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暴走する米国のトマホーク外交

4/14(金) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「トランプ大統領は”米国第一”を掲げ、遠い国の厄介な紛争への関与を避けるという外交方針を転換した」 ー 。シリアのアサド政権軍によると見られる化学兵器使用の後での政権へのミサイル攻撃について、ニューヨーク・タイムズ紙は「方針転換」と意味づけた。

【中東の危機も、米国の危機も深まる】

「世界の問題が自分の問題であると気付いた1人の男による感情的な行動」とも書く。記事は(トランプ氏の行動を)称賛する書きぶりである。「感情的な行動」の言葉も否定的ではなく、化学兵器の犠牲になった子どもたちの悲惨な映像に「心を動かされた」というようなニュアンスがある。

シリアで極度に低下していた米国の影響力

トランプ大統領の反応は米国民の素朴な正義感に訴えたのだろう。しかし、米国が世界を驚かせた軍事行動は、シリアと中東で米国が置かれた厳しい現実と無関係ではない。

シリア情勢は昨年11月9日、米大統領選でトランプ氏当選のニュースが流れた後、動き始めた。1週間もしないうちに政権軍がシリア第2の都市アレッポ東部にあった反体制支配地域に大規模な侵攻作戦を開始した。12月上旬にはアレッポ東部はほぼ陥落。トランプ大統領の当選でオバマ政権が身動きとれなくなるのを狙いすましたかのような軍事作戦だった。

アレッポ東部の陥落で懸案となった反体制地域の市民の安全な退避では、ロシアとトルコが協力し、ロシアがアサド政権側、トルコが反体制勢力を押さえて停戦を実現し、退避を仲介した。停戦はその後も維持され、2017年1月下旬にロシアとトルコにイランを加えた3カ国が主導して、中央アジア・カザフスタンの首都アスタナでシリア和平協議が開かれた。アサド政権と反体制派も参加した。米国は現地の米国大使が出席しただけだった。

米国の政治的空白状態の間に、シリア情勢は米国抜きで停戦や和平の枠組みが進んだ。その背景には、シリア内戦をめぐって激しく対立したトルコとロシアの関係修復があった。昨夏、エルドアン大統領がモスクワを訪れてプーチン大統領と会談した。トルコがロシアに接近したのは、オバマ政権がシリアのクルド人勢力を支援して「イスラム国」(IS)と戦う戦略をとったためである。トルコは国内に反体制クルド人勢力を抱え、シリアでのクルド人の勢力拡大を脅威と考えた。

トランプ大統領はオバマ時代に冷え込んだロシアとの関係修復を掲げた。さらにシリア内戦でもISと戦うためには、アサド政権との協力が必要だと唱えた。しかし、トランプ氏が大統領に就任した時、シリアでの米国の影響力は極度に低下していた。そのまま、ロシア主導の枠組みに乗れば、米国のシリアでの影響力はないも同然となる。シリア内戦に関わるサウジアラビアやカタールも、ロシアと話をつけるしかなくなる。米国の影響力は中東全体で失墜しかねない。

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最終更新:4/14(金) 12:10
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