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朝鮮半島緊迫 敵基地攻撃に高い壁 北の防空網突破不可欠

産経新聞 4/14(金) 7:55配信

 ■武力攻撃事態に限定、法的課題も

 安倍晋三首相は13日、自衛隊のミサイル防衛(MD)態勢の限界にあえて言及することで、敵基地攻撃能力の保有を含む防衛力強化に向けた意欲をにじませた。確かに、自衛隊の現有装備では北朝鮮のミサイル基地を効果的にたたくことはできない。法的な課題も残る。政府が保有に向けた決断を下しても、実効的な抑止力を保持するには多くのハードルがある。(杉本康士、小野晋史)

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 敵基地攻撃能力をめぐっては3月末、自民党安全保障調査会が早期の保有検討を求める提言を安倍首相に提出した。そもそも自衛隊の現有装備で北朝鮮に打撃を加えることは「全く不可能ではない」(航空自衛隊関係者)。F2戦闘機に加え、空中給油機や空中警戒管制機(AWACS)をすでに保有しているからだ。

 しかし、防衛省関係者は「現在の態勢では特攻隊に近い状態になる」と証言する。敵基地攻撃を行う場合、北朝鮮軍の防空網突破が不可欠。レーダー施設を無力化するためには電子妨害機や対電波放射源ミサイルを導入しなければならない。

 空自は衛星誘導爆弾(JDAM)を保有しているが、目標にレーザーを照射して命中効率を上げる爆撃誘導員の育成も必要だ。防衛省は新たに空対地ミサイルを取得することも視野に入れる。

 米軍の協力が得られなければ、偵察衛星も自前で用意しなければならず、衛星情報でミサイル熱源を特定するためのデータベースも一朝一夕に整備できない。巡航ミサイルが取得できれば護衛艦の火器管制改修などで対応できるが、衛星利用測位システム(GPS)で誘導するため移動式発射台を捕捉するのは難しい。

 法的な壁も決して低くない。防衛、外務両省関係者は「現状では核ミサイルを撃たれても防衛出動できない可能性がある」と口をそろえる。自衛隊が個別的自衛権を行使して敵基地を攻撃できるのは、北朝鮮によるミサイル発射が「組織的、計画的な武力行使」と認定される「武力攻撃事態」に限られる。

 核ミサイルが1発のみで第2撃、第3撃の動きがなければ武力攻撃事態と認定できない可能性もある。核ミサイルの発射は国家による行為と推定できるため「組織性」を認定できるが、「ミスで撃ってしまった恐れもあり、継続的に武力攻撃を行う『計画性』が認定できない」(防衛省関係者)からだ。

最終更新:4/14(金) 8:22

産経新聞