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思春期に入った児童の表情にモヤモヤ感 道徳の授業、自問 ある中堅教諭の模索

西日本新聞 4/12(水) 11:40配信

 道徳教育が始まって60年の節目となる2018年度、これまで教科外の扱いだった道徳が、小学校で正式な教科となり、19年度からは中学校でも教科化される。実施に先立ち先月、小学校の授業で使う教科書の検定結果も公表された。先生たちは、どんなことを考え、子どもたちに道徳を教えているのか。福岡県春日市の市立日の出小学校で、道徳教育の実践・授業研究に取り組む石田稔裕(としひろ)教諭(34)の歩みをたどってみる。

新たな模索が始まった

 石田教諭は新任の2006年、福岡県糸島市の小学校で3年生を担任した。毎週1回ある道徳の授業。「まどガラスと魚」という教材での実践が、今も心に残っているという。

 〈友達とキャッチボールをしていた千一郎。投げたボールが民家のガラスを割り、謝らなきゃと思いながら、つい逃げてしまう。「まどガラスをわったのはだれだ?」。窓の張り紙を見る度、心を痛める。やがて千一郎は母に打ち明け、謝罪に向かう。家のおじさんは「正直な子どもの来るのを楽しみに待っていた」と、ボールを返す〉

 「(主人公の千一郎に)なりきってごらん」。石田教諭は、子どもたちにそんな問い掛けを繰り返し、先輩教諭から教わった授業手法「役割演技」(登場人物の役割を児童が演じ、心情を追体験する)も取り入れた。「子どもたちもノリノリで、ハッと気付く瞬間も生まれた」。指導の手応えをつかんだ授業だったという。

 ところが教諭となって3年目。6年生の担任になり、同様の手法で道徳の授業を進めたが、うまくいかなかった。「そんなこと、教えてもらわんでも、分かっとるよ」。思春期に入った高学年児童の表情からは、そんなモヤモヤ感が読み取れ、新たな模索が始まった。

「もっといろんな試みがあっていいんじゃないか」

 30代に入り、転機となる教材に出合った。高学年向けの「車いすの少女」。親切や思いやりについて、より多様な視点から考える教材だ。

 〈児童が登校中、病院前で出会う車いすの少女。母親がいつも寄り添っていた。ある日、少女が自分でこぐ練習をしていたとき、道路のくぼみに車輪がはまり、動けなくなった。友達と一緒に駆け寄り、持ち上げようとすると母親が言う。「手伝わないで」〉

 一つの授業改革を試みた。一般的な道徳授業では、教材文を通読し、主人公の視点を中心に心情理解を深め、学習していく。石田教諭は、車いすの少女が動けなくなった状況説明までを教材として提示し、「あなただったらどうしますか?」と問い掛けた。

 「教材文を途中で切るって、道徳の授業ではタブーなんですよ。結末が当たった、当たらないで、クイズ形式に陥ったりするから。でも、私たち教師は、道徳とはこうあるべきだとか、これはしてはいけません、といった発想に縛られすぎていないか。もっといろんな試みがあっていいんじゃないかと」

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最終更新:4/12(水) 11:40

西日本新聞