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<安曇川やな漁>葵祭で献上する干しアユに危機 水揚げなく

毎日新聞 4/16(日) 12:52配信

 1000年の伝統を誇る滋賀県高島市の安曇川河口部のコアユの「やな漁」で、今年は漁が本格化する4月になっても水揚げゼロの日が続いている。一帯は11世紀末以来、京都・上賀茂神社の神前に琵琶湖の魚を献上する「御厨(みくりや)」としての歴史を持つ。今も毎年5月の葵祭用に干しアユを献上しているが、漁獲のめどが立たず、やな漁を仕切る北船木漁協の木村常男組合長(68)は「こんな事態は初めて」と困惑している。

 やな漁は川をせき止めて上ってくる魚を取る漁法。安曇川では約80メートルの川幅に、河口に向けて扇形にふくらんだ長さ約110メートルのやなを仕掛けて魚を両岸に誘導し、水路に落とし込む構造で「カットリやな」と呼ばれる。3月上旬に設置され、川の水はやなを構成する細い竹を編んだ簀(す)の隙間(すきま)から流れ下る。

 木村組合長によると、コアユの水揚げは例年、3月に約100キロ、4月には約1トンに達する。年間漁獲高は放流・養殖用の活魚数トンと食用の鮮魚約30トンの計三十数トンという。しかし、今年は「水揚げどころか2~3匹かかった姿が見える程度で話にならん」といい、木村組合長は「葵祭を控えて今年も上賀茂神社から干しアユを送るよう依頼が来たが、魚が上って来ん。安曇川で取れたアユでないと意味がないし、どうしたものか」と頭を抱える。

 琵琶湖のアユ資源は昨年10月末の県水産試験場の調査で産卵量が213・8億粒と平年の2倍以上あり期待されたが、同12月に解禁された氷魚(アユの稚魚)が極端な不漁となった。今年に入っても氷魚の水揚げは回復せず、水温が上がる春になっても不漁が続いている。【塚原和俊】

最終更新:4/16(日) 12:57

毎日新聞