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真央「なんでもっと簡単に跳ばせてくれないの」

産経新聞 4/13(木) 7:55配信

 ■悩まされた武器に“最後の注文”

 トリプルアクセルに声をかけるとしたら-。引退会見で飛び出した意表を突く質問に、浅田は少し考えてから答えた。「うーん…。『なんでもっと簡単に跳ばせてくれないの』って感じです」

 フィギュアスケートのジャンプの一つにすぎないトリプルアクセルは、いつしか国民の誰もが知っている、浅田真央の代名詞となっていた。

 女子では世界でも数人しか跳べない大技。同郷で1992年アルベールビル五輪銀メダルの伊藤みどりさんに憧れたのがきっかけで挑戦を始め、磨き上げた。

 世界の頂点へ駆け上がった強さを支えてくれた武器には、年齢を重ねるにつれて悩まされることが多くなった。とくにバンクーバー五輪後は体形の変化などで成功率が低下した。

 大技の失敗は大失点につながる。ライバルたちは高得点を稼ぎやすい2連続3回転ジャンプを得点源に据える構成が主流だ。浅田もスケーティング技術や表現を磨き、大技に頼らない演技を目指した時期があった。それでも最終的にこだわった理由の一つは、2011年に急逝した母、匡子さんから教わった「最後までやり遂げる」という信念が胸にあったからだろう。

 今季は慢性的な左膝痛に苦しんだ。序盤で回避していた大技を、結果的に現役最後の大会となった昨年末の全日本選手権で再びプログラムに組み込んだ。ショートプログラム(SP)、フリーともに成功しなかった舞台を、浅田は「トリプルアクセルに挑戦して終えられたのは、自分らしかったかな」と振り返り、ちょっぴり胸を張った。

 先駆者の伊藤さんが寄せたコメントには、ファンの思いを代弁した感謝の言葉が記されていた。「真央ちゃん、トリプルアクセルに挑戦し続けてくれてありがとう」(田中充)

最終更新:4/13(木) 7:55

産経新聞