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父娘のお家騒動から2年 最悪赤字45億円…もう後がない大塚家具 久美子社長「出血を止めなければ…」

産経新聞 4/14(金) 10:30配信

 大塚家具が窮地に立たされている。創業家父娘のお家騒動で、2年前に長女の大塚久美子社長(49)が経営権を握り、会員制販売の廃止や高級路線から転換する戦略を打ち出したが、消費者にうまく浸透せず、前期は最終赤字に転落した。4月から経営戦略を見直し、専門店や小型店の拡大などで立て直しを図る考えだ。ただ、足元では現預金が大幅に減少しており、もう次の施策では失敗が許されない状況にまで追い込まれている。

 「新たな経営ビジョンのもとで、立て直しを図りたい。早く出血を止めなければならない」

 こう語るのは久美子社長だ。父娘が経営権をめぐって対立した2年前のお家騒動で、創業者で父の大塚勝久前会長(73、現匠大塚会長)に勝利した久美子氏だが、父の高級路線を否定する改革がうまくいかず、平成28年12月期連結決算は過去最悪の45億円の最終赤字を計上。今年2月には中期経営計画を取り下げ、3月に新たな経営ビジョンを公表した。

 業績悪化の要因はいくつかある。一つは父の高級路線と対立したため、消費者に低価格路線に転換したという誤解が広がってしまった。久美子氏は「自分たちの方向性を適切に伝えられなかった」と反省する。

 もう一つは、受付で顧客に名前を書かせて、マンツーマンで接客する方法を止め、社員が戸惑ったのも売り上げの落ち込みにつながった。また、住宅会社との提携解消で、家具のまとめ買いがなくなったのも響いた。

 新たな経営ビジョンでは小型店と専門店の拡大を柱に据えた。大型店中心の販売を改め、ソファや照明、カーテンなど分野別の専門店や小型店を31年末までに30~50カ所増やす。ブランドも集約し、顧客への方向性を明確にする。都市部の大型店も専門店の集合体として再構成する。

 接客方法も見直し、インテリアコーディネーターに相談できる有料サービスを展開する。6月にはネット通販の商品数も4000品に拡大する。

 家具業界は低価格品を売りにしたニトリやイケアの販売が好調だが、久美子氏は「当社は物販ではなく、上質な暮らしにするサービスで差別化を図りたい」と話す。プロの販売員が付加価値を提供し、生き残りを図る考えだ。

 また、インターネット通販の拡大や中古家具の販売などの新規事業で大塚家具の成長戦略を描く。

 ただ、久美子氏への株主の視線は日増しに厳しくなっている。2年前の株主総会の委任状争奪戦(プロキシーファイト)では3年間80円の配当を続けると公約した。だが、業績の悪化で今期は半分の40円となり、公約を破ることになった。

 3月24日に東京都内で開かれた株主総会では議決権行使助言最大手の米ISSが久美子氏の再任に反対した。ROE(自己資本利益率)が5%以下のためだ。個人株主からも久美子氏に対して、業績悪化の責任を問う声もあった。久美子氏の取締役再任の賛成率は、88.5%だったが、風当たりは2年前よりも確実に強まっている。

 株主総会ですべての議案が承認され、経営の立て直しを急ぐ大塚家具だが、現預金が27年12月末の109億円から28年12月末には38億円にまで大幅に減少している。小型店や専門店の拡大を中心とした新たな経営ビジョンはもう失敗が許されない状況だ。

 一方、騒動後に父の勝久氏が設立した匠大塚は高級路線を貫き、小さな規模で事業を展開している。業績は非公表で、経営状態は不明だが、低価格のニトリやイケアとの差別化はできている。久美子氏が小型店・専門店の拡大、接客サービスの違いを鮮明にし、ニトリやイケア、匠大塚と差別化を図り、インテリア業界で独自のポジションを築けるかが、今後の生き残りのカギとなりそうだ。(経済本部 黄金崎元)

最終更新:4/14(金) 10:30

産経新聞