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「南阿蘇水の生まれる里白水高原」日本一名前の長い駅は不通のまま…熊本地震から14日で1年

スポーツ報知 4/13(木) 6:04配信

 最大震度7を記録し、関連死も含めるとこれまでに200人以上が死亡した熊本地震から14日で1年を迎える。スポーツ報知では、現在も地震の爪痕が各地に残る中、前に向けて歩み続ける被災地の姿を「明日へ」と題して紹介する。

 阿蘇大橋の崩落など、熊本地震で大きな被害を受けた南阿蘇村を含む高森―立野間を走る「南鉄」こと南阿蘇鉄道は、地震から3か月半後の7月31日に高森―中松間7・1キロが部分開通したものの、鉄橋やトンネルの損傷などにより、現在も10・6キロは不通のまま。列車の走る音が聞こえない駅のすぐそばで、全線開通と「日本一の復活」を待つ人がいる。

 「南阿蘇水の生まれる里白水(はくすい)高原」。読みが22文字の駅名は、茨城県を走る鹿島臨海鉄道の「長者ケ浜潮騒はまなす公園前」と並び、日本一の長さだ。だが、部分開通は1・4キロ離れた隣の中松駅まで。4月14日を最後に、駅に列車は到着していない。

 渡邊重行さん(60)は、その駅前で食堂「田舎ごはん きしゃぽっぽ」を営む。南阿蘇村で生まれ育ち、一時は故郷を離れていたが2年前に帰郷し、2015年5月に店をオープンした。「地震の前は、妻と一緒になるべく店の外に出て、乗客や運転手に手を振っていました。朝は早くから通勤・通学のために駅を利用する人を送ってくる車がドアを開け閉めする音がバタバタして…。当時は『うるさいなあ』と思っていましたが、聞けなくなると寂しいですね」と声を落とす。

 地震発生前は高森駅から列車で店に酒を飲みに来て、終電で帰るという客もいた。地震により客数は大幅に減少したかと思いきや「必ずしも客足が鈍ったということはない」という。「なぜなら地震で被害を受けて、店をやめた人がいるから。数が減ったぶん、うちに来てくれるということもあるんです。だから、一概には喜べません」

 現在も、週末になると車を利用して駅を訪問する鉄道ファンもいる。「でも、やっぱり南鉄に乗って駅に来てほしい。今は列車が走っていないので『日本一』は“一時お預け”の形ですから。地元の人間にとっても『日本一』は誇りですし、強い思い入れがあります。それに、鉄道がなくなると一気に過疎化が進んでしまうんです」

 毎週日曜には地元の住民が交代で駅を掃除。いつでも列車を迎え入れる準備はできているが、見通しは立たない。南阿蘇鉄道によると、3月に国による被害状況の調査が終了。その結果を受け、今後の復旧方針が決まるという。(高柳 哲人)

最終更新:4/13(木) 6:09

スポーツ報知