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焦点:トランプ効果が米国の「分断」加速、政策合意の障害に

ロイター 4/12(水) 13:48配信

Chris Kahn and James Oliphant

[ニューヨーク/ワシントン 6日 ロイター] - 米共和党支持者は一般的に、政府当局者が国政運営の過程で個人的利益を得るべきではないという点に同意しているが、それがトランプ大統領だとすれば問題はないと大半が考えている。

一方、民主党支持者は国家が運営する医療制度について、おおむね賛同しているが、そのアイデアをトランプ大統領が支持していたと知ると、その賛同率は急激に低下する。

政治、文化、経済といった主要課題について、ただでさえ米国の有権者に深い分断が生じているなか、「トランプ大統領」という要素が絡んでくると、さらに世論が二極化する傾向があることが、ロイター/イプソスの最新世論調査で浮き彫りとなった。

重要な政策課題についてコンセンサスを得ようとしても、単にトランプ大統領が関わってくるだけで合意形成が困難になってしまうという状況を、この調査は示している。

2月1日から3月15日まで、1万4000人近くを対象に実施された今回の調査では、税制や犯罪対策、報道メディアなど関する過去のトランプ発言を取り上げ、それについてどう考えるかを人々に質問している。多くの場合、トランプ大統領に対して自分がどう思っているかを基準として、自分の意見の方向性を決めている様子がうかがわれた。

たとえば共和党支持者は、米国が歴史的に他の先進国とは異なっているとする「米国例外主義」について、トランプ大統領が「他国に対して失礼」と発言していたことを知ると、その発言に同調する傾向が強くなる。また、核兵器の増強や政府のインフラ支出についても、トランプ大統領がそれらに前向きだと聞くと、賛同する傾向が強くなった。

民主党支持者は、その逆だ。トランプ氏が懸念していることが分かると、インフラ整備に対する支持は薄れ、米司法への批判も鈍くなり、都市犯罪の増大についても同意が低下する。

「彼が言うことすべてに、基本的に反対だ」と語るのは、この調査に参加したフロリダ州ジャクソンビルの民主党支持者、ハワード・ハウスさん(58)。「あの男に対しては、ほぼ心を閉ざしている」

世論を二極化させる大統領はトランプ氏が初めてではない。

1995年にワシントンポストが行なった世論調査では、当時のクリントン大統領のアイデアだと思われる法案には、民主党支持者が賛同する傾向があった。2013年にハート・リサーチ・アソシエイツが「2010年医療費負担適正化法」について調査したところ、この法案を「オバマケア」という別名で呼んだ場合には、支持と不支持双方の傾向が強まることが確認された。

だが、ギャラップの世論調査によれば、就任間もない時点での支持率は、トランプ氏よりも歴代大統領の方が高かった。それだけに、彼らは世論の分断にうまく対処できる立場にあったと言えるかもしれない。ギャラップ調査によれば、4日時点でのトランプ氏の支持率は42%である。先週は35%にまで下がっている。

ホワイトハウスでは、今後数カ月のあいだに包括的な税制改革パッケージや、大規模なインフラ投資計画を成立させたいとしており、恐らく「オバマケア」撤廃にも改めて取り組むだろうが、今のところトランプ氏は、おおむね有権者からの批判に直面している。

トランプ大統領は政治的なコンセンサスを構築するために、選挙期間中に彼を支持しなかった人々にも働きかけようと努力してきた、とホワイトハウスは説明する。

「この国をどうすればもっと良くしていけるのか、大統領との話し合いの席に着いて率直な議論をしようと望む多種多様な人々に対して、ホワイトハウスのドアは開かれている」とホワイトハウスの広報担当者は電子メールで述べている。

<党派対立激化のトランプ時代>

今回の世論調査では、回答者を2つのグループに分け、それぞれにここ数年のトランプ発言について共通した質問を行った。ただし、一方のグループには、それが大統領の発言であることを知らせなかった。その上で、それぞれの発言について賛成か反対かを尋ねている。

トランプ大統領の発言だと分っても、回答傾向にほとんど影響を与えない場合もいくつかあったが、大半の発言において、大統領の名前を出すことで、結果が変化した。最も大きな影響が見られたのは、利益相反に関する一連の質問だ。

共和党支持者のうち、「公職者」が政府内の地位を利用して金銭的な利益を得ることに対して「気にしない」と答えたのは約33%である。だが、もう一方のグループに対して、主語を「公職者」から「トランプ大統領」に変えた場合、「気にしない」と回答した共和党支持者は、2倍以上の70%に達したのである。

回答者の一部は、トランプ氏を特別に例外扱いしている自覚はある、とその後の面接調査で語っている。

医療分野で働くテキサス州フォートワースのスージー・スチュワートさん(73)は、「結局は信頼の問題」だと指摘する。ほとんどの政治家については、個人的利益と政府の仕事を混同することを禁じるべきだが、大統領選でトランプ氏に投票したという彼女は、トランプ大統領にはそうした権利を自力で勝ち取ってきた、と言う。

「彼は非常に賢明な人物だ」とスチュワートさんは語る。「彼は、自分が素晴らしい経営者の1人であることを実証している。何かを作り上げる人物だ。この国にとって最善のことをやるビジネスセンスを持っていると思う」

前出したフロリダ州在住の民主党支持者であるハウスさんは、昨年の大統領選ではヒラリー・クリントン候補を支持していた。政治的には対極にあるが、やはりトランプ氏を特別扱いしていると語る。ただし彼の場合、トランプ氏が支持することにはすべて反対、という意味だ。

もしトランプ氏が「空は青い」と発言しても、「本当かどうか外に出てチェックする」とハウスさんは語る。

テキサス大学オースチン校で党派性について研究しているジョン・ビュロック氏は、政治に関する世論調査において、人々がどのような動機によって特定の回答をするのか厳密に言い当てるのは不可能だ、と言う。

回答者のなかには、質問の背景を読んで、トランプ大統領に賛成することになるのか、それとも反対することになるのかを考えつつ答える人もいるだろう、と同氏は言う。ただ、それ以外の回答者はその問題について深く考えたことがなく、トランプ大統領の名前を手掛りとしてどう答えるかを決めている可能性もあるという。

「そうした人々は、トランプ大統領のことを、自分と価値観を共有できる人物、もしくは、決してそんなことはできない人物だと考えている」と同氏は語る。

(翻訳:エァクレーレン)

最終更新:4/12(水) 13:48

ロイター