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武藤嘉紀はマインツの“救世主”になれるのか?現状と課題を分析/コラム

GOAL 4/14(金) 12:15配信

マインツに所属する武藤嘉紀にとって厳しい状況が続いている。右膝の負傷を乗り越え、1月22日の第17節から戦線に復帰。しばらくは先発出場のチャンスを得ていたものの、ゴールを挙げられず3月11日戦のダルムシュタット戦、さらに19日のシャルケ戦でも8分間の出場に止まり、4月2日のインゴルシュタット戦にいたってはベンチからチームの敗戦を眺めることとなった。

5日のライプツィヒ戦では、途中出場ながら7カ月ぶりのゴールを決めた武藤。チームが敗れたこともあり「先発で使うべき」という現地メディアの声も高まったが、5試合ぶりの先発出場となったフライブルク戦では得点を挙げられず、チームも0-1で敗れた。この30日間でマインツは5試合を戦い、5敗。その全てが1点差であり、少ないチャンスの中でも、ここで決まっていたらというシーンがあったことも確かだ。

順位も気が付けば15位まで下がり、この間に勝ち点10を積み上げた17位のインゴルシュタットが勝ち点1差まで迫っている。この難しい状況を脱し、武藤はチームの救世主となれるのか。30日間のプレーから現状と課題を探る。

▽3月11日(土)ブンデスリーガ ダルムシュタット戦

試合結果:1-2(負け)
8分(途中出場)
評価:5.0

ダービーマッチだが最下位のチームを相手に確実な勝利が求められた試合だった。1点を追う状況だが、相手の退場で1人多い中、ジョン・コルドバに代わり投入された武藤。早速縦のボールをボージャン・クルキッチに落としたが、シュートは大きく外れてしまった。しかし、そこからチームのアバウトな組み立てにも引っ張られる形で、好位置でボールを受けて仕掛けるシーンやタイミングよくディフェンスの裏を取るシーンもなかった。10人の相手に対し、投入されてすぐのポストプレーを除けば、少ない時間でも良い形を作れなかったことにはマイナス評価を付けざるをえない。

▽3月19日(日)ブンデスリーガ シャルケ戦

試合結果:0-1(負け)
8分(途中出場)
評価:5.5

2試合続けて終盤からの投入となった武藤に与えられたプレー時間はアディショナルタイムを合わせても10分ほど。サイドからの仕掛けでファウルを誘うなど、常に縦を狙う姿勢は見せたものの、味方から有効なボールが出てくることはなかった。

1つ残念だったのは、高い位置でボールを奪って味方にボールを預けたものの、ゴール前でリターンを受けられなかった場面だ。「あそこもパスを出さないで自分で行っちゃえば良かったかな」と振り返る武藤。コンディション面は万全を主張するが、もともと堅守速攻から少ないチャンスをものにするスタイルのチームで、限られた時間で結果を残すことの難しさを痛感させる結果となった。

▽4月2日(日)ブンデスリーガ インゴルシュタット戦

試合結果:1-2(負け)
出場せず
評価:なし

▽4月5日(水)ブンデスリーガ ライプツィヒ戦

試合結果:2-3(負け)
23分(途中出場)
評価:7.0

代表ウイーク明けの前節は出場なく終わってしまった武藤。この日もベンチスタートとなったが、2点のリードを追う後半22分に存在感が消えていたボージャン・クルキッチに代わり投入されると、勢いよく飛び出してハイロ・サンペイロのゴールで1点差とする流れを呼び込んだ。そこから相手に1点加えられたが、後半アディショナルタイムに左CKからヘディングシュートを決め、昨年9月以来のゴール。その直前にもクロスから惜しいシーンがあり、ここ最近のマインツではサイド攻撃が機能していた中で、短い時間ながら武藤らしさが見られた。

▽4月8日(土)ブンデスリーガ フライブルク戦

試合結果:0-1(負け)
90分(フル出場)
評価:6.0

5試合ぶりにつかんだ先発のチャンスだったが、2試合連続のゴールという結果で応えることはできなかった。長身FWのジョン・コルドバと2トップを組んだ武藤は90分で11キロを走り、スプリントは両チームでダントツの37回を記録した。アウェーのマインツはシンプルに2トップのポストプレーやサイドからの速いクロスを狙う形が何度かはまり、武藤も相手DFを背負いながらパブロ・デ・ブラシスの惜しいシュートを演出するなど存在感を示した。

だが肝心のフィニッシュでは決定的なクロスにコルドバと重なってしまうなど、最後のところで正確なフィニッシュに持ち込めなかった。これで5連敗となったチームに、降格圏が迫ってきたが、武藤の動きそのものは好調時のそれであり、コルドバとの相性も悪くはない。引き続きスタメンのチャンスをもらえれば十分に次のゴールを期待させるプレー内容だった。

■今後の課題

大きなケガから復帰したシーズン、序盤の活躍で完全復活を期待されたが、試合中のアクシデントで再び離脱を強いられる不運を味わった。コンディション的には悪くない様だが、中断明けに加入したボージャンを組み込む作業など、マルティン・シュミット監督も試行錯誤する状況で、しばらくゴールという結果の出なかったため、武藤の起用法も安定していなかった。それでも折れずにチャンスを待つ、武藤の高い意識がライプツィヒ戦のゴールを生んだが、フライブルク戦のパフォーマンスを見ても、武藤の頑張りだけでゴールを呼び込むことは難しい。

ただ、スプリント回数を見ても分かる通りコンディションは回復しており、「本当に調子も良いですし、練習でもかなりキレていて」と本人も好調をアピールする。「ふたを開けるまでどうなるか分からない」という練習からアピールし、プレー時間を確保して周囲との意思疎通を高めるしかない。特に現在の主軸であるコルドバとは組んで日も浅く、ようやく連係が取れかけた時に武藤が離脱してしまった経緯もある。フライブルク戦の関係自体は悪くなかったが、フィニッシュのところで例えばケルンのアンソニー・モデストと大迫勇也のようなコンビになるには時間が掛かりそうだ。

しかしながら、シーズン終盤でチームは現在5連敗。17位インゴルシュタットの猛追で降格圏まで勝ち点1に迫った状況で、悠長なことは言っていられない。2トップの素早くシンプルなポストプレーを起点に、サイドが仕掛けてクロスを入れるというパターンに、高い位置でボールを奪えば手数を掛けずに中央を突くというマインツの基本スタイルはいまさら急に変わらないし、中盤からいきなり良質なパスがどんどん出てくることもないだろう。

そうした状況でも武藤が前線から有効なパスを引き出し、チャンスと見ればどんどんフィニッシュに持ち込む、いい意味でエゴイスティックな部分を発揮すれば、ゴールの確率はおのずと高まる。それにより勝ち点も付いてくるはずだ。その武藤には3月の代表招集されなかった。そのことに関して武藤は「自分は全く期待してなかった」と語る。

「結果が出てないし、ただ単に海外でやってるっていうだけで呼ばれてしまう。そういう甘い世界じゃないってのは思っていたから。むしろ呼ばれないで、こっちで調整するっていうか、もう1回、チームとして、自分のポジション確保するために仕事しなきゃいけない。ハリル(ヴァイッド・ハリルホジッチ)監督も『チームでしっかりゴールを取れ』って言ってくれていたので。ホントその通りですね」

もちろん悔しさもあるという武藤は「這い上がってやろう」という貪欲な気持ちをここからの試合にぶつけていくはずだが、今は降格の危機にあるチームを自身のゴールで救うこと。「前が無理なら、前、前って言って裏が無理ならもう自分で下がってもらって、そこから仕掛けていく」という姿勢、さらにチャンスと見れば積極的にシュートを狙う意識で結果をつかみ取れるか、残り6試合のハイパフォーマンスに注目したい。

文=河治良幸

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最終更新:4/14(金) 12:15

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