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<医療>増える「酵素サプリ」食べて健康になれるのか?

毎日新聞 4/16(日) 10:00配信

 最近、ダイエット効果があるという「酵素サプリメント」が増えてきています。「生きたまま腸に届く酵母入り」などとうたう健康食品もあります。これらを食べると、健康になったり痩せたりできるのでしょうか。管理栄養士の成田崇信さんに聞きました。

 ◇ダイエット効果はあるのか

 ダイエット効果をうたったある酵素サプリメントの宣伝ビデオでは、「粘りのあるでんぷんのりが入ったボウルに酵素サプリメントを溶かした液体を入れてかき混ぜると、サラサラの液体になり、気になる糖質を酵素の力で分解します!」という説明が流れます。

 「このサプリを飲めばごはんを食べ過ぎても分解してしまうから大丈夫」と思ってしまいそうですが、実際にはそんなに都合のよい話はありません。でんぷんが消化酵素で分解されるとデキストリンや麦芽糖ができるのですが、でんぷんも麦芽糖も1グラムあたり約4キロカロリーで、分解前後で違いはありません。むしろ消化が良くなる分だけ胃の負担が軽減されて太りやすくなるかもしれません。

 ◇酵素と酵母は別のもの

 「酵素は胃で分解されてしまうから口から食べても意味がない」という批判もネット上で見かけるようになってきました。そうした批判を逆手にとった業者が、「従来の酵素は胃や腸で分解されてしまいましたが、生きたまま腸に届く『酵母』を配合! 食べた物を腸内で水と二酸化炭素などに分解してしまいます」などと商品の差別化を図ってくるため、さらに注意が必要です。

 「酵素」と「酵母」は全く異なるものです。酵母は、真菌類という単細胞の生物です。一方、酵素は、生物の体内でつくられるもので、代謝や消化など生命活動に欠かせない成分です。

 酵母も人間と同じく生きていくために食べものを取り入れ、分解して、余計なものを体の外に排出します。排出されたものの多くは小腸で吸収されたり、他の腸内細菌に利用され、人間のエネルギー源として使われたりします。水と二酸化炭素もできるのですが、それだけではありません。

 酵母は生き物なので、どれぐらい生きたまま腸に届くのかは分かりませんし、食べた物を腸の中でどれぐらい分解するのかについてもデータはないでしょう。もしかしたら、少しはエネルギーをカットする効果があるかもしれません。めったにはないですが、腸内で酵母が定着し、発酵によってアルコールをつくり、お酒を飲んでいないのに、血中アルコール濃度が高くなってしまったという症例があります。酵母サプリメントにそれほどの危険はないと思いますが、効果が期待できないものを積極的に利用する必要もないでしょう。

 ◇発酵と酵素の関係

 発酵食品は、酵母や乳酸発酵をする細菌など微生物がもっている酵素の力で食べものを分解してもらい、消化を良くしたり、元の食品にはなかった風味やビタミンなどの栄養素をもった食品に変化させたりしたもので、「酵素が入っているから健康に良い食品」というわけではありません。このところ発酵食品のパッケージに酵素入りをうたった商品をよく見かけますが、消費者に誤解を与えるのではないかと懸念しています。

 酵素は食べても健康になったり、痩せたりするものではありません。発酵食品も朝の生ジュースも酵素を取るためではなく、食のバリエーションを広げる意味で食べていただければと思います。

最終更新:4/16(日) 15:32

毎日新聞