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『T2 トレインスポッティング』過去とシンクロして進む20年後を描いた続編

dmenu映画 4/12(水) 15:10配信

90年代を代表する映画の続編『T2 トレインスポッティング』(以下『T2』)が4月8日から公開されました。前作公開時のイギリスは、ロックバンドのオアシスやブラーをはじめ、トップモデルのケイト・モスなどが人気沸騰し、イギリス文化が世界中に広まった“クール・ブリタニア”現象の真っ只中。音楽やファッションなど、パンクなカッコ良さが詰め込まれた作品の続編も、現代の世相を映した疾走感あふれる展開になっています。

変わらないダメ男たち

『T2』は、前作と同じく監督はダニー・ボイルが務め、メインキャストの4人や当時のガールフレンドまで同じメンバーが登場し、前作から20年後の設定を描いています。強めのビートが刻まれる音楽で、冒頭からいきなりスクリーンに引きつけられた前作同様、『T2』でも音楽がストーリーのアクセントとなり、テンポ良く流れます。

スコットランドでドラッグや窃盗など、退廃的な青春を送っていた主人公の4人たち。前作の最後に仲間と稼いだ大金を持ち逃げしたマーク・レントン(ユアン・マクレガー)は、オランダから故郷に戻り、ずる賢いシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)は、パブを経営しながらゆすりなどの裏稼業も盛ん。お人好しだけれど、頼り甲斐がないスパッド(ユエン・ブレムナー)は家族からも冷遇されています。血の気が多く喧嘩っ早いベグビー(ロバート・カーライル)は刑務所に服役中と、20年前と変わらず破滅的な生活を送っています。

その4人がお客からお金を巻き上げていたパブや、マークが暮らしていた電車柄の壁紙の部屋など、20年前と同じ場所に主人公たちが現れることによって、変化した風貌と変わらない性格が浮き彫りになります。

大金をもらい損ねて恨みを募らせているベグビーに追われたマークが車のボンネットにぶつかるシーンや、亡くなったかつての仲間、トミーと訪れた場所を再訪する場面など、記憶がフラッシュバックするように、前作の映像も効果的に差し込まれます。前作を見ていない人にも、リアルな20年分の時の流れが突きつけられ、ハチャメチャな人生を生き抜いてきた彼らの存在が、より一層奇跡的に思えてきます。

未来を揺さぶる新たな問題提起

前作で一般的な日常や幸福に疑問を投げかけ、ドラッグや暴力など刺激的なシーンと革新的なサウンドトラック、さらに「人生を選べ」という象徴的な台詞を持って、見ている側の人生に大きく揺さぶりをかけてきた『トレインスポッティング』。

『T2』では、ドラッグにはまらずとも現代の生活に浸透しているSNSやテレビ番組など、中毒性を及ぼす流行について新たに問題提起されています。いつの時代を生きるときも、自分の「人生」「愛するモノ」「未来」を容易く世間や他のモノに乗っ取られないように、4人の破天荒な暴れぶりが、私たちの目を覚まさせてくれるのです。

(文/岩木理恵@HEW)

最終更新:4/12(水) 15:10

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