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住宅耐震化、高齢者へ働き掛け強化 静岡県が補助拡大

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS 4/14(金) 8:00配信

 震度7の揺れが2度襲った熊本地震は14日で前震から丸1年を迎えた。南海トラフ巨大地震に備える静岡県は、住宅耐震化の重要性に改めて関心が集まった今を好機と捉え、市町との連携で住宅耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)―0」をはじめとする補助事業の拡大を図る。同プロジェクトの開始から15年以上が経過し、耐震不足の住宅で暮らすのは、防災への関心が薄い高齢者世帯が中心。災害発生前に地域の共助を生かせるか、官民一体の取り組みが求められている。

 「あなたは熊本地震のような避難所生活の過酷さに耐えられますか」。静岡市建築指導課の服部智一安全推進係長(50)は、地域ごとの説明会で高齢者らに語り掛け、自宅を耐震化する必要性を訴える。同市は県の助成を受け、1月から補助金を30万円増額した。高齢者世帯で耐震評点が0・4未満の住宅の補強工事には最大95万円の補助金が出る。

 補助金増額効果は大きく、市の2016年度の工事申請は前年度比1・5倍に増えた。同市駿河区で自宅の耐震工事に踏み切った男性(89)は「別に暮らす息子の強い勧めがあった。これで安楽に、枕を高くして寝られる」と笑顔を見せる。

 県は17年度から新たに、寝室や居間など住宅の一部に限った部分補強への助成も行う。外部有識者による検討委員会を設置し、部分補強の基準を作成した制度は全国で初めて。

 例えば、子供が巣立った後、広い家屋に高齢者だけで住む世帯には、全体の耐震補強は資金面のハードルが高い。部分補強への助成は、最低限の安全を確保する選択肢を増やすことが狙い。助成は県から市町への間接補助で、県は5月下旬から説明会を開き、市町へ制度の創設を促す。

 富士市は10年以上前から防災アシスタントの女性が1人暮らしの高齢者宅を訪問し、無料の耐震診断を勧めている。災害時に道路沿いの家屋が倒壊すれば、救助や復旧に遅れが出る懸念もある。

 県建築士会の斉藤功副会長(66)=富士建築士会=は「身の上話から聞き、高齢者に寄り添った形の対策を考えることが大切。地域の防災力を高めるためにも行政と協力して住宅耐震化を進めたい」と意欲を示す。

 ■対策未実施は24万戸超 2000年以前建築も調査へ

 「TOUKAI(東海・倒壊)―0」は旧耐震基準下の1981年以前に建てた木造住宅が対象で、2016年度末までの耐震補強助成の累計実績は2万657戸。13年度の総務省調査では、静岡県内の住宅耐震化率は82・4%で、耐震性のない住宅約24万2千戸のうち、6割以上が高齢者世帯だった。県は耐震補強PRへの協力を条件に、18年3月まで1戸当たりの補助額を15万円増額中で、市町分が加わると、最大で30万円の上乗せになる。

 熊本地震では、新耐震基準下でも接合部の強度や耐力壁配置のバランスなどの基準が法改正で明確化した2000年以前の木造住宅で倒壊被害が発生し、国が対策を検討している。対象は安全性を検証する構造計算書の提出義務がなかった2階建て以下の住宅と考えられ、県内の該当数は約32万8500戸(総務省調査)に上る。

 県建築安全推進課は「法改正前の住宅の耐震性が全て低いとは断定できない」とした上で、「専門家の確認を受けることが望ましく、調査方法など国の動向を注視していきたい」としている。

静岡新聞社

最終更新:4/14(金) 8:00

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS