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権藤博氏語る WBC日本代表投手が派手に打たれている理由

日刊ゲンダイDIGITAL 4/15(土) 9:26配信

コラム【権藤博の「奔放主義」】

 ロッテの石川歩(29)が、今季初登板から2試合連続でKOされた。

 先のWBCで日本代表の先発を任せ、投手コーチだった私が最も頼りにしたひとりだ。本人に聞くと「調子はいいんですが……」と言っていた。確かに、投げているボール自体は決して悪くない。

 そこに原因がある。

 巨人の菅野智之(27)も11日の広島戦で5失点KO。翌日、楽天の則本昂大(26)は西武打線に打ち込まれ、5回6失点でマウンドを降りた。ソフトバンクの千賀滉大(24)も今季初登板となった4日の楽天戦で4回7失点KO。侍ジャパンの先発陣がみな、一度は派手にやられている。

■「疲労」は的外れ

 彼らも石川と同じで、いいボールを投げてはいる。しかし、打たれた。いや、だから打たれた、と言っていい。

 侍ジャパンの面々は、3月7日のWBC開幕に合わせて、オフから調整をした。「その疲れがあるんだろう」と訳知り顔の解説もあるが、それは違うだろう。今後、通常より1カ月早くピークを持ってきた影響が出てくる選手はいるかもしれないが、それはもっと先の話。石川が、「調子はいい」と言うのはもっともで、とっくに臨戦態勢を整え、あのWBCの激闘を戦った日本代表の投手陣の多くは、仕上がった状態のはずだ。

 いきおい、力で押したくなる。ましてや、世界のパワーヒッターと対峙し、ヒリヒリするような勝負をしてきたばかりである。日本の打者を見下すわけではないが、どうしたってパワーでは劣る相手に、投球の「強弱」をおろそかにしてしまっているように見えるのだ。

 私の言う「強弱」は、「緩急」とは違う。緩急は、誰にだってつけられる。真っすぐのあとにカーブを投げれば、それだけで緩急。必要なことではあるが、勝負においてそれ以上に効くのが、打者の「目」と「間」を狂わせる「強弱」だ。

 同じ直球を投げるのでも、意識的に150キロと140キロを投げ分ける。変化球でもそう。これが私の言う「強弱」で、侍ジャパンの投手陣にはその効用を何度も説いた。

 一本調子でいけば、菅野だって石川だって、そうは簡単に勝たせてもらえない。海外勢に比べてパワーは劣っても、日本の打者はミート力には優れている。調子の良さに任せて力でグイグイ押すだけでは打たれて当たり前だが、状態が良ければ良いほど力で押したくなるのも事実。気持ちは分かる。それが、投手という生き物だ。調子の良し悪しが必ずしも結果にはつながらない。だから野球は面白く、難しい。

(権藤博/野球評論家・侍ジャパン前投手コーチ)

最終更新:4/15(土) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL