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ビートたけし主演ドラマ『破獄』 山田孝之が脱獄犯役を熱演【コラム】

4/12(水) 14:51配信

オリコン

 きょう4月12日は、テレビ東京の開局記念日。秋には東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に開局した。この開局記念日に、ドラマ特別企画『破獄』(後9:00~11:18)が放送される。「主演は3年ぶり」というビートたけし演じる看守と、山田孝之が演じる史上最悪の脱獄犯の壮絶な闘いを描いたドラマ。というか、もはや映画。地上波のテレビで観られるのはひとえにスポンサーのおかげなのだと、だから視聴率も大事なのだと、突き動かされた。

【場面写真】橋爪功、松重豊、寺島進ら出演者

 原作は故・吉村昭さんの同名小説(新潮文庫)。刑務所を4回脱獄した実在の男をモデルにした小説で、読売文学賞を受賞した。ドラマの脚本は、『夏目漱石の妻』(2016年、NHK)で第25回橋田賞を受賞した池端俊策氏。監督は、『60歳のラブレター』(2009年)で商業監督デビューし、『神様のカルテ』(11年、14年)、『サクラダリセット』(前篇が公開中、後篇は5月13日公開)などの深川栄洋氏。たけし、山田のほか、吉田羊、満島ひかり、橋爪功、寺島進、松重豊、勝村政信、渡辺いっけい、池内博之、中村蒼らが出演する。

 ドラマは、日本軍がハワイ真珠湾を攻撃した翌年の昭和17年6月深夜、秋田刑務所に収監されていた無期懲役囚・佐久間清太郎(山田)が、2度目の脱獄を成功させたところから始まる。その情報は、東京・小菅刑務所の看守部長・浦田進(たけし)にも伝えられた。佐久間は青森でも破獄した危険人物で、秋田に移る前は小菅にいて、浦田だけには従順だった。3ヶ月後、浦田の前に佐久間が現れ、横暴な秋田の看守を訴えてほしいと言い出す。浦田の通報により、佐久間は北海道・網走刑務所へ送られる。浦田もまた網走の看守長として網走へ転任が決まり、2人の闘いが始まった。

 獄房で厳重な監視を受ける佐久間と、彼を必死に閉じこめようとする看守たちの攻防。脱獄などせず刑期を全うすればもっと早く出られるのではないか、と思うのだが、なぜ佐久間は逃げたがるのか。やがて、戦況が悪化して、若い看守のもとには容赦なく赤紙(召集令状)が届く。戦地に行きたくない、死にたくない、と思っていても、当時の多くの日本人は逃げなかったし、逃げられなかった。佐久間の身勝手な言い分、行動が、うらやましくも思えてくる。

 このドラマの試写を観た翌日、たまたまテレビで人気アイドルグループ・欅坂46の新曲「不協和音」のパフォーマンスを観た。「僕は嫌だ」とカメラを睨みつける平手友梨奈を観て、『破獄』の山田が思い出された。少女たちの激しいダンスに目を奪われながらも、「僕には僕の正義があるんだ」「一度妥協したら死んだも同然」「支配したいなら 僕を倒してから行けよ!」といった歌詞が耳に飛び込んでくると、「佐久間か」と腑に落ちるものがあった。

 ドラマで描かれるのは戦中・戦後の混乱した時代、原作小説が発表されたのはバブル景気が起きる少し前の1983年。故・緒形拳さん主演で85年にNHKでドラマ化され、それ以来、32年ぶりの映像化でも色あせない普遍的なテーマ。きっと、このドラマは観た後、しばらく経ってからも、思い出しては内容をかみしめることがあるに違いない。

 そして、戦中も、戦後も、考えがブレることなく看守としての仕事を全うする浦田の姿に、そうありたいという希望を感じた。たけしは制作発表会見で「戦争中、一般国民や看守よりも囚人のほうがいいものを食べているという話をこの作品で初めて知った。当時の日本のある種の裏の部分をかなり細かく描いた作品になっていると思う。かなりキツいシーンもあるんだけど、知らず知らずに引っ張られる作品。軽いドラマが多い中でかなりズッシリくるところが、いいんじゃないでしょうか」と作品をアピールしていた。<記者コラム>

最終更新:4/13(木) 11:51
オリコン