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<医療>花粉症とともに増える尿もれ 手軽な体操で改善

毎日新聞 4/15(土) 10:00配信

 花粉症の人にとってつらい季節が続きます。よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックの奥井識仁院長によると、花粉症の時期は一年でもっとも尿もれを訴える患者が増えるそうです。花粉症と尿もれの関係と、手軽に取り組める尿もれ改善体操について、奥井院長に解説してもらいました。【医療プレミア編集部】

 ◇尿もれが花粉症の時期に増える理由

 せきやくしゃみをした時、または何か重いものを持ち上げたり、ゴルフボールを打つような腹部に力のかかる動作をしたりした時に、尿がもれることを「腹圧性尿失禁」と言います。女性に多く、出産直後から出現する人もいます。

 ヒトの骨盤の一番下には骨盤底といわれる、さまざまな筋肉や筋膜が重なってできている薄い層があります。もちろん、イヌにもサルにもありますが、ヒトは二本足で歩くようになったことで、骨盤底が大きく発達しました。イメージとしては、骨盤底がハンモックの役割をして、その上にぼうこう、子宮、直腸が乗っているという感じです。

 女性の場合は、妊娠中に骨盤底に重みがかかり、尿がもれます。多くの場合、出産後に改善しますが、出産中に赤ちゃんの頭が骨盤底の一部である尿道の周囲の筋肉・靭帯(じんたい)に大きな傷をつくると、尿道を一定の位置に固定することができなくなり、腹圧がかかるたびに尿道が膣(ちつ)の方へ落ちてしまいます。これを尿道瘤(りゅう)というのですが、その時に表れる症状こそが腹圧性尿失禁です。

 ◇手術に加えて体操で対策

 腹圧性尿失禁の多くは、尿道瘤が原因ですから、尿道が落ちてこないように、固定する骨盤底の筋肉・靭帯を補強すればいいわけです。日本では、手術で人工テープを挿入して筋肉を固定することが一般的で、保険適用になっています。海外では膣内からレーザー光線を当てて骨盤底の筋肉の発育を促す治療があります。もちろん、筋肉や靭帯を自力で鍛えることでも、腹圧性尿失禁は改善します。このトレーニングを骨盤底筋体操(ケーゲル体操)といいます。その方法を解説しましょう。

(1)まず、お尻の穴、膣の穴に意識を集中します。

(2)お尻の穴を締める感じで、力を入れてください。

(3)この動作をゆっくり1分かけて行ったり、1分間に何回もすばやく行ったりします。

(4)1回10分程度継続し、それを朝と夕方など毎日時間をきめて実施します。

 骨盤底筋体操による腹圧性尿失禁の改善効果については、数多くの研究があり、副作用もなく効果的であることが証明されて、推奨されています。

 ◇男性にも効果がある骨盤底筋体操

 この骨盤底筋体操は、男性にも効果があることがわかっています。ハーバード大学提携スパルディングリハビリテーションセンターでは、骨盤底が男性の「尿もれ、腸のトラブル、さらには勃起の問題を引き起こす可能性」があると指摘しています。

 たしかに、これまで知られている骨盤底の主な役割は、女性を対象にした研究のみで考えられており、腹部、ぼうこうおよび結腸をサポートし、排尿および排便の制御を維持するのを助けること、とされていました。一方、男性について考えると、これらの筋肉は、勃起や射精にも重要な働きをするのです。男性泌尿器科では前立腺がんの手術後の方にのみ、骨盤底筋体操を指導してきましたが、これからはすべての男性に対して、アンチエイジングの目的で骨盤底筋体操を教育し、普及させる価値があります。

 男性の場合も方法は全く同じです。これを読んだ方、性別問わず、ぜひ骨盤底筋を鍛えてみてください。パートナーの方と一緒に取り組むのもお勧めですね。

最終更新:4/15(土) 10:00

毎日新聞