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モルディブの島民が泳げなくなった訳

ウォール・ストリート・ジャーナル 4/12(水) 13:27配信

 【マレ(モルディブ)】インド洋に浮かぶモルディブは海に囲まれた楽園と形容されることも多く、その輝くような水の青さはさまざまな紀行文でも紹介されている。だが最近は泳げない島民が増え続けていることが問題となっている。

 「自分も泳げるべきなのだろうが」と話すのは、弁護士のハッサン・シヤムさん(33)。しかし「モルディブ人というだけで海育ちと思われがちだが、実際はそうではない」と続ける。

 1190もの島々からなるモルディブで、住民たちは何世紀にもわたり漁業や貝を採るなどして生活を営んできた。だが海外から裕福な観光客が訪れ始め、豪華なリゾートが建設されたことで状況は一変。高級旅行ブームが押し寄せたことで住民の収入も増え、教育の機会などを求めて首都マレに移り住む島民が増えていった。

 首都マレには現在、約15万人が暮らす。1平方マイル(約2.6平方キロ)に満たない土地に国の人口の40%が集中している計算だ。

 モルディブのライフガード協会が5年ほど前に行った調査では、地元の高校1年生のうち泳げる生徒はわずか10%にとどまった。対照的に赤十字社の2014年の調査によれば、米国のティーンの49%は泳ぐことができる。

 シャーヒナ・アリさん(50)は海の生態系について子供たちにボランティアで教えている。だが最近は近場にあるサンゴ礁よりも他国で雪を見た経験がある子の方が多いという。

 モルディブの海洋研究センターで事務局長を務めるシハム・アダム氏は「急速な発展の副作用だ」と話し、「海と密接な関係はもう失われてしまった」と続ける。

海面上昇も一因に

 この傾向に歯止めをかけようと、民間のスイミングクラブは都市部で育った生徒数百人に泳ぎ方を教えている。だが大人はそう簡単にはいかない。大学講師のアーメド・ファリズ・ニザールさん(33)は泳げない人たちと早朝に集まり、人目が少ない時間帯を狙って練習を続けているという。

 「海で上手に泳いで楽しんでいる人を見ると、自信を失ってしまう」とニザールさんは語る。「こんなに単純なことすら、自分にはできないのか」

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最終更新:4/12(水) 13:27

ウォール・ストリート・ジャーナル