも目立ち始めたことで、真の価値は準々決勝のバルセロナ戦で証明することが求められた。チャンピオンズリーグにおいて、これまで出場した13試合で決めたゴールがわずか3つのみという事実も、活躍が求められた理由の一つだった。

しかし、ディバラは開始7分という短い時間で、なぜ頻繁にリオネル・メッシと比べられるのかを、世界中に知らしめた。ペナルティーエリア内でフアン・クアドラードからパスを受けたディバラは、ターンからシュートまで一連の華麗なモーションでスタジアムに駆けつけたサポーターを魅了したのだ。一連の動きは実に美しかった。まさにメッシを彷彿とさせるプレーぶりだった。左足からシュートが放たれた瞬間に勝負は決まった。マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンの守るバルセロナのゴールにボールが突き刺さったのは、もはや必然だったのだ。

そして、ジャンルイジ・ブッフォンが驚異的な反応によりアンドレス・イニエスタのシュートを防いだすぐ後に、ディバラはドッピエッタ(2得点)を決めてみせる。

「テア・シュテーゲンはニアサイドへのシュートを決められるべきではなかった」という議論は起こり得るだろうが、ディバラがペナルティーボックス端から放った低い弾道の速いシュートはドイツ人キーパーも防ぎようのないシュートでもあった。

60分過ぎにジョルジュ・キエッリーニのゴールにより得点差は「3」となった。彼は2014年のワールドカップで対戦した際に“噛み付いてきた”ルイス・スアレスを完全に抑えただけでなく、得点まで決めて見せ、トリノでの快勝劇に華を添えた。とはいっても、新聞やニュースの見出しがホームで7試合連続ゴールを記録したディバラ尽くしとなることは間違いない。

この試合でも白星を手にし、今シーズンここまで12試合あった「ディバラが得点するとユヴェントスが勝つ」という不敗神話をさらに更新することになった。インスティテュートの宝石が、今ではビッグクラブ、ユヴェントスのラッキーチャームとなった。

ディバラは試合前に、同胞のスターと比較されることに対して「メッシは1人だけしかいない。みんなには、僕はパウロ・ディバラで、これからもパウロ・ディバラであり続けたいんだ、ということをわかってもらいたい」とあしらった。

残念ながら、おそらく本人の希望が叶うことはないだろう。今後もメッシとの比較は続いていくはずだ。しかし、ディバラは自分が最高の選手であることを自らの力で証明してみせた。

要するに、ついに“その時”はやってきたのだ。

そしていずれは、メッシをも超える時は来る。ユヴェントスサポーターだけでなく、すべてのサッカーファンにそう予感させる試合であった。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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最終更新:4/12(水) 18:38

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