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なぜ日本人は住宅ローンを借り換えないのか 後編

ZUU online 4/15(土) 8:10配信

米国ではS&L(Saving and Loan Association)の相次ぐ破たんを受けて、住宅ローンの証券化が進められることになりましたが、そのうえで大きな役割を果たしたのが政府支援機関でした。また、証券化により、金融機関の抱えるリスクが軽減され、住宅ローンの借り換えが積極的に推進される米国とは対照的に、日本の金融機関を中心とした住宅ローンを取り巻く環境は大きく異なります。ここでは前編に引き続き、米国での過去の動向を紹介させていただきながら、日本における課題について解説していきます。

■米国証券化市場で存在感を増した政府支援機関

住宅ローンの証券化で大きな役割を果たしたのがファニーメイとフレディマックでした。前者は、1938年に住宅ローン買い取りを目的に連邦住宅抵当公庫として発足しました。後者は、そのファニーメイを補完するために、1970年に設立された連邦住宅抵当貸付公社で、政府支援企業(GSE)として、民間の金融機関から住宅ローン債権を直接買い取り、住宅ローン市場に資金を供給してきました。しかし、サブプライム問題に端を発した住宅バブル崩壊で経営危機に陥り、いまだに両社は公的管理下に置かれています。

米連邦準備理事会(FRB)によると、米国の住宅ローン残高は約10兆ドル(2015年)です。このうち3分の2ほどが証券化されているといわれ、ファニーメイやフレディマックなどのGSEが、住宅ローン市場で果たしている役割がいかに大きいかということがわかるでしょう。

一方、住宅金融支援機構によると、日本の住宅ローン残高は186兆円(2015年度末)で、住宅ローンの証券化を実施した金融機関は3.0%(2015年度)にとどまります。さらに、73.8%の金融機関が証券化の検討も必要性もないと回答しているのが現状です。証券化の目的として、金利リスクの回避・軽減が最も多い意見でしたが、実際の証券化に向けては、ノウハウの不足が最大の課題として浮かび上がっているようです。

■金融機関からの借り換え促進は期待できず

住宅ローンの証券化が進まない日本では、依然として金融機関が様々なリスクを抱えることになります。例えば、金利が下がっている局面では、金利の低い住宅ローンへの借り換えを検討するケースも多いでしょう。住宅ローンを抱える人にとっては賢明な選択ですが、金融機関からすると、期限前に住宅ローンの返済が終わってしまうと、将来に渡って得られるはずの金利収入が減少するデメリットがあります。

さらに、金利が低下する状況では、返済された資金をより有利な条件で運用するのは困難です。このため、金融機関は住宅ローンの借り換えによって、想定外のキャッシュフローが経営に影響を及ぼすリスクを警戒します。この点が米国とは異なり、金融機関が積極的に住宅ローンの借り換えを促進できないもっとも大きな理由といえます。

■住宅ローン借り換えは債務者の金融リテラシー頼み?

金融機関からの住宅ローン借り換えの積極的な取り組みが展開されない日本では、住宅ローンを抱える人が、自ら行動を起こすことが必要となるでしょう。しかし、住宅金融支援機構によると、住宅ローンの新規貸出額に占める借り換えの割合は、23.4%(2015年度)にとどまっています。それでは、住宅ローンの借り換えを阻むものは何でしょうか。

SBIモーゲージとオールアバウトが首都圏を対象に住宅ローン借り換えに関する調査(2014年)をしたところ、「借り換えする理由が特にない」「手数料がかかる」「手続きが面倒」といった意見が多数を占めました。一方、住宅ローンの借り換え経験者を対象にしたエコンテの調査では、「借り換えにより得をした」が46.3%、「どちらかといえば得をした」が47.0%と9割以上が借り換えで経済的な負担の軽減に成功しているデータが浮かび上がりました。

2016年に日銀がマイナス金利政策を導入してから、住宅ローン金利は史上最低の水準で推移しています。住宅ローン借り換えで、毎月の返済額が減ったり、返済期限が短縮されたりする可能性がますます高まっていることは事実です。

住宅ローンの証券化が進み、金融機関が積極的に借り換えを促進するアメリカとは異なり、特にネット銀行を除く金融機関が借り換え促進に消極的な日本の現状では、住宅ローンを抱える人が、自ら一歩を踏み出すことが低金利時代のメリットを享受できるかどうかの鍵となりそうです。まずはどんなことでもよいので初めの一歩を踏み出し、自らの金融リテラシーを少しずつ高めていこうではありませんか。(提供:住宅ローンのすゝめ)

最終更新:4/24(月) 20:30

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