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温か「保ちゃん広場」 桜愛した菊地さんしのび看板

茨城新聞クロスアイ 4/15(土) 4:00配信

ヤマザクラの名所、桜川市の高峯山。麓の平沢林道入り口近くに観光客を温かく迎える広場がある。同市平沢の菊地保さんが生前、「車で来た人の駐車場に」と私有地を無料開放した。日頃から地域の自然保全に尽力し、3年前に61歳で亡くなった。その足跡を残したいと、同級生が中心となって「保(たもっ)ちゃん広場」と命名、看板を建てた。山のサクラはもうすぐ満開。広場で16日、お披露目を兼ねた「山桜祭り」を開く。

菊地さんは同地区で生まれ育った。市役所に勤めながら、高峯山の草刈りや清掃を行う市民団体を立ち上げ、率先して80人の会員と汗を流した。時に講師となり、子どもたちの前で、地域のヤマザクラの美しさを誇らしげに語った。

同市は、奈良県吉野町と並ぶサクラの名所として、「西の吉野、東の桜川」と称される。雑誌などで紹介され、2012年以降、観光客や写真愛好家が急増。サクラの季節、展望台までの林道は車両進入禁止となる。車で来た人が安心して楽しめるよう、菊地さんは自宅の畑を整備し、約50台分の駐車場として無料で開放、散策に向かう観光客を笑顔で送り出した。

2年後、菊地さんは急逝する。無償で地域に貢献した足跡を残したいと、同級生や元同僚4人が協力を呼び掛けた。70人から寄付が集まり、広場には木製の看板、地元石材を使った立派なテーブルが設けられた。看板には墨で大きく「保ちゃん広場」と書かれた。小学校からの同級生、入江利雄さん(64)は「みんな、彼の人柄とヤマザクラへの愛情を語り継ぎたい思いだった」と話す。

観光客は、遠くは関西からも訪れるという。広場では、農産物の直売コーナーに加え、今年は休憩所を広げた。ヤマザクラの季節となる4月末までは、妻の和子さん(66)が長女の海老沢愛さん(35)、親類、地域住民と一緒に立ち、来訪者をもてなす。

「多くの方に気持ちよくサクラをめでてほしい。それが主人の願いだった」とほほ笑む和子さん。山肌が淡紅色ともえぎ色に染まる間、「いってらっしゃい。気を付けて」と観光客を送り続ける。



山桜祭りは16日午前9時~午後3時。謡曲や琴、おはやしの演奏や野だて茶会のほか、ゆず茶や甘酒を提供する。 (平野有紀)

茨城新聞社

最終更新:4/15(土) 4:04

茨城新聞クロスアイ