ここから本文です

キャンピングカー乗りは忘れずにいたい! 一宿一飯の恩義

朝日新聞デジタル 4/16(日) 11:10配信

【連載】キャンピングカーで行こう!

 昔の任侠映画などを見ていると、「一宿一飯の恩義!」なんてセリフが出てきます。若い人にはわからないかもしれませんね。スミマセン。一晩泊めてもらった流れ者が、その恩義に報いるべく、恩人に力を貸して大立ち回り……まあ、そんなところです。

【写真】地元でとれた野菜を生かした、素朴な郷土料理。そんな味に出会えるのも道の駅の楽しみ

 なぜこんな話から始めたかといえば、キャンピングカー乗りは多かれ少なかれ、あちこちで「一宿」の恩恵にあずかっているからです。

■公共施設を利用したら

 高速道路上のPA(パーキングエリア)やSA(サービスエリア)、一般道の道の駅。いうまでもなく、キャンピングカーにとっては、またとない旅の拠点です。

 本格的な車中泊をするならキャンプ場やRVパークを利用するのが基本ですが、渋滞を避けながら距離を稼いだり、上手なルート設定をしたりするには、実にありがたい場所。実際、週末や連休には、まるで展示会場のように、ありとあらゆるキャンピングカーが仮眠をしています。

 基本的に、こうした施設は公共のもの。誰にでも、利用する権利はあります。ですが、これらを運営するには、当然お金がかかるもの。それに、一定の「売り上げ」が見込めなければ、継続も難しくなります。

 そこで私が心がけているのが、「少しでもお金を落とす」ことです。最近のこうした施設は、本当に充実しています。トイレは広くて清潔。洗浄便座までついています。レストランではご当地グルメが味わえるし、お土産が買えたり、土地の産品が手に入ったり。深夜でもコンビニが開いていることもあり、なかなかありがたい存在です。缶コーヒー一本、ガム一個でもいいから、お金を使うことを個人的に心がけています。

 この心がけには、思わぬメリットもあります。買い物や食事をするためには、建物に足を踏み入れる必要がありますね。すると、そこに何があって、どんなサービスが受けられるのか、よくわかるのです。どこに、何の店があるのか。どこで、何を売っているのか。どこのSAのレストランがおいしくて、どこの道の駅に農業直売場があるのか……。

 その蓄積が、実は旅の財産になります。お土産を買うならどこがいいか。仮眠前に汗を流したいなら、お風呂のあるSAはどこか……。キャンピングカー仲間との情報交換も、これまた楽しいものです。

■ふるさと納税以外にも地方創生

 何かと話題のふるさと納税。なかなかユニークな取り組みですが、いつでも、どこへでも行けるキャンピングカーなら、それに匹敵する楽しみもあるのです。

 例えば、毎年大規模なキャンプ大会が開かれる、東北の村があります。冬はスキー客でにぎわうところですが、夏、ここを訪れる観光客は、ほぼ、いません。しかし、そこに何があるか?

・スキーバスが通れるだけの幅広さのある、整備された道路
・スキーバスが止められるだけの、広くて平らな駐車場
・スキー客向けのホテルやレストラン

 キャンピングカーにとっては願ってもない、設備です。

 そのキャンプ大会は、毎年、その町の夏祭りの時期に合わせて開かれます。昔ながらの縁日。夜には打ち上げ花火。ニッポンの夏を満喫できる、素晴らしい催しです。

 実はこのキャンプ大会、数年前から参加費の他に「協賛金」を、車1台につき1000円ほど集めるようになりました。それは、このイベントを通してただ遠くから眺めるだけでなく、町の人たちとふれあい、「私たちも毎年楽しみにしてるんだから、少しでも役立ててください」、そんなつもりで、協賛金を募っています。わずか1000円でも、集まるのは数百台規模、全体では数十万円になるのです。

 「キャンピングカーのお客さんは増えたけど、全然商売にならなかった」なんて思われたら、巡り巡って、自分たちの首を絞めることにもなりかねません。一部の道の駅ではマナーの悪いユーザーのせいで「キャンピングカーお断り」になったことも。

 もちろん、缶コーヒー一本で大きな顔ができるわけもありませんが、キャンピングカーユーザー=良いお客さん、になれれば、私たちを歓迎してくれる自治体も増え、便利な施設だって拡大する可能性があろうというものです。

 自分の旅先は、誰かの地元。自分の故郷を愛するような気持ちで、現地の人や物と触れ合えれば、旅はもっと心豊かなものになるはずです。

(文 キャンピングカージャーナリスト・渡部竜生 / 朝日新聞デジタル「&M」)

朝日新聞社

最終更新:4/16(日) 11:10

朝日新聞デジタル