ここから本文です

政権交代どころか党存続も危険水域に 長島昭久氏ら保守系が見限った蓮舫・民進党

産経新聞 4/16(日) 10:23配信

【高橋昌之のとっておき】

 長島昭久衆院議員(55)が4月10日、民進党に離党届を提出し、同党が除籍(除名)処分の方針を決めたことは、同党内に大きな衝撃を与えています。続くように細野豪志代表代行(45)も13日、代表代行職の辞任届を提出しました。長島、細野両氏は同党の保守系議員の筆頭格だけに、この一連の動きは同党の左傾化が抜き差しならない状況にまで進んでしまっていることを物語っています。

 蓮舫代表(49)は次期衆院選での政権交代を大目標に掲げていますが、2人からはもはやその資格も能力もないと見限られたと言っていいでしょう。党の存在意義さえ問われかねない事態です。同党の抱える問題は何か。長島氏が10日、離党届を提出した後に行った記者会見の内容をもとに考えたいと思います。

 長島氏は記者会見で、離党の最大の理由に「共産党との選挙共闘」を挙げ、「保守政治家として譲れない一線」「私にとって受け入れがたいものだ」と述べました。そのうえで、「共闘路線はまともな党内論議もないまま共産党主導で進められ、最近では民進党の基本政策にまで共産党が影響を及ぼす場面が目立つようになった」と指摘しました。

 私はこのコラムで、民進党が次期衆院選で共産党と選挙協力を行うべきではないと主張してきました。それは民進党が野党第1党である以上、政権の選択肢となることが最大の役割だからです。

 共産党は綱領に社会主義、共産主義の実現を掲げ、安全保障では自衛隊の解消と日米安保条約の廃棄などをうたっています。目指す社会像や基本政策が全く異なる政党と選挙協力を行うことは「野合」にほかならず、有権者にとって政権の選択肢にはなりえません。そして、共産党の協力を得ようと思えば、政策面で同党の主張に引きずられていくのは必然です。

 長島氏の問題意識もそこにあります。同氏は記者会見で「今般のアメリカによるシリア空爆、暴発寸前の朝鮮半島情勢を目の当たりにし、わが国の安全保障のためにアメリカとの同盟関係を強固にし、わが国独自の国防努力を行っていくのはまさに焦眉の急だ。そのような私の問題意識と共産党に引っ張られる党の政策との間には、覆い隠しようもない断絶がある」と強調しました。

 1つの選挙区から1人しか当選しない小選挙区制がとられている衆院で、離党するということは国会議員であり続けられるかどうかに関わる極めて大きな決断です。政党に所属していなければ比例代表で復活当選することもできません。しかし、それ以上に共産党との選挙協力に傾き、政策面で引きずられている現在の党執行部の方針は、長島氏にとって受け入れがたいものだったわけです。

 長島氏が記者会見でもうひとつ指摘した点は「真の保守を確立する」ということでした。同氏は平成27年の安全保障関連法成立の場面を例に挙げ、「国家の基本に関わるような問題で、左右の衝突が繰り返され、過激な極論や暴論のぶつかり合いが続くようでは、日本社会の保守とリベラルの分断、亀裂は抜き差しならないところまで行くのではないかという深刻な危機感を抱いた」と述べました。

 そのうえで、「国家を二分する争点において、対立する双方の意見を調整し、国会に熟議に反映させるべきは私たち国会議員だ」との認識を示し、民進党の現状については「一致結束して『アベ政治を許さない』と叫ぶことを求められ、過去に自分たちが推進し、容認してきた政策もすべて反対、徹底抗戦、廃案路線で突き進む。そこには熟議も建設的な提案もない」と批判しました。

 政権交代可能な二大政党制は、外交・安全保障など国家の根幹である政策について基本的に同じ土俵に立ち、その他の個別政策では対案を示し、建設的な議論を行うことによって成り立ちます。

 蓮舫氏も28年9月の代表就任後、「提案路線」を打ち出しました。しかし、現状はどうでしょうか。提案らしい提案は行われることなく、ひたすら政府・与党に対して反対、徹底抗戦を繰り返してきました。審議が始まったテロ等準備罪を創設する組織犯罪対策法案にも、同様の姿勢で臨んでいます。

 これでは次期衆院選で「民進党に政権を任せよう」という機運が生まれるはずはありません。それどころか、野党第1党としての本来の役割を果たしていないということで、支持を失い続けるでしょう。

 細野氏は辞任の理由について、憲法改正私案を発表したことから、「憲法改正に対する考え方の違い」を挙げました。しかし、長島氏とは盟友であるだけに、同じ危機感を持っていることは間違いないと思います。

 問題は今回の長島、細野両氏の行動を、蓮舫氏をはじめとする執行部だけではなく、党所属国会議員がどう受け止めるかです。自分が国会議員でさえあり続けられれば、国会がどうあるべきかはどうでもいいというのでは、職責を果たしているとはいえません。

 長島氏が指摘したように、現在の日本は北朝鮮をはじめ極めて深刻な国際情勢に直面し、内政においても将来に向けた確たる展望は見い出せていないのが現状です。国会で不毛な与野党対決を繰り返している場合ではなく、よりよい政策を導き出すための建設的な議論が行われる必要があります。そのために野党第1党の民進党に課せられた役割は大きいのです。(編集委員)

最終更新:4/16(日) 22:14

産経新聞