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那須雪崩 「どうしてあそこまで…」 佐藤宏祐さんの父、真相究明を願う 栃木

産経新聞 4/12(水) 7:55配信

 生徒と教員8人が死亡した那須町の雪崩事故で、犠牲になった県立大田原高校の佐藤宏祐(こうすけ)さん(16)の父、政充さん(48)=大田原市=が改めて産経新聞の取材に応じ、真相究明と再発防止を願う気持ちを強調した。「どうして、あそこまで行ってしまったのか」。募る疑問への思いを訴えた。(伊沢利幸)

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 ◆強い衝撃物語る遺品

 宏祐さんら大田原高山岳部の生徒、教員は3月27日午前8時半ごろ、県内7校が参加した登山講習会で雪をかき分けて進む「ラッセル」の訓練中、雪崩に巻き込まれた。悪天候で茶臼岳登山は中止され、当日朝、決まった活動で、生徒らは那須ファミリースキー場(那須町湯本)から茶臼岳斜面の国有林に入った。

 政充さんは「リュックを見て驚いた」と振り返る。警察から自宅に返されたリュックサックは金属製のフレームが大きく変形し、「雪崩のすごさを感じた」。宏祐さんが強い衝撃を受けたことを物語る遺品に、親としてつらい気持ちが募る。

 「山に行ってくると、すがすがしい顔で帰ってきていた。山の楽しさを子供たちに教えてくれたのが先生だった」。講習会責任者らだけを責める気持ちはないが、事故の経緯を説明した記者会見の内容を知ると、釈然としない面はある。

 何よりも現場で何があったのか知りたいという思いが強い。引き返す機会はなかったのか。安全な場所にとどまる判断はできなかったのか。「『ちょっと待てよ』という先生はいなかったのか。勢いで行ったのか。そのへんを知りたい。どうしてあそこまで…」

 ◆「本当のことを知りたい」

 祖母、チカ子さん(74)も「(関係者には)嘘や隠し事なく、本当のことを言ってもらいたい。今の望みはそれだけ。何を言っても帰ってこない。誰を恨むわけでもないから、本当のことを知りたい」と涙ながらに訴える。「一人っ子なんですよ。『行ってきます』『ただいま』の声が聞こえなくなって…。いい成績で頑張っていた自慢の孫だった。みんなに好かれた子だったのに…」

 政充さんは静かに強調する。「警察の捜査や(県教育委員会の)検証委員会の調査が進み、徐々に明らかになっていくと思うが、本当の真相究明につながってほしい。自分たちはかけがえのないものを失った。今さら戻ってこないから、せめて再発防止に向けた真相究明だけはしっかりしてほしい」

最終更新:4/12(水) 7:55

産経新聞