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忘れられた被災地、湯布院の1年間 「熊本よりはましだから。でも…」

BuzzFeed Japan 4/14(金) 12:02配信

熊本地震で被害を受けたのは、熊本だけではない。2016年4月16日未明にあった本震の被害は隣県・大分にも及んだ。中でも大きな被害を受けたのが、日本屈指の温泉街、湯布院だ。【BuzzFeed Japan / 籏智 広太】

【写真】助けを求める衰弱した子どもたち

大分県のまとめによると、湯布院町がある由布市の建物被害は全半壊あわせ176棟と、県内でいちばん多い。一部破損は2247棟と別府市(4386棟)に次ぐ多さだ。

発災直後に湯布院に入ったBuzzFeed Newsは、再び現地を訪れた。「忘れられた被災地」の1年間を知るために。

気がまぎれる、けれど……

「今度地震があったら、終わりじゃ。この家は持たない。次の地震がこんうちに、早くあの世に行きたいねえ」

そう語るのは、被害の大きかった川北地区に暮らす木部鉄朗さん(75)だ。

震災直後、取材に対し「もう湯布院には住めない」と話していた木部さん。妻の実家がある別府に半年ほど暮らしていたが、慣れない暮らしにストレスが溜まる一方だったため、11月ごろに戻ってきた。

「30年以上、暮らしてきたんですから。畑もあるし、庭の花木の世話もできる。ここに帰ってきたほうが、気がまぎれるからね」

いまだに眠るのが怖い

しかし、自宅は半壊状態だ。建て直しも考えたが、「年金暮らしだから」と諦めた。

あちらこちらに走ったヒビなど直せるところは自分で直し、妻と2人で暮らす。壁が剥がれ落ちるなど、被害の大きかった2階はそのままにして、1階のみを使う。

「もうちょっと若かったら自分で直すけどねえ。私たちも先が見えているし、帰ってくる子がいるわけでもない。金もないし、そのままにしているよ」

いまでも、小さな揺れにトラウマを呼び覚まされるという。車が通るたびに「ビクっとしてしまう」のだ。

「最初の頃はたまに頭が混乱して、震えが止まらなくなってね。いまだに眠るのが怖いんですよ」

震災後、精神安定剤の処方も受けるようになった。ただ、最近は飲むのをやめている。服用してから寝入ったときに地震がきても、「動けないんじゃないか」と思うからだ。

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最終更新:4/14(金) 14:49

BuzzFeed Japan