ここから本文です

「朝まで生テレビ!」30年(下)田原総一朗「オールナイトフジがなければなかった」

産経新聞 4/17(月) 9:01配信

 テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」で司会を務める田原総一朗さん(83)に話を聞いた。スタジオでは独特の口調で、相手を揺さぶり、本音を引き出す。テレビの世界でどっぷり生きてきたベテランジャーナリストは番組開始から30年を迎え、いま何を思うのか。(聞き手 文化部 玉崎栄次)

 --「朝まで生テレビ!」が30年を迎えた

 「30年前、テレビの深夜番組は、ほとんど再放送だった。フジテレビが『オールナイトフジ』という番組をやって、これがヒットした。テレビ朝日でも深夜番組をやろうということになって、当時の編成局長から『何か考えてくれ』といわれた」

 「深夜番組には、いくつかの制限がある。まず、高い制作費を出せないから有名タレントは出せない。文化人でできないか。途中で終わると出演者をハイヤーで送らなければいけないから、終電で来て始発で帰る長時間番組をやろうと」

 「当時、冷戦が終わろうとしていた。それまでは資本主義か社会主義か、右か左かの論争だった。しかし、冷戦が終わると、論争の質が、座標軸が大きく変わるんじゃないか、と。面白いと思った」

 「テレビで本当におもしろいのは討論だ。ワンテーマで初めから最後までとことんやる『無制限一本勝負』。政治家、学者、ジャーナリストたちが、真剣に討論して、負けたら政治生命、学者生命、ジャーナリスト生命が終わるみたいな、そんな番組にしたかった」

 --タブーに切り込むのが名物になった

 「昭和天皇の病状が悪化して、世の中が自粛と言っているときに、今こそ天皇論をやるべきだと言った。実際にやった。部落差別って何だ。社会党系、共産党系、自民党系の3つの団体がある。3団体が一堂に会して討論した。左翼がとても強い中で右翼とは何だ、と。当時のマスコミで右翼の人たちを出して、討論することなんてなかった。暴力団についてもやった。原発問題もやった」

 「東京都の問題やるなら小池(百合子都知事)さんの味方してりゃ問題ない、石原(慎太郎元都知事)さんの味方したら批判される。森友学園問題では、籠池(泰典前理事長)さんを批判しておけば安心だ。言論には、その時代の無難がある。でも僕は、朝生は、その時代の無難の逆をやろうと考えてきた」

 --「テレビの怖さ」ということを語られている

 「新聞や雑誌の場合は、『言葉』が全て。でも、テレビでは言葉は表現のワン・オブ・ゼム(複数の中の1つ)だ。『目は口ほどにものを言う』というが、同じ言葉でも、怒鳴るように口にするのと、静かに口にするのとでは、全く意味が異なる。そこが面白いところ。そして、テレビでは沈黙も表現になる」

 「例えば、東西ドイツ。東が西に併合されたが、それは映像のせいだと思う。東に比べると、西は遙かに経済成長して豊かになっていたが、そのことを東の新聞やラジオでは嘘だと言った。東ドイツは理論武装をしていました」

 「でも、西のテレビ番組を見られるわけ。テレビのキャスターや出演者が着ている洋服が明らかに違う。街頭でしゃべっているときに、背後を走る車が全く違う。映像ではね、それが分かっちゃう。東の人々が、西との格差をいや応なく感じざるを得なくなったことは大きかったと思う」

 --司会として、発言しすぎという声もある

 「自分は司会だとは思ってない。表に出ているディレクターだと思っている。出演者には、本音を言ってもらいたい。政治家は本音を言うのが嫌だから、ごまかそうとする。本音を言ってくれと。文化人があがっちゃって、本当に言いたいことと違うことを言ってしまう。それは伝えたいこととは違うでしょと言う。本音を言ってほしい。とことん追求する」

 「朝生で、『田原が静かになった』と。よく見たら死んでいた、と。これが理想的な死に方だ」

最終更新:4/17(月) 9:01

産経新聞