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<東日本大震災>被災地企業助成45%辞退 検査院指摘

毎日新聞 4/12(水) 23:21配信

 東日本大震災で被災した自治体の企業立地を支援する国の補助事業について会計検査院が検査したところ、2013~15年度に採択された512件のうち45%に当たる232件で事業者が辞退していたことが分かった。復興予算として同事業に2090億円が計上されたが、15年度末までに執行されたのは111億円(執行率5.3%)どまり。国は16年度以降を被災地の自立につなげる期間と位置付けているが、産業復興の難しさが浮かんでいる。【島田信幸】

 検査したのは、青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県に工場などを新設、増設する企業に、経済産業省が基金を通じて経費の一部を補助する「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」。公募に対し、企業は立地先の県と調整して申請し、基金側が事業内容を審査して採択する。企業には地元住民の雇用が義務付けられ、設備の完成後に補助金が交付される。

 検査院によると、岩手県は8市町で37件が採択されたが19件で事業者が辞退し、宮城県も14市町で161件が採択されたが81件で事業者が辞退した。両県とも辞退率が50%を超えた。辞退した全事業者で計2738人の地元雇用を見込んでいたが実現しなかった。未執行の約1980億円は基金に積み残されており、事業は20年度末まで続く。うち約757億円は交付先が決定している。

 岩手、宮城両県によると、計画していた土地が取得できない▽資材高騰による事業計画の見直し▽地元雇用の達成が困難--が主な辞退理由。岩手県の担当者は「津波の土砂置き場などの解消が予定され、企業誘致の必要性は高い。事業は途中段階」と指摘する。

 ◇5兆円使われず

 東日本大震災の復興予算として国が2011~15年度に計上した総額約33兆円のうち、少なくとも約5兆円(14.9%)が15年度末時点で使われていなかったことが、会計検査院の調べで判明した。検査院は12日、被災者の生活再建の見通しなどを十分に把握し、着実な事業実施を後押しするよう国に求める報告書を提出した。

 内訳は、国の予算ベースで繰り越しなどの剰余金が計1兆9229億円。国から地方に配分された交付金・補助金が計2兆5066億円、自治体負担を軽減する震災復興特別交付税5758億円が積み残されていた。

 交付金のうち、自治体支援の柱とされた復興交付金は、5年間に計画された事業費2兆6429億円の執行率が61.8%。事業費全体の約半分を占める住宅整備関連4事業の執行率も69.3%にとどまる。合意形成や用地取得の難航などが影響したとみられる。

 また復興関連基金4兆4483億円のうち、1兆3746億円が未消化だった。【松浦吉剛】

 ◇避難所2割、耐震課題

 津波被害を受けた東北3県の太平洋沿岸31市町村が16年3月末時点で指定した避難所計1059カ所のうち、226カ所(21.3%)が耐震性に課題を抱えていたことが、検査院の抽出調査で明らかになった。各自治体は検査院に対し、耐震診断の実施や指定そのものの見直しを検討するなどと回答している。

 建物が耐震基準を満たしていなかったり、自治体が耐震性の有無を把握していなかったりする避難所は、調べた岩手県12市町村のうち9市町村で132カ所、宮城県15市町のうち8市町で92カ所、福島県4市町ではいわき市の2カ所だった。民間施設について把握が進んでいない傾向がみられる。

 岩手県大船渡市は避難所計64カ所のうち、社寺など44カ所に懸念がある。同市担当者は「代わりの建物がない。管理者に耐震診断を働き掛けるにも予算の裏付けが必要になる」と話す。【松浦吉剛】

最終更新:4/13(木) 5:37

毎日新聞