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<浅田真央引退会見>3回転半世界けん引 後進に多大な影響

毎日新聞 4/13(木) 0:06配信

 12日に東京都内で引退記者会見を開いたフィギュアスケート女子の浅田真央(中京大)。長年、日本フィギュア界をけん引した女子のエースは、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)などを武器に、女子で技術面の水準を向上させた。また、世界で活躍する浅田の姿に憧れた数多くの子供たちがフィギュアを始め、浅田の引退と前後してその世代が台頭している。【芳賀竜也、福田智沙】

 フィギュアは、技術面を示す総要素点と、表現力を評価するプログラム構成点の合計点で競う。かつては一般的に男子は前者、女子は後者に重点が置かれるとされてきた。

 ところが、浅田が15歳2カ月で出場し優勝した2005年グランプリ(GP)ファイナルのフリーでは、冒頭のトリプルアクセルなどを成功させて、実施した技の難度を表す総要素点の基礎点の合計は唯一の60点台。金メダルを獲得した06年トリノ冬季五輪の荒川静香さんでさえ、同五輪のフリーの基礎点合計は57・30点だった。以降、ライバルたちは連続3回転ジャンプなどで浅田の総要素点に対抗していく。

 国内でも多くの子供たちが「真央ちゃん」に憧れてフィギュアを始め、競技人口が増加した。特に女子が増え、近年の全国高校総体のフィギュア予選は、女子の出場者が男子の約3倍に達するほどだ。14年ソチ五輪後には浅田を見てスケートを始めた世代が日本のトップ層へ台頭してきた。

 今季の世界選手権で5位に入った17歳の三原舞依(神戸ポートアイランドク)は、浅田が優勝した05年GPファイナルを見てスケートを始めた。苦しい時はソチ五輪の浅田のフリーの動画を見て自らを奮い立たせた。世界選手権で出遅れた時もそうだった。フリーではソチ五輪の浅田と同じように順位を10上げた。

 昨季世界ジュニア女王の本田真凜(大阪・関大高)は7歳の時に浅田の演技が見たくて全日本選手権に足を運び、浅田と同じグループで滑る夢を持った。男子の宇野昌磨(中京大)は浅田が通っていた名古屋市内のリンクに行った際に浅田に誘われてスケートを始めた。浅田のアドバイスで跳べるようになったトリプルアクセルはいまや得点源となり、今季の世界選手権では2位に入った。

 日本のフィギュア界にとって、この競技に必須の「華がある」スケーターの引退は、大きな損失ではある。羽生結弦(ANA)のような実力もあり集客も見込めるスターはいるが、下の世代を見れば絶対的な存在になり得る選手がいるとは言えず、次々と有望な若手が出現するロシア女子のような状況ではないことは確か。

 浅田は「これからは若い選手が若いパワーでフィギュア界を引っ張ってほしい。みんなで高め合って頑張ってほしい」と後輩に未来を託した。

 ◇「挑戦続けてありがとう」

 浅田が目標としてきた存在で、1992年アルベールビル五輪銀メダリストの伊藤みどりさんは12日、「21年間おつかれさまでした。真央ちゃん、トリプルアクセルに挑戦し続けてくれてありがとう」と日本スケート連盟を通じてコメントした。

 伊藤さんが女子で初めて世界選手権で成功させたトリプルアクセルは、浅田の代名詞に。伊藤さんは「多くの人に愛され、華のあるスケーターだと私は誇りに思っています。これまでどおり変わらず、真央ちゃんらしく輝いてくれることを願っています」と、期待を寄せた。

最終更新:4/13(木) 0:13

毎日新聞