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やしろあずきの調査―― ネット上で女性を演じる「ネカマ」って何なの!? 昔自分をだましたネカマと直接対決してみた(前編)

4/16(日) 15:27配信

ねとらぼ

 どうも、やしろあずきです……。

 皆さまは「ネカマ」をご存じでしょうか。

【画像】Ceciliaから届いたDM

 ネットゲームなどをプレイしている人はよく聞く用語だと思いますが、ネカマとは「インターネットオカマ」の略、つまりネット上で女性のフリをする男性のことです。

 現実世界のオカマはなんとなく見た目で判断できる確率も高いですが(もちろん完全に分からない人もいますが)、ネット上の情報しか頼れないネカマは一目じゃ「この人本当は男だな!」なんて判別できません。アバターが女性で、本人も女性というならそれを信じるしかないのです。

 ただ、最近はネトゲなどで自分が男性だということを公言して女性キャラクターを使う人も増えてきており、そういう人は「ネカマ」ではないと僕は考えています。

 僕もFF14では女性キャラ使っていますし……。

 なのでこの記事では「ネット上で自分が男性だということを隠しながら女性として振る舞う」人たちを「ネカマ」として扱うことにします。



 もう察している人もいると思のですが、実は僕はネカマに対してあまり良い思い出がありません。

 中学生のころ、ネトゲにどっぷりハマっていたのですが、もう僕のネトゲ歴=ネカマにだまされていた歴と言っても過言ではないほどにだまされまくっていました。つらい。

 夕日を見ながら将来を誓い合ったあの娘も、誕生日を一緒にお祝いしたあの娘も、みーんなネカマでした。蓋を開けたらみんな男。

 めちゃくちゃ好きだったギルドの姫についにオフ会で会えると思ったらゴリゴリのオッサンが現れたときは、本気で自殺を考えたほどでした。

 僕には分からないのです。

 別にリアルだとゲイだというわけでもないのに、なぜネット上で女性のフリをするのか?

 なんのためにネカマという生き方をしているのか?? なんで僕をだましたの??? なんで???

 ……後半私情が入ってしまいましたが、つまり今回は「ネカマがなぜネカマをしているか」をテーマに実際にネカマをしている人、していた人にインタビューをして調査してみよう。という企画です。


●調査開始

 さて、前置きが長くなってしまいましたが早速調査開始です!

 以前書いた若者とSNSの記事のようにTwitter上でネカマを募ってみるとしましょう!

 前回とは違って今回はネカマという割と言いだしづらいテーマなので、そんなに来ないかなぁと思っていたのですが……。めっちゃくちゃ来ました。

 しかも内容もかなりガチめのものが多くて、現在進行形でネカマをしていて、男性に(ネトゲ内の)アイテムを貢がせている人や、~~~(自粛)な人など……。

 何だよこれ、インターネット怖すぎだろ。と恐怖を覚えながら応募のDMに目を通していたのですが……。

 ……なんということでしょう。ネカマを募集していたらまさか、

中学時代に僕がハマっていたネトゲ内で僕をだました宿敵のネカマ

が引っ掛かってしまいました。信じられん。

 ……しかしこの後も数回DMでやりとりをしたのですが、当時の僕しか知らないことや僕が当時ネトゲ内部で「自分はフランス人とのハーフで名字はグレイトシャンパーニュだ」というクソみたいなウソをついていたということを始め、Cecilia本人しか知らないようなことをたくさん知っていたので、本人だと認めざるを得ませんでした。

 こうなったら仕方がありません。

 急きょ企画を変更し「僕を過去にだましたネカマを徹底的に問い詰める」ことにします。

 まあ、問い詰めるついでにネカマがなぜネカマをするかなどもヒアリングしていく予定なので、元の企画通りといえば企画通りなのですが……。他のDMをくれた方々も絶対別の企画で声をかけさせていただきますのでお待ちください……。

 というわけで!! だましていたネカマとネカマにだまされていた人という地獄のような組み合わせの対談の様子をお送りします。

 これほど相手に殺意をもって対談に臨んだことは初めてです。


●対談開始! 中学時代ぶりの邂逅(かいこう)!!!

 4月某日、都内某所。

やしろ「うーーーん……まさかこんなことになるとは……」

やしろ「中学時代、女子大に通う女子大生だと自称していたCeciliaとこんな形で再開を果たすハメになるとは……。と言ってもリアルで会うのは初めてなんだけど……」

やしろ「『年下が好きで君のことにも興味がある』、とか『地方に住んでいるから東京に来たらぜひ会おう』とかいろいろ言われて……。あのときは学校にもいかず1日ネトゲ三昧だったけど本当に毎日がバラ色だったな……。携帯番号を教えてもらおうとしたらネカマだってカミングアウトされて本当に死にたくなったけど、いまだに脳内では彼女……いや、彼のことを女性だと認識している気がして自分が怖いわ……」

やしろ「ハァ……でも俺ももう今年で28、いい大人だ。過去の苦い思い出なんか笑い話に変えてきっと仲良く話せるはず……ん?」

Cecilia「どうも、Ceciliaです」

やしろ「……え? 誰って……?」

Cecilia「Ceciliaです」

やしろ「じょ……女子大生のはずじゃ……」

Cecilia「ええ!? ちょっと……何でまだ女性だって信じてるんですか!? ネカマ募集に応募してきたのに……」

やしろ「あ……うん……」

Cecilia「それに昔、ネカマだってカミングアウトしましたよね!? なぜかその後ログインしてこなくなっちゃいましたけど、刹那さん」

やしろ「なぜかじゃねえよ……落ち込んでたんだよお前……あと当時のハンドルネームで呼ぶのはマジでやめて」

(注:当時やしろあずきは「刹那 虜華(せつな りょか)」というクソ中二なハンドルネームでプレイしていました)


Cecilia「あ……ごめんなさい。取りあえず今日はよろしくお願いします。刹那神兵団長さん」

やしろ「本当に殴るぞお前」

(注:当時やしろあずきはギルドのマスターとして『神兵団長』を自称していました)


●自己紹介

やしろ「ハァ……もうすごく、すごく帰りたいけど自己紹介のほうを取りあえずお願いします」

Cecilia「あ、はい。Ceciliaと申します。今は刹……やしろさんと同じく別のハンドルネームで活動していますが……ネカマ歴は11年。やしろさんとは学生時代にラグナロクオンラインというネットゲームで出会いました」

やしろ「出会いたくなかった。というか今もネカマしてるの……?」

Cecilia「してます。もうやめられないんです。一度はやめようと思ったけど……」

やしろ「薬物依存者の言い訳みたいなこと言うなよ……。まあ、今回は連絡してきてくれてありがとうございます……というか、何で俺のこと分かったの? 当時とハンドルネーム違うし……」

Cecilia「や、結構僕のこと漫画のネタにしてるじゃないですか。ネカマが題材の漫画とかにCeciliaってキャラ出したり……」

やしろ「あーーーーーー出してるわ……」

Cecilia「それを見て、んん……? これ僕のことかなってなって……まあ確証に変わったのは漫画じゃないんですけどね。やしろさんネットに自分の中学時代の写真アップしてるじゃないですか。ネタで。」

やしろ「え……ああ、中二病時代のね。うん」

Cecilia「あれ、当時(中学時代)僕にも送ってきましたよね。メールで」

やしろ「ああああああああああ」

Cecilia「ゲーム外でもメールでやりとりしてて、そしたらいきなり『俺、ちょっと人と違う服装なんだよね? 見る?』って送ってきて」

やしろ「んああああああああああああ……オェェッ……」

Cecilia「大丈夫ですか?」

やしろ「大丈夫だと思う……? いや、思い出したわ……それで君、すごい格好良い! 黒騎士みたい! 的な返信してきたよね……うれしかったけど、実際あれどう思った?」

Cecilia「究極的にダサいと思いました。別に服のセンスは人それぞれでいいのですが、あのやしろさんは服に着られているというか……無理して着ている感がすごくて」

やしろ「具体的に批判するのはやめて」


●なんでネカマをしようと思ったの?

やしろ「ではいろいろネカマについて聞いていこうと思うんだけど……まずなんでネカマをしようと思ったの?」

Cecilia「しようと思って……というか、僕の場合は自然になってしまったんですよね」

やしろ「自然に」

Cecilia「はい。むしろ自然にネカマになってしまった人って結構多いと思いますよ! 周りにもそういうタイプの人多いし……自ら望んでネカマになる人って逆に悪いネカマが多いと思います」

やしろ「わ……悪いネカマ!? なんだそれ……まあそれは後で聞くとして、じゃあその自然にネカマになったキッカケを教えてほしいな」

Cecilia「高校生のときにプレイしていたネトゲで、性別によって能力が変わるみたいなゲームがあったんですよね。自分が使いたい能力が女性のキャラクターしか使えなかったので、女性キャラクターでゲームを始めたんですよ」

やしろ「あーーーー……あったなそのゲーム……。あのゲームが多くのネカマを生み出した元凶の可能性もあるのか……」

Cecilia「で、最初は普通に男性としてゲーム内で振舞っていたし実際の性別を聞かれたら男ですって答えるつもりでプレイしていたのですが……。ある日ゲーム内で知り合った男性から執拗に『女の子扱い』を受けるようになったんですね」

やしろ「あー……まあ、レベル上げ手伝ってあげるよ! とか敵の攻撃は僕が受けるからその間に攻撃していいよ^^とかそういう……」

Cecilia「それもそうですし、会話でもなんかいろいろ気を使ってくれたり、なんというか、今風の言葉でいうなら姫扱いですかね」

Cecilia「もう性別を聞くまでもなく最初から女性だと決めつけられていて『男です!』って言うタイミングを逃してしまったんですよね。アイテムとかももらったりしてたし」

やしろ「貢ぎ物だ……」

Cecilia「やしろさんからもめちゃくちゃもらいましたよね」

やしろ「そうだよ!!!! 返せ!!!! 全部返せ!!!! 悪魔のヘアバンド返せ!!!!」

※悪魔のヘアバンド ラグナロクオンラインの昔のレアアイテム。当時はクソ高かった。


Cecilia「いや……もうキャラ消してるので……。まあそれで、仕方なくその人の前では女性を演じるようになっていったんですが、その後その人つながりで知り合う人も全員女性扱いをしてくるタイプの人で……。気が付くともう当たり前のようにネトゲ内では女性として振る舞うようになっていました」

やしろ「ネカマの完成だ。ぶっちゃけ、女性を演じることが楽しかったっていうのもあるの?」

Cecilia「あ、それは間違いなくあります。全く普段とは違う自分を演じることに新鮮さというか、そういうものを感じるようになって……。会話をしていて女性だって思われるとうれしくなりましたし、どう振る舞えば本当に女性だと思ってもらえるか実際の女性を見て研究をしたりもしました」

やしろ「そう……一応確認しておくけどゲイではないんだよね?」

Cecilia「違います。ネカマってゲイの人めちゃくちゃ少ないと思いますよ。ネカマのコミュニティーでも普通にリアルじゃ女性が好きな人や、結婚してる人だって多かったです。もちろんゲイの人もいるにはいるんですが、少数派です」


●ネカマのコミュニティーって何?

やしろ「というか、さっき言っていた『ネカマのコミュニティー』って何? ネカマが集まる村みたいなもの? 焼き払っていい?」

Cecilia「どんだけネカマを恨んでるんですか……。大体やしろさんだって一通りだまされたあと自分もネカマやったって言ってたじゃないですか!」

やしろ「うっ……いやまあ、搾取される側からする側になろうと思って。疲れて数カ月でやめちゃったけど」

Cecilia「某ギャンブル漫画みたいなせりふを言わないでください……。で、ネカマのコミュニティーっていうのは、その名の通りお互いがネカマだってことを知っているネカマが集う場所のことです。ゲーム内のギルドであったり、ゲーム外のチャット……今だったらLINEグループとかですね。いろんな場所に存在すると思いますよ」

やしろ「ちょっと待って、ネカマってまず自分が男だってことを隠してゲームしているわけだよね。どうやって同族、ネカマを見つけてコミュニティーを作るの?」

Cecilia「それはですね、分かるんですよ。ネカマ歴が長いとやっぱり……あ、この人男だなっていうのが。モロバレの場合もありますし、かなり巧妙に擬態している場合はちょっと探ってみたりもしますが……」

やしろ「そのネカマの判別方法とやらはすごく気になるから後で聞くとして、相手がネカマだって自分の中で確定したらどうするの? すぐ仲間に入れるの?」

Cecilia「まあ、普通にこそーっと近づいてwis(耳打ち)とかで『君、男だよね? 実は私も』みたいな。その後気が合ったらコミュニティーに招待します」

やしろ「『君、男だよね? 実は私も』ってせりふ、全体チャットで誤爆とかしてほしい言葉ナンバーワンだわ……。じゃあそうして集まったネカマ同士の情報交換場所みたいなものなんだね……」

Cecilia「はい。あ、あとラグナロクオンラインの私のサーバだと、プロンテラ某所にネカマ専用のたまり場が存在して、秘密裏に各ギルドのネカマたちが集ってコミュニケーションを取ってたりもしました」

やしろ「かぁ~~~~~~~~ッ枝テロしてぇ~~~~~」

※枝テロ アイテムを使ってモンスターを召喚し、近くにいるプレイヤーをぶち殺す手法。アサシンでクローキングしながら臨公広場で枝テロだ!


Cecilia「まあ、やしろさんがさっき言った情報交換所って言い方は本当に正しくて……さまざまなネカマ界隈(かいわい)の情報とかが共有される場所でもあります」

やしろ「ネカマ界隈の情報って、例えばどんな?」

Cecilia「それはゲームにもよりますが……まあ、あのギルドのアイツはネカマを見破る能力が強いから気を付けろ、とか。あいつは少し話しただけで告白してくるから注意して接した方がいい、とか」

やしろ「つらい」

Cecilia「あと、どこどこのコイツは少し媚(こ)びればすぐアイテムや(ゲーム内の)お金をくれるからちょろいぞ……とか」

やしろ「何だよそれ怖ッ!!! もう詐欺集団の会話じゃん!!!!」

Cecilia「いや、言っておきますけど全てのネカマがこうじゃないですからね! さっき言った悪いネカマですよこういうのは! 僕もこのときはまだこんなことは言ってませんでしたし……」

やしろ「このときはまだ……?」

Cecilia「……まあそれも後々……あ、あとは普通の雑談だってしてましたよ。ほら、やっぱりネカマって基本的には孤独なんですよ。本当の自分を隠して常に周囲と接しているわけですし。本当の自分、男としての自分をさらけ出して話したくてつらい気持ちになるときが僕にもあって、そんなときにコミュニティーの存在に救われたというか」

やしろ「ふーん……というかそんなつらくなるならもう最初からネカマやらなきゃいいじゃん……」

Cecilia「いや、やっぱり女性を演じる自分も好きだし楽しいんですよ! 一度ハマっちゃうと抜けられないんですよ。ネカマって」

やしろ「ほんと違法薬物みたい……」

Cecilia「あ、あとそのコミュニティーを通じてネカマの傭兵集団みたいなギルドができたこともありましたね」

やしろ「よ……傭兵? 何それ?」

Cecilia「大手ギルド同士の争いのときとかに雇われて、戦闘のちょっと前あたりに優秀なネカマを相手のギルドの中にスパイとして潜り込ませるんですよ。そしてギルド内で適当な色恋沙汰を起こしてそのギルドを半崩壊に追い込むんです。崩壊とまでいかなくともギルド内がギスギスした状態で連携なんかうまくいくわけないですから、結果的にギルドの力を弱めることができます。そして報酬をもらうと」

やしろ「ええ……適当な色恋沙汰を起こすって、そんなうまくいくものなの……?」

Cecilia「大丈夫です。ネトゲ内の大手ギルドって童貞率が高いので。それに、送り込まれるのは男を落とすことに特化したネカマのスペシャリストなので」

やしろ「ひどい言われようだ。しかし潜入工作で給与をもらうって、ゲーム内とはいえ立派なビジネスとして成り立ってるよな……怖……」

Cecilia「私たちネカマも生きていくためにはお金が必要なので……」

やしろ「普通にクエストとかで稼いでくれ」


●ネカマって悪だと思う? 良いネカマ、悪いネカマって何?

やしろ「いろいろ聞いてきたのだけど、僕として1つ聞きたいことがあって……正直ネカマって悪だと思う?」

Cecilia「悪……ですか。やしろさんはどう思ってます?」

やしろ「史上最悪の悪だと思ってます」

Cecilia「ですよね」

やしろ「だって、基本的に人をだましてるわけじゃないですか! 私は女の子でーす! って。中身はよく分からんオッサンのクセに女性をかたって女性プレイヤーとしての恩恵を受けてさ、あげ句の果てにはゲーム内で何人もの男を手駒にとってアイテム貢がせたり、結婚システムを悪用して結婚詐欺紛いのことをしたり……悪でしょ! どう考えても!!」

Cecilia「まあ、基本的にネトゲの世界の男性は女性プレイヤーに優しいですからね……」

やしろ「本当だよ! 俺もちょっとネカマをやってみたとき、明らかに周りの男性プレイヤーからの扱いが今までと違ったからね。何もしてないのにお金もアイテムも増えていくの。なんでこんな皆女性プレイヤーに優しいの?」

Cecilia「童貞が多いからじゃないですか?」

やしろ「納得した」

Cecilia「悪かどうかの話に戻るんですが、確かにネカマは常に他人をだましているということにはなりますね……でも、だからネカマは全て悪だとは思ってほしくないです……。良いネカマだっているということをやしろさんには知ってもらいたいですね」

やしろ「ふむ……さっき言ってた良いネカマと悪いネカマがいるって話かな」

Cecilia「そうです。これは僕の考えなのですが、ネカマって2種類いると思っているんです。1つは『純粋に女性を演じるのが楽しい人』。これは周りに危害を加えない、ただ自分がネトゲを楽しむための手法の1つとしてネカマを演じているタイプで、『良いネカマ』です」

Cecilia「もう1つは『女性だと勘違いさせるのが楽しい人』。これは甘い誘惑で男性から(ゲーム内の)金品をだまし取ることを初めから目的としてネカマを始めたタイプで、『悪いネカマ』です。」

やしろ「なるほど」

Cecilia「悪いネカマは言ってしまえば詐欺師のようなものなので完全に悪ですが、良いネカマはロールプレイの一貫として女性になりきっているので悪とはいえないんじゃないかなぁと……」

やしろ「なるほど……それは分かりました。確かにどうプレイするかなんて人それぞれだもんな……でも! でもですよ!! 『良いネカマ』の人だって本人は女性として平和にロールプレイをしているつもりでも、そこで出会った男性に好かれちゃうかもしれないんですよ!?」

Cecilia「まあ……それは確かにそうですね」

やしろ「好きになっちゃった人はその人に振り向いてもらおうと必死になりますよ!? しかも恋愛慣れしてない中学生とかだったら余計に……もう毎日がワクワクドキドキで……何をしたら喜んでくれるのかなとか、まだ見たことのない相手の顔を想像して、いつの日か会えることを願って……それで蓋を開けたら相手が良い歳したおっさんですよ!? 全ての時間が無駄になる!! 中学生という貴重な青春時代に使った時間全て!! これは悪じゃないんですか!? 悪とは言わないんですか!!??」

Cecilia「……まあ、それは確かに……というか自分のこと言ってます?」

やしろ「お母さんに彼女ができそうとか報告しちゃった僕の気持ち考えたことあるんですか!?」

Cecilia「お母さんに報告しちゃったんだ……」

Cecilia「いや、やしろさんの言いたいことはすごくよく分かります。なんというかすいませんでした……。これは『良いネカマ』の先輩からの受け売りなのですが、『異性として興味を持たれる前に引く』ことを心掛けるようにネカマをやっていくことが良いネカマでいるために重要なことだと思っているんです」

やしろ「惚(ほ)れさせないようにするってこと? というかそこまでするなら私本当は男だけど女のフリするからそこんとこよろしくね! って最初に言っちゃえばよくない?」

Cecilia「正体がバレたらゲームオーバーなので。いや、それやってる人ももちろんいるとは思いますが」

やしろ「人里に紛れ込む魔物か何かかよ」

Cecilia「やっぱり惚れられてしまったら、やしろさんが言っていた通りに相手に無駄な時間、努力、その他もろもろを使わせてしまうじゃないですか……。それは僕ら的にもやはり『悪』だと思います。だから決して相手の気を引くような行動はしない。もしそれでも相手が押してきたら、適度に引く、時には冷静に突き放す……このような意思を持って誰も不幸にしないようにネカマとしてのロールプレイをしていけるよう努力しているんです、良いネカマは!」

やしろ「いや、私貴方に惚れましたけど?? しかも結構気を引くような発言とかされた結果惚れましたけど???? え????」

Cecilia「それは完全に僕が悪いです。すいませんでした」

やしろ「あっ、認めるんだ」

Cecilia「……これは言わないでおこうと思っていたんですが、あのころちょっと『悪のネカマ』にも足を踏み入れていまして……。実はやしろさんをこっぴどく振ったあと、1年ぐらいは悪のネカマとして活動してたんですよね……」

やしろ「こっぴどく振ったとか言うなよ……」

Cecilia「悪のネカマの言葉として『友達以上恋人未満をキープできてこそ一人前のネカマ』という言葉がありまして……。自分に惚れてきた相手を恋人にしちゃって長期的に搾り取っていくのも良いのですが、友達以上恋人未満な男性を多数キープしておいたほうが多方面から貢がれて結果稼ぎが良いんですよね。だからうまく相手をコントロールして恋人一歩手前ぐらいて止めておくという」

やしろ「確かにそんな感じだったなーーーーーあーーー死にたいなーーーーー」

Cecilia「まあ、その後またすぐ改心して、今は良いネカマでいれるよう常に気を張っているんですけど……! というわけで当時は中途半端に悪のネカマとしての心も持ち合わせていた結果、純粋な中学生だったやしろさんをだましてしまうことになって……本当にごめんなさい。めっちゃ楽しかったです」

やしろ「最後なんつったコラ」

やしろ「……まあ、まあいいや。なんか謝ってもらえて長年突っかかってた何かが消えた気がする……うん、良かったよ話せて」

Cecilia「そう言ってもらえるとありがたいです……。ネカマは確かに人をだまして生活しています。けど、先ほど話したようにできるだけ人を不幸にしないよう、変な勘違いをされないように心掛けて活動しているネカマもいるということだけ忘れないでいただけるとうれしいです!」

最終更新:4/16(日) 15:27
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