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ロンドンの人気雑貨店、日本上陸/LABOUR AND WAIT

朝日新聞デジタル 4/14(金) 19:10配信

【こだわり派の逸品】

 「LABOUR AND WAIT(レイバー・アンド・ウェイト)」は、今ロンドンきってのクールなエリア、ショーディッチに店を構えている。切り盛りするのは、元ファッションデザイナー、サイモンとレイチェルのふたり。店名は詩から引用した「仕事をして、結果を待て」という意味だ。

【写真】さまざまな国で集めた“ブラシミュージアム”

 店内に置かれたシンプルかつ機能美にあふれた日用雑貨は、クラフトマンシップを好むロンドン子を魅了し、感度の高い若い世代たちに支持されている。2000年のオープン以来、訪れる客は地元の人から観光客までと幅広く、ここ数年は海を越えて日本のファッション通の間でもLABOUR AND WAITの名は知られていた。

 10年前からLABOUR AND WAITをインショップとして展開してきた「ビショップ」が、この2月にロンドン以外初の路面店「LABOUR AND WAIT TOKYO」を東京・千駄ヶ谷にオープン。サイモンとレイチェルは、初の海外出店になぜ東京の地を選んだのか? オープンにさきがけ、ロンドンの本店にも足しげく通ったという店長の松村伴栄さんにお話を聞いた。(文・宮下 哲)

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――「LABOUR AND WAIT」との出会いは?

 もともとファッションデザイナーだったサイモンとレイチェルは、半年単位で移り変わるアパレル業界のサイクルに疲れていたそうです。時代に左右されずに、「あの店に行けば、いつもあれがある」といったような安心感のもてる店をやりたいと考えて、15年前にオープンしたのがLABOUR AND WAITでした。

 当初はファッションデザイナーの仕事と並行して、週末だけの副業でスタートしましたが、徐々に商品も増えて空間も手狭になったことから、現在のショーディッチ付近のレッドチャーチストリートに移転。当時はまだ緑があるだけの簡素なエリアだったそうです。でも、彼らがお店を構えるようになると、「ザ・コンランショップ」や「イソップ」などが続々越してきて、いまや観光ガイドにも出てくるような人気スポットになっています。

 ロンドンでバイイングしていたビショップのバイヤーが、たまたまLABOUR AND WAITのお店の前を通ったのがきっかけでした。「長く使えて、歴史があり、今後も残っていくもの」という私たちビショップの物選びの基準と、彼らの扱っていた商品とは親和性が高かったのだと思います。彼らも「ぜひ、一緒にやりましょう」と快諾してくれましたから。以来、インショップ展開を10年続けてきました。

 定番の雑貨や服を中心に扱ってきたビショップにとっては、カバーオールや和食器など置くLABOUR AND WAIT独特の着眼点には、これまで教わることも多くあったなと思います。

――なぜ千駄ヶ谷という地にオープンしたのですか。

 場所を決めるにあたって都内をいろいろと巡った彼らは、日本橋や馬喰町など荒物屋さんが多く点在する東東京も気に入ったのですが、最終的には感度の高い人が集まるこのエリアになりました。

 店舗が入っている建物が古いマンションだったことも、お店のイメージをかき立てる要因になったようです。天井が低めで、床に少し勾配がかかり、壁面はタイル。来日してスケルトン状態の空間を内見したとき、「これにしよう」と彼らが即答していたのが印象的でした。

――店内には、ブラシが多く置かれています。

 サイモンとレイチェルは、大の「ブラシ」好きなんです。来日するたびに、日本のほうきやブラシ類をよく探しています。販売はしていませんが、世界中で収集してきたというコレクションを“ブラシミュージアム”として店内の一角で展示しています。

 ひとつ象徴的なのは、LABOUR AND WAITの定番商品である、トイレ清掃用のブラシ。お花屋さんで使われるブリキのバケツとセットにしたことで人気が出ました。最近のトイレブラシに比べたら、木製の取っ手は重いし、ブラシの毛が抜けることもあります。でも、天然素材なのでバクテリアが雑菌を分解してくれたりして、じつは清潔と言われています。そんな背景も知ってもらえたらうれしいですね。

 リンゴの皮と芯をむくアップルピーラーも、日本では使われることがめったにありませんよね。そういった、いわゆるマーケティングの視点とは違うところにも面白さがあるし、それ自体も雑貨の楽しさだと思うんです。使い方は自由なので、ほかの用途にしてもいいし、インテリアとしてオブジェにしてもいい。LABOUR AND WAITのコンセプトには「置いてあるだけで美しいもの」という部分がありますから。

――日本人の手仕事の中で、彼らを魅了したものはありますか。

 オーナーのサイモンは、もともと陶芸家を目指していたこともあり、日本人以上に陶芸の世界を知っています。彼はバーナード・リーチが好きで、年1回、自分へのご褒美としてセント・アイヴスにあるリーチ・ポタリーで陶器を買うことにしているそうです。

 サイモンとレイチェルは日本の生活道具や日用雑貨がとても好きで、来日するたびに合羽橋に出かけています。毎回10メートル進むのに1時間くらいかけながら、お店を1軒1軒、これがいい、あれがいいと言いながら巡ります。彼らが買い付けた、アルミピンチの洗濯バサミ、亀の子束子(たわし)、野田琺瑯(ほうろう)などは、ロンドンでも取り扱っています。

――今後発信していきたいことは。

 路面店にはインショップで扱っていない商品も多数そろっています。LABOUR AND WAITの魅力を、このお店でじっくり堪能していただきたいですね。

 基本的には、ロンドンと同じアイテムを扱うのが私たちのスタンス。でも、ロンドンから入荷していないアイテムもまだまだあります。今後はラインアップをさらに充実させ、本国のような、もっと雑貨や道具があふれた空間にしていきたい。

 ここ数年、服と雑貨を扱ういわゆる「ライフスタイルショップ」が増えてきましたが、私たちはLABOUR AND WAITの世界観を大切に、このお店ならではの魅力を発信したいと思っています。

    ◇

LABOUR AND WAIT TOKYO
東京都渋谷区神宮前1-1-12
営業時間:12時~20時
電話:03ー6804ー6448
Instagram @labourandwait_tokyo

(朝日新聞デジタル &w)

朝日新聞社

最終更新:4/14(金) 19:10

朝日新聞デジタル