ここから本文です

<シリア難民>子供テーマに絵本 長崎出身の被爆3世28歳

毎日新聞 4/13(木) 13:30配信

 シリア難民の子供をテーマにした英語の絵本を友人と共同制作した長崎市出身の水野真彩(まや)さん(28)が、日本語版の出版を目指している。英語版は昨夏、中米コスタリカの国連平和大学大学院の授業で制作した。内戦が続くシリアでは今月4日、化学兵器を使用したとみられる空爆があり、多くの子供が命を落とした。水野さんは「難民の実情を知るきっかけにしてもらえれば」と願っている。

【写真で見る料理】シリア難民「故郷の味」で同胞励ます ガザ地区で

 絵本のタイトルは「The Boy in the Boat(舟の上の少年)」。紛争で家と家族を失った主人公アハメッドは、新しい家を探すため船で旅に出る。サウジアラビア、トルコ、オランダ、米国、コスタリカ、日本--。各国で子供たちから「遊ぼう」と声を掛けられるが、受け入れに消極的な大人や社会に直面するというあらすじだ。

 同大学院で平和教育を研究した水野さんの原点は長崎。幼い頃から被爆者の祖母に話を聞き、その時感じた平和への思いを伝える活動をしたいと思っていた。しかし東京の大学に進学すると、若い世代の多くは原爆を「遠い昔のこと」と受け止めていることが分かり、伝え方に悩んだ。

 大学を卒業し、奉仕活動などをしているタイ北部の財団施設に就職。人身売買に遭った女性や貧困家庭で育つ子供の支援などに携わり、世界には平和に暮らせない人がいると実感した。「自分と異なる民族やバックグラウンドの人たちに目を向けることが、平和のために私たち一人一人ができること」と考えるようになった。

 同大学院に進み、トルコとオランダの友人2人と絵本のストーリーを考え、トルコのアーティストに絵を描いてもらった。トランプ米大統領の難民政策が注目されているが、日本でも難民の受け入れは少ない。国連平和大学への就職が内定している水野さん。「絵本は子供も大人も一緒に読める。少ない文字と絵から、想像力をかきたててもらえたら」と難民への理解を願っている。

 オランダ語版とトルコ語版は既に出版され、水野さんは日本語版出版の協力者を募っている。英語で朗読した動画は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で見られる。問い合わせは水野さん(mmizuno@master.upeace.org)。【竹下理子】

最終更新:4/13(木) 14:07

毎日新聞