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「交通渋滞対策」にポイント制導入 米サンフランシスコの土地開発に

4/14(金) 6:10配信

ZUU online

米国サンフランシスコが交通渋滞改善策として、「車のいらない街づくりプロジェクト」に着手する 。

交通量軽減対策を具体化するためにポイント制度を採用し、今年5月から実施される。「道路混雑課金」やビッグデータを活用した渋滞対策は、欧州やアジアの大都市でも活発化している。

土地開発にある程度の自由を与えつつ、「交通量を減らす」という共有エコノミーに根ざした発想だ。

■開発用途に応じたポイント制を義務化

英WIRE誌の報道によると、サンフランシスコでの住宅用・商業用土地開発にあたり、開発業者に「交通軽減対策」の包括を義務つける法案が、管理委員会によって承認された。

新たな交通需要管理制度には、交通量軽減対策を測定するポイント制度が導入される。例えばサンフランシスコのミッション地区に車20台分の駐車場つき分譲マンションを建設する場合、13ポイント獲得する必要がある。

最寄りのバス停や駅へのシャトル便提供(14ポイント獲得)、公共交通機関の運行状況をリアルタイムで表示するスクリーンの設置(1ポイント)、施設内託児所の設置(2ポイント)などを組み合わせ、指定の最低ポイントをクリアするという仕組みだ。

■地域公共交通の強化、自転車専用道路の拡大なども提案

プロジェクト実施の目的は、「交通機関の利用」「自動車共有」を促進するとともに、「徒歩での行動範囲を広げる」ことで、交通の利用量を減らす点にある。

サンフランシスコは米国内でホノルル、ロスアンゼルスに次いで交通渋滞のひどい都市だ(フォーブス情報)。こうした実践的な取り組みが行われ、なんらかの成果を上げることに成功すれば、交通渋滞に悩むほかの大都市の渋滞軽減モデルと期待できる。

南カリフォルニア大学で都市開発の研究をしているエコノミスト、マーロン・ボーネット氏は「繁栄している大都会には交通渋滞がつきもの」との見解を示している。しかしだからといって放置した場合、人口の増加とともに都市の膨張発展がますます悪化することは目に見えている。なんらかの強力な対応策が必須であることは明らかだ。

サンフランシスコの都市設計者、ウェイド・ウェイトグレフェ氏は、ポイント制度の採用が「検討されるべき対策の断片にすぎない」とコメント。本質的な改善を目指し、地域公共交通の強化、自転車専用道路の拡大、ラッシュアワー時の単身運転の有料化など、様々な角度から本当の意味で人々が生活しやすい都市計画に挑戦すべきだと提案している。

■ロンドン、ストックホルムで効果をあげている「道路混雑課金」

同様の発想はすでに欧州を中心とした一部の大都市で実践されている。「道路混雑課金」がその一例だ。

英国の首都ロンドンでは2003年以降、平日の午前7時から午後6時まで混雑のひどい課金圏を利用する際、一律11.50ポンド (約1576円)が徴収される(TFL情報)。スウェーデンの首都ストックホルムでは2006年以降(ThisBigCity情報)、平日の午前6時から午後6時29分まで、最高30スウェーデンクローナ(約365円)が徴収される(transportstyrelsen情報)。利用時間帯によって料金は異なる。

ThisBigCityの情報によると、道路混雑課金の導入によりロンドン市内の路面交通によるCO2排出量は22%、課金圏は16%減少した。交通速度は37%上昇し、渋滞によるバスの遅れは50%軽減 するなど飛躍的な効果をあげている。

アジア圏ではシンガポールが1975年という早い時期から 入域枠を制限し、通行料金の徴収を開始した(東京都環境局情報)。

米国でも2007年に米国がニューヨークを含む5都市 で試験的に導入もののプロジェクトはいっこうに進まず、サンフランシスコも2015年まで試験導入の承認待ちという状態であったという。

■ビッグデータなど最新テクノロジーの活用

もうひとつ交通渋滞の改善手段として注目を集めているのは、ビッグデータなどのテクノロジー の利用だ。最新の技術を用いて交通量や交通に影響をあたえる要因(気象情報、イベント)といった多様なデータを収集し、総体的な「スマートシティー」の建設に取り組む都市が増えている。

前述したようなバスや電車の運行状況を正確に把握できるほか、生活スタイルに見合った都市計画の指針として役立てられている。サンフランシスコの交通量軽減プロジェクトでは、これらのデータが計画の見直しに利用される予定だ。

交通渋滞は一夜にして解決される問題ではない。ボーネット氏の言葉どおり、人口産業の集中する大都市で交通渋滞と無縁の生活を送ることは無理なのかも知れない。しかし多様な角度から問題に取り組み、住人ひとりひとりが「軽減」を意識することで、10年後、20年後の「暮らしやすい街」の姿が見えてくるのではないだろうか。
(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:4/14(金) 6:10
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