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技術で日本に追いつけない韓国 手っ取り早く…東芝半導体は掘り出し物か?

産経新聞 4/14(金) 9:02配信

 日本の産業界の大きな曲がり角になるかもしれない東芝の損失処理。焦点の1つである半導体事業売却で相手先の有力候補として、韓国の半導体大手SKハイニックスが挙がり、同国メディアも関心を寄せている。日本に追いつけないでいる、とされる技術力を獲得するチャンスになりそうだ。対中関係の悪化が製造業にも影響し始めており明るいニュースがほしいところ。しかしハードルは高い。

 東芝は半導体事業を分社化し、株式の大部分を売却して2兆円超の資金を得たい考え。SKをはじめ、米国のウエスタン・デジタル(WD)やマイクロンテクノロジー、台湾の鴻海精密工業などが買収に乗り出している。しかし「入札企業のうち、最も規模の大きいSK、マイクロンの時価総額は約3兆円であり、買収は大冒険。成功したとしても深刻な財務状況の悪化に苦しむ恐れがある」

 朝鮮日報(日本語電子版)は半導体業界関係者の分析を伝えた。「これまでの半導体メモリー企業の合併では1+1が2ではなく、1・5程度にしかならないケースが多かった」。半導体は技術の進展と価格低下が急で、単純に事業規模を確保すれば安定するというものではない。同紙は「高額で買収したものの、会社全体が損をするという『勝者の呪い』のパターンになる」懸念を指摘した。

 難しい判断を迫られそうなSKグループは今、対中関係悪化というやっかいな問題に巻き込まれている。「SK、中国内のバッテリー工場稼働中断…製造業まで“THAAD報復”」との見出しでハンギョレ(日本語電子版)は、SKイノベーションが中国・北京自動車と設立した合弁会社の戸惑いを伝えた。今年に入ってから操業停止のままという。

 韓国内の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する中国の反発が背景にあるとみられている。SK側はハンギョレの取材に対し、工場の稼働停止を「THAADと直接結びつけて解釈するのは適切でない」としているが、業界関係者は「北京自動車は当分は韓国で作ったバッテリーを受け取らないと通知したと理解している」という。

 EV用バッテリーはもはや汎用品となりつつある。中国からすれば、韓国勢以外から調達すればよいわけだ。韓国企業は、政治に翻弄されるリスクを避けるためにもほかにない高度な技術を身につける必要がある。

 「日本と韓国の経済格差が再び広がる可能性が高くなってきた」と朝鮮日報(日本語電子版)は伝えた。「韓国経済、どのくらい日本に追いついたのか」と題する韓国の現代経済研究院のリポートを紹介したが、その結論は悲観的なものだった。1980年代以降、両国の経済力の差は徐々に縮小。1人当たり国内総生産(GDP)は、95年に日本が韓国を3万196ドル上回っていたが、16年は9671ドルに縮小した。

 しかし、内需のうち付加価値の占める比率をみると、韓国は00年に45・1%だったのが40・2%へと低下。日本の53・6%から51・8%への低下と比べると落ち込み幅が大きい。企業が原材料などに上乗せした新たな価値が減り続けているというわけだ。スイスのIMD(国際経営開発研究所)による技術競争力のランキングでは、09年に日本2位、韓国3位だったが、16年は日本が2位を維持し、韓国は8位に後退した。

 現代経済研究院は「産業競争力を向上させる戦略を根本的に見直さなければならない」と警鐘を鳴らす。手っ取り早いのは技術の買収だろう。そんな中で持ち上がった東芝半導体事業の売却計画だが、日本政府は技術流出に伴う「安全保障上の懸念」が生じると判断すれば、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき韓国など外資を排除することが可能。韓国勢は自助努力を迫られそうだ。

最終更新:4/14(金) 9:02

産経新聞