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【香港】新たな住宅投機抑制策、影響軽微の見方も

4/13(木) 11:30配信

NNA

 香港政府が11日夜、新たな住宅投機抑制策を発表したことを受け、業界では「影響は軽微にとどまる」との見方が広がっている。増税の対象となる購入者の割合が少ないためという。
 明報など12日付香港各紙が伝えた。政府は11日夜、1戸目購入の市民でも1件の売買契約の中で複数戸の住宅を購入した場合、税率15%の印紙税を課すと発表した。適用は12日から。複数戸を購入する動きがデベロッパーの在庫を減らし、価格の上昇につながっていると判断して、新たな規制に乗り出した。「1戸目の住宅」の定義も明確化した。政府は近く、関連条例の修正案を立法会(議会)に申請する方針だ。
 政府は昨年11月、1戸目を購入する市民の印紙税を低くとどめ、2戸目以降に15%を課すことを骨子とした、新たな住宅投機抑制策を導入。しかし、これまでは初めて住宅を購入者する市民が住宅を複数戸を購入しても、1件の売買契約にまとめれば1戸目購入の扱いとなり、最高4.25%の印紙税率で済んでいた。この規制の抜け穴を使って、一部投資家は住宅を購入したことがない家族などから名義を借りて、購入した複数の住宅の契約を1つにまとめていたとされる。
 実際、直近では同様の購入事例が増えている。昨年11月以降、先月28日までに売り出しを始めた新築住宅28物件のうち、1件の売買契約の中で複数戸の住宅を購入したケースは、契約ベースで421件となり、総戸数は956戸。成約額は170億4,800万HKドル(約2,400億円)で、成約全体の26%を占めた。
 12日からの新措置は、増税逃れを防ぐ狙いがある。九龍・啓徳(カイタク)の新築物件「嘉匯(Kシティー)」を15戸(総額1億4,500万HKドル)購入して1件の契約にまとめた投資家の2月の実例を挙げると、実際に適用された印紙税率は4.25%で、この投資家の税払いは617万HKドル。ただ新措置では15%を課されることで、今後同様に15戸を購入する場合は従来から3.5倍となる2,178万HKドルの税を負担することになる。
 一方、業界からは新措置による影響が小さいとの見方も出ている。香港のデベロッパー大手、新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)の雷霆(ビクター・ルイ)副社長は、「自社物件では、一度に複数戸を購入する市民の割合が極めて少ない」として、新措置が与える自社販売への影響はないと強調した。
 香港理工大学建築・不動産学科の許智文(エディー・ホイ)教授は、新措置に伴い大口投資家からの需要が減る可能性に触れたものの、その分を一般の購入者が埋めるとみている。
 直近の住宅取引全体のうち、1件の売買契約の中で複数戸の住宅を購入した割合は4.7%。昨年11月より前の3.6%から拡大しているものの、全体から見れば低い水準にある。
 ■ドイツ銀が取引減予測
 ドイツ銀行は12日、5月の新築住宅取引が少なくとも3割落ち込むとの見方を示した。香港市民による2戸目以降の住宅購入の印紙税が15%、香港籍以外の投資家が30%となる現状を踏まえ、投資物件を賃貸した場合の現在の利回りから計算すると、税支払いは家賃収入の7~15年分に相当すると指摘。政府の新措置が住宅投資の需要を減らすとしている。
 新築住宅の価格にも一定の影響を与え、デベロッパーには短期的に経営圧力がかかるとみている。

最終更新:4/13(木) 11:30
NNA