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社説[待機児童と定員割れ]ミスマッチの分析急げ

4/13(木) 8:00配信

沖縄タイムス

 この春、認可保育園の選考にもれ、職場復帰が果たせなかったり、認可外に預けたという親たちからは「どうして~」の声が聞こえてきそうだ。

 那覇市内に97ある認可保育園の半数を超える50園で計701人の定員割れが生じていることが明らかになった。

 那覇市は全国でも待機児童が深刻な自治体である。今年4月の入園希望者のうち入園できなかった子どもは640人にも上っている。

 それなのになぜ。合点がゆかない。

 市内の認可保育園の定員は8521人。入園者は7820人。

 定員割れしている園の3割が新設で、特に3~5歳児クラスで顕著だという。

 新設園で情報が少なく保護者が園選びに慎重になったからだろうか。

 担当課は「0~1歳で入園した児童が進級すれば徐々に解消する」と説明しているようだが、「保育園落ちた」ブログが象徴するように、当事者にとっては切羽詰まった問題である。

 市内では首里大名町で計画が進んでいた保育園が、周辺住民の反対から建設を断念したばかりだ。同地区は子どもの数が減っていて、地域内の既存園も地域外から子どもを受け入れているという背景があった。

 保育関係者からは首里地区は過剰供給との指摘もあり、適正な保育園配置を求める声も上がる。

 今回の大幅定員割れの背景にも、保護者が求める立地条件などニーズとのミスマッチが挙げられる。

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 昨年10月時点の那覇市の待機児童数は786人で、東京都世田谷区に次いで全国2番目に多かった。

 城間幹子市長は、政策の「1丁目1番地」に待機児童の解消を掲げ、最優先課題として取り組むことを強調している。

 まずは定員割れの詳細な分析が必要だ。そもそも保護者は園選びの基準をどこに置いているのか。自宅からどの程度の距離までなら通えるのか。送迎車があれば遠くてもかまわないのか。

 地域別、年齢別、そして将来予測など、保育需要の正確な把握も欠かせない。

 せっかく整備した受け皿である。今後、年度途中の入園も含め、有効に活用すべきだ。

 そのためには保護者の声を聞いて、空きのある保育所につなげるソフト面の支援にも力を入れてほしい。

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 市は2017年度末までに保育定員を2500人増やす計画を立て、必要な保育士を430人と試算する。

 定員割れで注視しなければならないのは、保育士不足から園児を受け入れられなかったクラスが49あったことだ。

 このまま定員を増やしていっても、働く人がいないのでは待機児童解消は進まない。

 今問われているのは「1丁目1番地」に掲げるその本気度である。

 保育士の負担軽減や待遇改善、潜在保育士の復職支援などをスピード感をもって進める必要がある。

最終更新:4/13(木) 8:00
沖縄タイムス