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きのこ雲が見えたら初動は30分が勝負。核攻撃で放射性降下物を避ける方法をLLNLに聞いてみた

ギズモード・ジャパン 4/15(土) 8:11配信

今この瞬間、自分の街に原爆が落ちてきたら、どこに、どれぐらいの時間避難すれば、放射性降下物の後遺症は最小限に食い止められるのか? ローレンス・リバモア国立研究所の大気科学者マイケル・ディロン(Michael Dillon)氏に伺ってみました。

【図表入りの詳しい記事は、コチラから】

氏は今月これをテーマに英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society A)」に論文を掲載して話題の人。

化学事故、伝染病、核降下物など空気汚染災害時の政府緊急対応の研究一筋で、今回発表したのは既存の核降下物の研究多数を丹念に当たって、市街の核爆発の様々な要素を考慮してまとめた避難プラン。国から地方自治体まで幅広く採用してもらえれば、と考えています。

このプラン最大の特徴は、風向きや爆発規模といった情報から遮断される可能性の高い私やあなたのような一般人でも参考にできることです。「市内に原爆が落ちた」という認識だけでもこのプラン通り動けば被害は最小限にできます。

冷戦時の全面核戦争は非現実的

本題に移るその前にディロン氏が真っ先に断ってきたのは、「まだ理論上のプランに過ぎないからね」ということです。まさか小型核爆弾を現実の街に落として様子を見るわけにもいきませんからね。氏は「ありがたいことに、そういうことは滅多に起こらないんですよ」とも語っていました。

冷戦時の全面核戦争の脅威は去ったものの、テロの脅威は相変わらず残ってます。避難計画は不可欠だし、核攻撃に対する認識もパラダイムの転換が必要です。

現代人の思い描く核攻撃のシナリオは今も冷戦時代のまんまで、数メガトン級の原爆が至るところで爆発して都市焼失、人が大量に死んで、何百km圏内に死の灰が降って、世界が終わる…という『ターミネーター』みたいな認識で止まっていることが多いんですが、今日の国際状況でそんなシナリオが起こる確率は非常に低いんです。起こるとすればそれは0.1~10キロトンの小型核爆弾になる確率が高い。広島(15キロトン)、長崎(広島の1.5倍)よりずっと小さくて、冷戦時代の兵器に比べたらそれこそ無限小です。

「被害規模でいうと、ハリケーン・カトリーナに近い。都市には生き残る力も残ってる。これはその想定に基いて組んだプランです」(ディロン氏)

以下のチャートは、氏が想定した原爆と冷戦時代の原爆の差を被害範囲で示したものです。被害が一番ひどいのはピンクの領域(psi:重量ポンド毎平方インチ。爆発威力を圧力で示した単位)。ピンクの破線の内側の人は重度のやけどを負うリスクがあり、破線の外側の人は放射線被ばく、やけど、その他爆発によるけがの危険があります。最も重要な点は、今の核の脅威は被ばくリスクのある半径がずっと狭いこと。1キロトンの核弾頭だと爆心から2kmまでなんですね。冷戦時代の10メガトンの核弾頭は40km先まで被ばくが及ぶものでしたが。

つまり今きのこ雲が見えても、おそらく全員即死するとは限らない。市街が元通り復興することも十分考えられるのです。

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最終更新:4/15(土) 8:11

ギズモード・ジャパン