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<熊本地震1年>古く耐震でなくても安さ求め 学生向け物件

毎日新聞 4/14(金) 22:05配信

 「築60年 ワンルーム 月2万8000円」「築41年 1K 月1万9000円」。インターネットの学生向け物件紹介サイトには、都市部や地方にかかわらず、1981年の新耐震基準導入前に建てられた古いアパートがいくつも掲載されている。そうした物件に生活費を少しでも切り詰めたい学生が飛びつき、今も多くの若者が入居している。

 81年以降の建物でも耐震性が不十分なものもある。このため、国土交通省は2000年に建築基準法施行令を改正し、柱と柱の間に斜めに取り付ける筋交いや柱の接合に金具を使うことなど、具体的な方法を告示で明示している。

 一方、国交省・国土技術政策総合研究所によると、熊本地震によって熊本県南阿蘇村で倒壊した学生向けの木造2階建てアパート7棟はすべて、航空写真から00年より前の建物と推定される。そして、現地調査で接合部を確認できた5棟(犠牲者が出た3棟を含む)が国交省の告示に反して、くぎ打ちだけで留められていた。そればかりか、筋交いの端がシロアリに食い荒らされていたり、土台のコンクリートに鉄筋が入っておらず亀裂が入ったとみられるアパートもあった。

 7棟の中には、物件紹介のホームページにこのように載せられているものもある。

 「1DK 築3年 月3万7000円」

 だが、このアパートの不動産登記簿を取り寄せてみると、「昭和57(1982)年新築」とあり、リフォームした時から数えて「築3年」と表記したものとみられる。

 ほかの倒壊アパートの中にも、ホームページに「改築5年」とあるのみで、築年数が書かれていないものがあった。登記上は「昭和49(74)年新築」だった。

 こうした物件はリフォームしていたら内装などはきれいに見える。だが、新たにユニットバスを設置したりすれば、耐震化が不十分なまま2階の重みが1階にのしかかることになりかねない。南阿蘇村の倒壊アパートの多くも1階部分が2階に押しつぶされていた。

 学生向けアパートの耐震化について、国交省は「特化した取り組みは実施していない」と取材に答える。文部科学省も「民間の資産なので特別に助成制度を設けたり、啓発活動を進めたりする動きもない」としている。

 だが、同じように古い建物によって若い命が奪われた事例は、95年の阪神大震災でも報告されている。

 兵庫県は、震災による死者について年代別(5歳ごと)にまとめているが、20~24歳が全体に占める割合は4.67%で、その前後の年代の2%台と比べて突出して高い。専門家は多くの学生が下宿先の建物の下敷きとなったとみている。【関谷俊介】

最終更新:4/14(金) 22:11

毎日新聞