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阿蘇の宿、客足なお遠く 損壊で10ヵ月休業も 修学旅行予約激減

西日本新聞 4/12(水) 10:29配信

 熊本地震の発生から間もなく1年。西日本新聞は旅行客の激減に悩む熊本県阿蘇市の観光旅館・ホテル主要20施設を対象に、地震の影響、復旧の状況、宿泊客数の動向などを調査した。対象施設は全て建物などに被害が出ており、今も途上にある復旧に数億円が見込まれる施設も複数あることが分かった。

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 調査は、阿蘇温泉観光旅館協同組合加盟の施設を対象に実施した。被害は建物内部の隆起、基礎部分の亀裂、壁の倒壊、漏水、天井落下、空調設備の損傷などが挙げられた。建物が大規模損壊し、10カ月の休業を強いられた施設もある。

 温泉旅館にとって大切な泉源が被害に遭ったのは12施設。地下で地層がずれて使用不能になった。ほとんどの施設が新しい井戸を掘って泉源を確保したが、一部は今も掘削工事中だ。

 施設被害とともに、地震(本震)直後は電気や水などのライフラインも途絶えた。観光地の命脈である広域道路も寸断され、組合の集計によると、宿泊予約のキャンセルが本震後40日の時点で約15万人に達した。

この1年は1校もなかったホテルも

 修学旅行への影響は、地震前まで年間約15校(約3500人)を受け入れたホテルが、この1年は1校もなかった。別のホテルは「例年1万3千人が宿泊していたが、地震後は300人にとどまる」と答えた。

 多くの施設は本震から3カ月が過ぎたころから宿泊客が戻り、7~9月は前年比で稼働率50%を超えた施設が6割あった。復旧工事関係者やボランティアの利用とともに、国の支援で旅行代金を割り引く「ふっこう割」が寄与した。

 旅館・ホテル20施設の収容力は計約千室(約2500人)。施設によって収容力も稼働率も異なり、「7月以降、現在まで工事関係者で満室状態」というホテルも一部あるが、多くは前年比で大幅減収を見込んでいるという。

 打撃を受けた阿蘇観光の復興の鍵は何か。多くの施設が「一部区間で不通が続く国道57号とJR豊肥線の早期復旧」を挙げたが、次の意見もあった。

 「阿蘇観光は阿蘇山を中心にした自然景観の恩恵で成り立ってきた。これからも阿蘇が旅の目的地に選ばれるためには、熊本地震の体験を旅行者に伝えるとともに、各旅館が独自の魅力を発信していく必要がある」

=2017/04/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:4/12(水) 10:29

西日本新聞