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「無名の文化財」次々救出 倒壊家屋から6200点、保管庫へ 熊本地震

西日本新聞 4/14(金) 10:15配信

 熊本地震の被害にあった古民家に残されていた古文書など、国や自治体の文化財指定を受けていない「無名の文化財」の救出活動が続いている。

 熊本県益城町の「益城保管庫」を訪ねた。県の要請で昨年7月に始まった文化財レスキュー事業で、町内外の倒壊家屋から運び出された文化財が集められている。古い木箱に収められた古文書やびょうぶ、陶器、民具があった。

 県文化課によると、九州内外の文化財担当者や学芸員ら延べ約800人が熊本入りし、壊れた旧家や蔵から約6200点を救い出した。救出した文化財は益城町のほか、宇城市と八代市の保管庫に収めている。

 同事業は、県が1998年にまとめた文化財リストを基に進められた。約2千件が記録され、初動段階で大いに役立ったが、リストが古いという難点もあった。自治体が把握していなかった文化財も多く見つかり、中には熊本藩の御用絵師が手掛けたとみられるびょうぶもあった。「将来、熊本の指定文化財になる可能性がある。今こそ守らなければならない」と同課指導主事の溝辺浩司さん(53)は力を込める。

 今後、住宅再建が本格化すれば救出文化財はさらに増える。だが、既に益城と宇城の保管庫は満杯状態で、県は新たな保管場所を探している。所有者の生活が再建されないと、救出文化財の返却も進められない。

 同事業の参加団体「熊本被災史料レスキューネットワーク」は、県内の歴史研究者が震災直後に立ち上げた。代表の稲葉継陽(つぐはる)熊本大教授(50)は言う。「救出した文化財をきちんと調査研究し、いつか、その価値を伝える展覧会を開きたい」。先人が残した文化財を次の世代へ伝えていくことも、古里の復興には欠かせない、大切な取り組みだ。

=2017/04/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:4/14(金) 10:15

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